いっせーのせ!The 5th.お題《夏》について…♪

August 01 [Fri], 2014, 0:00
2190年、イスカンダルの《蒼き夏》―ストロー・ハットの思い出―
〜アベルト・デスラー&スターシャ・イスカンダルの出逢いから〜



「スターシャ姉さま……そろそろお出迎えの準備をなさらないと」

 朝早くからそわそわしながらイスカンダル王宮の間を行き来しながら、自分に合図を送ってくる妹のユリーシャにスターシャが優しく窘める。

「ユリーシャ……少し、じっとしていなさい。タラン将軍は出発する前に連絡して下さるとおっしゃっていらしたでしょ」

 そうその日、イスカンダルの地に10年の時を経て再び彼が降り立つこととなっていた。

時に、西暦2190年(サレザー恒星系歴991年、デスラー紀元94年)23歳の誕生日にイスカンダル星への再訪問を希望していたアベルト・デスラーのもとにようやく再訪許可が下りたのが丁度1週間前……

 すでにイスカンダル女王となり、サーシャ・イスカンダル、ユリーシャ・イスカンダルとともに王宮で生活していたスターシャ・イスカンダルは突然のアベルトからの再訪要請に、少なからず戸惑っていたのである。

 初めて彼とあった場所……イスカンダル王家の森、木々に囲まれた誓いの泉で確かにアベルトはわたしを待つとあの日告げた。

「スターシャ、10年後……わたしの誕生日に再びここで、あなたに会おう」
「わかりました。その日の正午、ここであなたを待ちます」

 夏の日差しが一面蒼く晴れ渡ったイスカンダルの空から泉によって作られた小さな湖面に反射する。
 スターシャは軽い眩暈を覚えた。

「大丈夫か、スターシャ?」
「えぇ……」
「少し木陰で休むとしよう」

 そう言って優しく彼女の手を引きアベルトは湖畔の木陰にスターシャを座らせる。
 心配そうに若き王女のもとにイスカンダルの《蒼い》鳥が近づいてくる。

「少し疲れたのでは? 君は我慢しすぎる気がする……疲れたのであればそう言って欲しいものだが」
「ありがとう、アベルト。でも、少し休めば大丈夫です」

 静かに自分を見つめる儚い感じの瞳に何故かその時の彼女はほんの少し安らぎを感じていた。
 無理もない。イスカンダルの科学力を誇示する一部のものが、波動エネルギーを大量殺戮兵器である波動砲に転用し周辺の惑星を次々と破壊し、愚かにも大宇宙の神であるかの振る舞いをした結果、イスカンダルは悲しい星へと姿を変えてしまっていた……
 人々は自分たちの犯した過ちに気付きはしたものの互いの命を奪い合い、多くの尊き命が失われていったのである。

「波動エネルギーは星の海を渡るために使用すべきもの。二度と兵器として転用することはあってはならない」

 スターシャの口から悲しきイスカンダルの歴史が語られた。

「心配するな、愛しき君。血塗られた宿命は消し去れないにしても、あらたにその美しき瞳を悲しませるような兵器の使用を君自身が経験することはもはやない。この私が、ガミラスのアベルト・デスラーが君の代わりにイスカンダルとガミラスの平和を守り抜くことをここに誓おう」

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


「あれから10年か……」

自室にて窓外の蒼く輝くイスカンダルを見つめながら、アベルトはしばしの間スターシャに想いを馳せた。

「スターシャ、君はあの日の約束を覚えていてくれるだろうね……」

 コン、コンとノックの音がする。

「入れ!」

 アベルトの指示に従い、ヴェルテ・タラン将軍がミーゼラ・セレステラを従えて入室してくる。

 タランがアベルトのもとに歩み寄り跪いて出発の準備が整ったことを知らせる。

「総統、すべての準備整っております。持参しましたスーツにお着替えを……」

 タランの合図とともに、セレステラがアベルトに近づく。

「惑星メランの特殊樹脂を使用して通気性を極限にまで追求したパイロットスーツを作らせました。防弾装備も兼ねておりますが、酷暑対策の一貫として軽量化も図られています。この季節、照り返すイスカンダルの夏の日差しをもってしても総統に一滴の汗も生じさせることはないものかと……」
「ありがとう、タラン。ところで、例のものは準備できているね?」
「はっ。ガミラス兵器開発局……失礼、製造部門で特注し間に合わせました。イスカンダルのスターシャ猊下ならびにふたりの皇女様方にも必ずやご満足いただけるものかと」

