クイーン
2007年05月02日(水) 15時18分

※映画感想です。お気をつけ下さい※
『クイーン』見てきました。
ダイアナ元皇太子后の死を巡っての英国王室と国民の対立の数日間を描いたドラマ。すごく面白い。今日の面白いは面白おかしいじゃなくて興味深いの方です。蛇足。
実在の人物、しかも存命中の女王を描くという試みは、半世紀ちょっと前まで君主は神様だった国に生まれた者としてはちょっと信じられないような大冒険に思えるのですがそれができちゃう辺りがそれこそあの国の王室支持率の高さの要因なんでしょうか。すごいな英国。
題材が題材だけにアカデミックで堅苦しい映画なのかなと想像してたのですが、威厳や気品を損なわないままに人間らしさの垣間見える女王の描写や、淡々とした語り口ながら当時の実際の映像(多分)を交えつつ真実らしさの中にたっぷりのスリルを添えた展開が見るからに難しい題材を最高のエンターテイメントとして見事に昇華させていて、引き込まれました。
まだ耳なれなかった「パパラッチ」ということばの語感の不思議な感覚とかバッキンガム宮殿の回りを埋めるかのように囲む無数の花束は当時こどもだった私の記憶にもはっきりと残っている。英国の何かを変えたあの事故の影で女王が考えたことは何だったのか。そもそもあの国にとっての女王とは何なのか。色々考えさせられたもののまあ何か思い付くわけでも無く、ただオスカーを勝ち取った際のヘレン・ミレンのスピーチをちょっと噛み締めてしまいました。"I give you the Queen"…深い。
ヘレン・ミレンのパフォーマンスは噂通りすごかったです。ただ思ったよりも地味だったと言うか、「ワタクシ演じているわよ」みたいな圧倒するようなものではなくて、作品に溶け込むように自然と女王そのものな感じでした。むしろその自然さこそが不自然なことなのでやっぱりものすごいことなんでしょうけれども。チャールズ皇太子なんかはドキュメンタリー番組の再現映像程度の似せ方で、ミレンの女王そのものっぷりのせいで最初ちょっと違和感があったのですが純粋に物語自体の面白味が手伝って見ているうちに全然気にならなくなりました。トニー・ブレアは政府製作なのではと思うくらいおいしい役ドコロでした。でも王室と政府と国民の三つどもえにするならもうちょっと毒があった方が面白かったような気もするんですけど。あのポジションならわざわざ首相じゃなくてもその辺の新聞記者かなんかの視点でも大して変わらなかったような。個人的にはエデインバラ公が素敵でときめきました。控えめなポジションながらフィリップ殿下とか王太后の描かれ方が作品の方向性にかなり影響を与えてたように思いました。
おもしろいなーと思ったのが毎朝女王のところに届けられる新聞にタブロイド紙も混ざっていて、女王もそれに目を通している辺り。イギリスらしさと、ことば面から感じる「王室」の厳粛なイメージとはかけ離れた革新的な一面(所謂「開かれた王室」というやつ)をよく表しているなと思いました。余談ですけどお堀の中に東スポとかちょっと想像付かないですよね(まあ大衆紙と言っても意味が大分違いますけど)。
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