(イスカンダルのスターシャ猊下……)

 一瞬、セレステラの眉間に険しさが増すのをアベルトは見逃さなかった。

「セレステラ、イスカンダルのお方と私への精神感応波の使用は禁じたはず。いかなる時も、その使用は許されない。慎みたまえ」
「総統、理解しております」

 そう答え、彼女がメラン製《麦藁帽子》をアベルトに手渡す。
 アベルトはセレステラより受け取った帽子のそれぞれに《蒼》・《紅》・《緑》のリボンを巻くように指示した。

「タラン、イスカンダルに到着次第《蒼翠晶》の花を三輪、それぞれの帽子に飾って欲しい」
「承知いたしました、総統」

 マントを翻し、デスラーが退室して行く。

「10分後、格納庫にて落ち合おう、タラン! 《蒼》のツヴァルケ、デウスーラ01・イニシャルバージョン(ツヴァルケのプロトタイプ)の発艦準備を願う」
「了解いたしました、総統」

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


 颯爽と薄紫色のメラン製パイロットスーツに身を包んだアベルトが《蒼》のツヴァルケの前に姿を現す。

「自ら操縦するのは久しぶりだな、タラン」
「はっ、1年ぶりかと……」
「心配には及ばんよ、タラン。ライル・ゲットーに操縦の何たるかを伝授したのは他でもない私だ」

 そう言って、アベルトは素早くツヴァルケの計器類に視線を移していく。

「システム、オールグリーン……デウスーラ01発艦」

 轟音とともに二人を乗せた《蒼》のツヴァルケが一路イスカンダルを目指し飛翔した。

 数分の後、イスカンダルの大気圏に突入するとアベルトは予めセットしておいた座標にツヴァルケを静かに着水させた。

「10年ぶりのイスカンダルか。タラン、懐かしいものだな……」
「はっ、総統。あの頃のまま、時が過ぎ去っているようです」

ツヴァルケから降りるとアベルトは水辺に咲くイスカンダルの《蒼翠晶》を三輪手にしてタランに手渡す。

「生命力の高い《蒼翠晶》と言え、飾りに使用するものは最低限にすべきだな」
「日差しが強くなる前にお渡しできるとよいのですが……」

 すでにかなりの高さにまで上昇しつつあるイスカンダルの太陽を見上げながらタランが告げた。

「イスカンダル人はわれわれガミラス人と異なり、細胞核のDNA破壊をプロテクトする皮膚のメラニン色素含有率が極端に低い。進化の過程で遺伝的にメラニン合成がほとんどなされない体質に形質転換(遺伝的性質を変えること)したゆえのことだが、そのため紫外線の影響を受けやすいとされる。確かそうだな、タラン?」
「はい、総統。長時間の外出は避けるべきかと思われますが、このメラン製の《麦藁帽子》は紫外線の影響をほとんど無力化するよう考案されています」
「先を急ごう!」

 アベルトの言葉にタランが頷く。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


 その頃、王宮の自室にてすでに身支度を済ませたサーシャ・イスカンダルは窓の外にきらめく一筋の光を視認した。

「もしかして、ガミラスの超光速飛行船? アベルトが到着したの……」

 そう呟くと、彼女はスターシャの待つ王宮の間に急いだ。
 王宮の間には静かにその時を待つ姉、スターシャとユリーシャの姿があった。

「スターシャ姉さま、お見えになられたみたいだわ……」

 サーシャの一言にユリーシャが即座に反応する。

「不意打ちかな……連絡するにしては遅すぎる」
「何か理由があったのでしょう」

 さほど驚きもせずに、スターシャが時間を確認する。
「15分前……オンタイムだわ。ふたりともそろそろ行きましょう」

 椅子から立ち上がり、視線の先を窓外の一点に集中させスターシャはエントランスに向って歩き出す。
 ふと思いついたように、ユリーシャに向って質問する。

「ユリーシャ、紫外線対策は大丈夫?」
「えぇ、お姉さま。スキンプロテクション・デバイスを人数分準備してあります」

 イスカンダル随一の頭脳と謳われるユリーシャは、形状記憶型のUVカットをその年の紫外線対策アイテムとしてすでに開発していた。

 わずかに微笑みを彼女に返すと、その瞳の先に在りし日の泉を想起する。
 サーシャが凛とした姉に質問を投げかけた。

「お姉さま、再会の場所と時間はすでに決められているのですね!?」
「えぇ、サーシャ……10年前の彼の言葉に偽りがなければね」

(驚いたわ。そんなお約束をアベルトはスターシャ姉さまとの間で交わしていたなんて)

 クスッと笑みを漏らす妹に……スターシャが訝しげに声をかける。

「何かしら? サーシャ……」
「なんでもありません。先を急ぎましょう……姉さま♪」

 悪戯っぽい瞳でサーシャが応じる。

 やがて、3人は一足先にイスカンダルの泉に到着した。

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


「ところで姉さま、アベルトへの誕生プレゼントは何を選ばれたの?」

 いつの間にかユリーシャがスターシャの傍らに寄り添っている。

「わたしも聞きたい……スターシャ姉さま、何を差し上げるの?」

 ふたりの質問攻めにスターシャが少し困惑した表情を見せる。

「困った妹たちね……」

 そう言いながらも、彼女は優しい瞳でサーシャとユリーシャを交互に見つめる。

「イスカンダルの《蒼い》鳥をプレゼントします。アベルトはさびしがり屋さんなのよ。若くしてガミラスの民を導くという重責を担い始めた。これから先、生涯を通して指導者に課せられた孤独と向き合っていかなければならないわ」
「スターシャ姉さまと同じね」

 ユリーシャが頷いてみせる。

「そう。だから時として彼には話し相手が必要……」

 その先をスターシャが言おうとした時だった。
 カサッと音がして泉へと続く小道に人影が2つ視認される。

(アベルト……!?)

 心の中でスターシャが呟く。
 木漏れ日が彼の人の顔を照らす……

「久しぶりだね、スターシャ。サーシャ、ユリーシャ姫もご一緒か」

 アベルトがスターシャの瞳を優しく見つめた。

「お元気そうですね。アベルト……」

 タランがスターシャの前に歩み寄り跪づく。

「ご連絡できず申し訳ありません、スターシャ猊下」
「構いません、タラン将軍。アベルトの言葉に偽りはありませんでした。ようこそ、イスカンダルへ」

 ユリーシャがトントンとアベルトに近づく。
 アベルトが跪づき、ユリーシャに語りかける。

「ユリーシャ、大きくなったね」
「アベルト、お待ちしていました。お誕生日おめでとう……♪」

 そう言って、彼女はアベルトの頬に可愛くひとつキスをした。

「タラン、帽子を」

 タランが歩み寄り、《緑》のリボンが巻かれたメラン製の《麦藁帽子》を手渡す。

「この季節、イスカンダルは夏の日差しが強い……これを使用して」

 アベルトから帽子を受け取るとユリーシャは自身の頭にのせてみた。

「わぁ〜軽い! 通気性が素敵」
「気に入ってもらえたようだね、ユリーシャ。形状記憶がなされるまでそのままかぶっていて欲しい」
「はい。ありがとうアベルト」

(ユリーシャ姫はまだ幼い。感情を素直に表される)

 そう思いながら、彼はタランから《紅》のリボンで巻かれた帽子を受け取るとサーシャのもとに歩み寄る。

「サーシャ、元気そうだね。さらに美しくなられたようだ」
「ありがとう、アベルト。お久しぶりですね……」

 一瞬視線を交わし、ゆっくりとサーシャが自身の右手をアベルトに差し出す。
 軽く膝を折り、アベルトが美しき彼女の手背にくちづける。

「サーシャ、帽子をフィットしてみて欲しい」
「ありがとう。大切にいたします」

 そう告げて、彼女は自身の頭部に帽子をのせた。

「本当に軽いのですね。かぶっているのが感じられないくらいです。それにアベルト……わたしの好きな《紅》カラーを覚えていて下さったのね。感謝します」

 サーシャに一礼し残りひとつの帽子をタランから受け取ると、アベルトはスターシャのもとに歩み寄る。
 時間が停止する……

「スターシャ、君との約束を果たしに来た。まずはこちらを」

 差し出された《蒼》のリボンが巻かれた帽子を手にしてスターシャはわずかに微笑み自身の頭部にフィットさせる。
 一瞬、帽子の陰に隠れて彼女の表情がアベルトにのみ視認される。
 少しはにかみながらスターシャがアベルトに囁く。

「わたしにはくちづけて下さらないの、アベルト……?」
「お許し頂けるのなら」

 自ら膝を折りアベルトはスターシャの瞳を静かに見つめる。
 その瞬間互いの10年の時の流れが確かに凝縮されていく。
 スターシャの差し出す手背にアベルトは封印を解いてそっとくちづける。

「優しいのですね、アベルト」
「君は以前に増して美しい」
「ありがとう。こちらをお持ちください。誕生プレゼントに用意させて頂きました」

 事前に準備していたと思われるケージをスターシャが木の枝から取り外し、アベルトのもとに歩み寄る。

「イスカンダルの《蒼い》鳥です。お気に召して頂けると嬉しいのですが」
「《蒼》はイスカンダルの象徴だったね。ありがとう、スターシャ」

 アベルトは籠に入った2羽の小鳥をタランに慎重に手渡すと、スターシャに告げた。

「少し歩こう、スターシャ。日差しが強くなる前に……」

 見つめる瞳に確かな何かをスターシャは感じ取った。

「そうですね、ご一緒しましょう」

 彼女はサーシャのもとに歩み寄り短く告げる。

「サーシャ、アベルトと少し話してきます」
「先に帰っていましょうか、姉さま?」
「そうして下さい。ユリーシャをお願い、サーシャ」
「わかりました」

 直感的にサーシャは感じ取っていた。

(恋の予感……かしら?)

 スターシャがその場を離れるとタランと遊んでいたユリーシャがサーシャのもとにやってくる。

「サーシャ姉さま、スターシャ姉さまとアベルトはどちらに行かれるの?」
「ユリーシャ、スターシャ姉さまはこれからアベルトとデートなの。おじゃましないように帰りましょうね」
「いや、ユリーシャも行く! わたしもアベルトとデートしたい」

その時、タランがふたりのもとに駆け寄りユリーシャに告げた。

「ユリーシャ様、タランに波動理論の説明をしてくださるのではありませんでしたか?」
「あっ……。すみません、タラン将軍」

 ユリーシャが慌ててタランに頭を下げる。

「わかりました、サーシャ姉さま。王宮に戻ることにします」

 スターシャとアベルトを残しサーシャ、ユリーシャ、タランの3人が王宮へと戻って行く。
 日差しがピークに達しようとしていた……

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


 並んで湖畔を歩くふたりに《蒼い》鳥が近づいて、束の間囀っては再び飛び去ってゆく。
 楽しそうに笑みを浮かべる愛しきひとの鼓動を傍で感じながら、アベルトがタイミングを計る。
 小道がカーブに差し掛かった時だった。

「スターシャ、わたしは君を愛している。君だけを……永遠に」

 力強い瞳でまっすぐに見つめられ、スターシャは一瞬言葉を失う。
 アベルトはそんな彼女を抱き寄せると、その美しき唇に自身のそれを優しく重ね合わせる。

「君が好きだ、スターシャ」
「嬉しいわ、アベルト……」

 やがてアベルトはスターシャの瞳を注視して、そっと告げた。

「君に見せたいものがある」
「 …… …… ……」

 先ほどタランと来た道を引き返す形でアベルトはスターシャとともにデウスーラ01のもとに辿り着いた。

「《蒼》のツヴァルケ、わたしが駆る戦闘機だ。ただ今回はあえて武装を解除してある……スターシャ君に乗ってもらうためだ」

 そう断って、アベルトは自身の腕の中にスターシャを抱き上げた。

「君の足を濡らすわけにはいかないのでね。すまないがしばらくこうさせてもらうよ」
「ありがとう、アベルト。わたしの方こそ、すみません」

 自分を抱きかかえるアベルトの腕の中でスターシャは、静かに自分を見つめる儚い感じの瞳に再会する……

(アベルト、あなたは10年前のあの時のままなのですね)

《蒼》のツヴァルケに辿り着き、リアシートにスターシャをピット・インさせると、自らもフロントシートに滑り込む。

(タランに感謝しないといけないな……このパイロットスーツは防水効果にも優れているようだ。湖水に浸かっても速乾性がゆえに、すでにわたしの足は乾いている)

 そんなことを思いながらアベルトはフロントシート左のサイドミラーに視線を移してゆく。

「スターシャ、コクピット内は紫外線対策が施されている。帽子をとっても大丈夫だ」
「はい、そうします」

 少し緊張しているのだろう。わずかに声がふるえているように感じられた。

「心配には及ばない。スターシャ、わたしの操縦技術を信じて欲しい」
「わかりました」

 そう言うと、スターシャは強い視線で彼の瞳に語りかけた。

(アベルト、あなたを信じます!)

 すべての計器類がグリーンモードを示し、発進準備が整ったことをツヴァルケの音声コンピューター《ゾル》が知らせる。

「発進準備完了。ツヴァルケ飛翔する!」

 次の瞬間、《蒼》のツヴァルケが波紋を残して上方に浮いた。
 波動エンジンを機体下部からバーストフローし、瞬時のうちに上方へシフトさせるアベルト自らが考案した発進方法であった……

 機体は瞬く間にイスカンダルの《蒼》き誓いの泉をあとにし、《蒼》一面のイスカンダルの空へと駆けてゆく。
 数分後デウスーラ01の機体を安定させた状態で、アベルトがミラー越しにスターシャに一言告げる。
「スターシャ、下を見て欲しい。あれが、君の……イスカンダルの《蒼》き海だ」

 アベルトの言葉に従って、スターシャが視線を移す。
「海面に夏の日差しがキラキラと反射しているわ」
「そう、イスカンダルの海は生きているのだよ。星のリバース(再生)はきっとなされる」

 確かにその瞬間、スターシャはアベルトが優しく微笑んだのを感じた。

「そして、その時……この場所で、わたしは君を妻として迎えたい。君の返事はその時に聞かせてくれるね!?」

 自身の胸の鼓動が高鳴るのを感じながら、その時スターシャは自分の心が静かに凪いでいるのを自覚していた。

(わたしはアベルトに愛されている。そして、わたしも彼を愛し始めている。これは恋なのだろうか……)

 《蒼》のツヴァルケにイスカンダルの日差しが反射した……
 水平翼の反射光が紫外線処理の施されたコクピットウィンドーを超えて機内に差し込む。
 光の反射に軽い眩暈を覚えながらも、その時彼女は巧みに《蒼》のツヴァルケを操縦するアベルト・デスラーの背中を見つめていた。

(彼は……アベルトはどこへ向かおうとしているだろう)

 ほんの少し芽生えた彼女の不安をアベルトの駆る《蒼》のツヴァルケがかき消してゆく。

 その夏……ふたりは確かにその場所に存在していた。

(FIN)

―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――




 いかがでしたでしょうか…

お題《夏》を頂いた際に、テロンの《夏》ではなく、イスカンダルの《夏》が自然と想起されたことにあらためて、自分がイスカンダル−ガミラスサイドに傾いているな〜と自覚しました(笑)。
 そのことが、2199ヤマトによる効果であるならば素直に嬉しく思います。

 さて、《夏》……ここではイスカンダルの《蒼い》空と海に自身のイメージを重ねてみましたが、自然な形で《夏》を表現するのはそれほど簡単なことではないですね。
 そこで、ストロー・ハット《麦藁帽子》を物語の中に織り込みました。

 2199ヤマト、アベルト・デスラーの回想の中でイスカンダルの《蒼い》鳥に囲まれて会話するスターシャとアベルトのシーンが登場してきますが、このシーンがとても好きな僕としてはなんとかアベルトに告白して欲しいと常々思っています(笑)。

 スターシャ・イスカンダルが作品の中で『アベルト……』とファーストネームで呼ぶシーンには忘れ得ぬ衝撃を覚えましたが、彼女はほんの少しの間でもアベルトに恋した(アベルトを愛した)のでしょうか……

 総統ファンの僕としては、是非とも知り得たい事柄のひとつなのですが、仮にそうであったとしたならこんな感じかな……という思いで作品を綴っています。

 そして、若き日のアベルト23歳(スターシャ19歳)の誕生日に2199ヤマトのアベルトだったら、《蒼》のツヴァルケ(デウスーラ01)を駆って最愛のひとに会いに行くというのもありかと……
 もちろん、若き日のタランを従えて…(笑)♪

 10年の時を経てなおもひとりの女性を思い続けるアベルト・デスラー……その彼のストイックな優しさが少しでも表現できていれば嬉しいのですが。

 サーシャ・イスカンダル、ユリーシャ・イスカンダルのコラボレーションとともにお楽しみいただければ幸いです…♪

 そして、次週はお題ラスト《切り札》でお目にかかりたく存じます。
 もちろん、《切り札》と言えば、そしてガミラスファンの僕としては…わがワールドのエースに登場していただくつもりです!

では、また。
  • URL:http://yaplog.jp/tama2/archive/1149
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S-ドクター

なおQさま、こんばんわ…♪
アベルトをお気に召していただき、大変嬉しいです!

2199のアベルトはオリジナルのデスラー総統とは異なる存在と個人的には認識しています。
総統が総統たる所以は、スターシャをこよなく愛していること、古代進の好敵手であること、沖田艦長を立派な艦長と認識していること、雪&古代を通して真の愛とは何かを理解しうること、そしてタランの言うことに聞く耳を持っていることの条件が全てそろった時と考えています。

その点、2199のアベルトは本来の総統に程遠いのですが(こんなことを言ったら、総統に怒られてしまいますが…)、ただ一つ僕が変わらないなと自信を持って申し上げられる点は彼の(アベルト・デスラーの)優しいところです!
セレステラを自らの手で救い出し、道に迷ってしまっていますが(笑)、スターシャ・イスカンダルのために彼女に代って、宇宙の恒久的平和を実現しようとしたところですね…♪

古代守は実にいい男です。
この点は譲れません。
ですので、オリジナルのスターシャと古代守の間にデスラーの入り込む余地はありません(キッパリ!)。
ただ、2199ではファーストネームでスターシャがアベルトと呼ぶ関係ですし、イスカンダルの王宮の間にガミラス天井画が存在していました!

きっと、かつては二人はもっと心を通わせていたと思います…♪
そんなアベルトの優しさを表現したくて本作品を書き上げましたが、実は以前より二人に関してずっと物語を描きたかったのですが、書けませんでした…
今回なおQさまから《夏》のお題を頂いた際にまず、《イスカンダルの蒼き夏》がイメージされました。
その意味で、お題提供頂いたことにこの場を借りて感謝いたします!

さて、次回はラスト《切り札》ですが、ガミラスファンの僕はもちろん我がワールドのエースを登場させます…♪
さらに、まぶしいアベルトと紅の…この辺にしておきましょう(笑)。
皆様《切り札》を出してこられるでしょうから、素敵な作品の世界でお会いしましょう…♪
コメントありがとうございました!

August 05 [Tue], 2014, 22:55
なおQ
こんばんは
2199本編の総統もこれくらいピュアであって欲しかった
S-ドクターさまの書かれる総統、かっこいいし、眩しく感じます
タランの言う事を聞かない総統は(2199の)よくないですよね
August 05 [Tue], 2014, 22:07
S-ドクター

ポトスさん、こんばんわ…♪
はい、その通りです。
オリジナルのふたりにはあり得ないお話です。
オリジナルの25話(スターシャ&古代守)にデスラー総統の入り込む余地は残されていませんでしたから。

ただ、2199ヤマトに限って言えば、こんなこともあろうかと思います…♪
スターシャ・イスカンダルが総統に抗議に現れたシーンでファーストネームで《アベルト…》と呼んでいました。

そして、道に迷ってしまった2199のアベルトはスターシャのことのみ考えていますね。
好きな女性のために自分が代わって宇宙の恒久的平和を…と約束するアベルト、嫌いじゃありません。大好きですね…♪

寄り添うふたりがイメージされたとするならとても嬉しいです!

ガミラス天井画(正確には《対軌道上の神話 The saga on twin orbits−museum edition−》というのだそうですが…)に描かれしスターシャ&アベルトを見た際に自然と降りてきたイメージです…♪

お気付きかも知れませんが、なぜか2199でスターシャの《アベルト…》を耳にして以来、デスラー総統と呼べなくなってしまいました。
今現在、僕の中にはふたりのデスラーが存在しています。

オリジナルのデスラー総統&アベルト・デスラー

無理に分ける必要はありませんが、そうすることで2199のアベルトをより理解しやすくなっています…♪

確かに、イスカンダルの夏は暑くとも…アベルトに汗は似合いません(笑)。
カラッとしたイスカンダルの《蒼》の夏…唯一アベルトが心の安らぎを感じられる時空です。

今週の「切り札」…僕のガミラス愛を感じて頂ければ素直に嬉しく存じます。
コメントありがとうございました!


August 04 [Mon], 2014, 20:29
こんにちは、ポトスです。
企画へのご参加ありがとうございます。

オリジナルのふたりに何かあったとは思いにくいのですが(笑)、
2199のふたりにはこんな時間が存在したのかもしれません。

夏の強い日差しの下なのに、ふたりの時間はゆったりと静かに流れているような気がしました。
イスカンダルの夏は、日差しは強くとも湿度は低そうです。
寄り添うふたりがとても素敵だと思いました。

ではでは、来週の「切り札」楽しみにしております♪
August 04 [Mon], 2014, 18:36
S-ドクター

こんばんわ…♪
札幌から帰ってきました。

はい、80%が海です!

アベルトは新見薫ではないですが、道に迷ってしまったんです…
スターシャ・イスカンダルのためとは言え、とても悲しいことです。
自分では彼女のために…と思ってしたことが、彼女の意にそぐわない結果となってしまって。
そんなところに、古代守は別次元の優しさで登場してきましたね!

まっ、このお話はアベルトファンの儚い期待が紡がれたものですので、そんなお話もあったのかぐらいにテロン側のファンは受け止めて頂けると嬉しいです。

僕はファーストガンダム世代で、シャアのファンです。
今回ユニコーンepisode7は劇場で見ましたが、来年のThe originを待ち望んでいます!

さて、さとこさんはディズニー・シーにも行かれましたよね!?
アトラクションのひとつに台風を吹き飛ばす装置があったと思うのですが体験されましたか?

数年前のことですので現存するのかわかりませんが、あの装置のことが頭から離れないんですよ。

あれがあれば、台風のコントロールができるはずなのに…

コメントありがとうございました!
August 03 [Sun], 2014, 21:55
さとこ
デスラー総統もこのような甘い青春時代があったんですね。

イスカンダルは80%が海でしたっけ。
本当に青と言うイメージです。

古代守はデスラーとの思い出を追いやるほどの
恋仲だったのかしら(笑)

自然のコントロールで思い出しましたが
s−ドクターさんはガンダムも見られましたよね?

息子にガンタ゜ムの説明をしたことがあるのですが
「アムロがバギーに乗ってたら、雨が降ってきたのよ。
 『天気の予定表くらいくれたら良いのに』なんて言うの」
と言ったことがあります。
August 03 [Sun], 2014, 20:42
s−ドクター

お褒めいただきありがとうございます…🎵
その通りですよ❗️
うだる様な暑さはアベルトには似合わない…
だって、日焼けしちゃうでしょ⁉︎…

認定いただきありがとう。
時々、ガミファンでないもう一人の自分が顔を出し、総統閣下にお叱りを受けたりもしますが(笑)。

今回どうしようかと迷いましたが2199のスターシャとアベルトでカップリングさせていただきました…🎵

オリジナルのスターシャ&デスラー総統ではそうは行きません。
流石にオリジナルの25話は崩せないんです❗️

が、しかし…2199の2人にはきっとこんなエピソードがあると思います。

真田、古代守を含めた工作班はテロン側《蒼》のイメージですが、アベルト&スターシャ・イスカンダルの2人もやはり《蒼》が似合うと思います。

今回、アベルトの《蒼》をツヴァルケで表現しましたが、いずれ近いうちにテロン側の《蒼》をコスモゼロ・イニシャルヴァージョンで表現するつもり…🎵

僕もさくらさんと同意見です。
優しいアベルトの変容の理由はわからないまでも、スターシャはきっと心配していた…だからこそ、お願い…アベルトもうやめて…のセリフが生きてくると思います。

蒼翠晶 のストローハットは惑星の記憶を宿す意味を持ちます。
あの日のイスカンダルの素敵な初夏の思い出をきっとその内に包み込んでくれると思います…🎵

コメントありがとうございました!
August 01 [Fri], 2014, 16:31
さくら
2199を見た後だと、夏といえば、イスカンダルの海が浮かびます。
夏は夏でも、初夏。
うだるような暑さは、いけませんわ。

で、思いっきり、ドクターは、ガミファンですよ〜
再認識ですか?
再認識するまでもなく、私が、認定いたします!

スターシアとのラブは、アリかといえぱ、ま、2199のアベルトなら、アリでもいいかな。
私は、スターシアは、アベルトの事を心配していたんだと思っています。
優しいアベルトを知っているから、何故?どうして?と思っていたんじゃないかな・・・・

スターシアは、守兄さんに会うまで、真実の愛を知らない!と、言いたいところなんですが、2199のスターシアは、私としては、不満なところがあるので、スターシアと守兄さんを100%は認めたくないんですよね〜
きっとスターシアが、もっと献身的に介護したは、守兄さんは死ななかったに違いない(笑)

ま、冗談はさておき、初夏のイスカンダルに、三姉妹が蒼水晶の花をあしらったストローハットは、とても美しいでしょうね♪
元気なサーシャ姫に、会いたいてすね。
オリジナルでも、2199でも、サーシャの瞳が開くことがなかったのが、残念に思っていたので、こうした幸せな三姉妹の様子を読める事ができて、嬉しいです。

この暑さですから、メラン特製のお洋服が欲しいです。
メラン特製のお洋服といっても、幻影の中に出てきたお人形のお洋服は、怖いからやめて下さいね。

あの蒼い鳥が、何故イスカンダルとガミラス両方に居たのかが、これで分かりました。


流石ドクター、アベルトとスターシアのラブ♥を描くと、筆が進むといった感じでしょうか?
August 01 [Fri], 2014, 15:41
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