【作:西澤保彦 文藝春秋(文庫) 本体価格600円】
場所も目的も分からない完全管理の『学校』に、世界中から集められた『ぼくら』は、ワークショップ(実習)という名目で奇妙な犯人当てクイズをさせられている。
そんなギリギリながらも辛うじてバランスを保っていた6人に、新入生が加わることとなった。
異様な空気の歪みを感じたその瞬間、『学校』に潜む『邪悪なモノ』は目覚め、悲劇は動き出す――
表紙裏には『驚愕の結末と周到な伏線』いう煽り文句。
こう書かれてしまっては期待が膨らむと同時に、いやがうえにも身構えてしまうのだが。それでもあっさりと騙されてしまった。
これはちょっと気持ちがいい。
そして、奇妙な『徹底的に管理された学校』という施設の背景や構造が、これでもかといわんばかりに巧みに描写されていく。
私物は一切持ち込めず、あり得ないほど不味い料理を食べ、テストの成績でしかお菓子やジュースを買うお小遣いがもらえないというシステムは、いかにも意味ありげだ。
舞台装置としての異常と日常のギリギリの境界線の引き方がいい。
そこにいる生徒たちもまた個性的ではあり、一番の新参者である『ぼく』の知らない出来事を共有しては、さりげなくソレを提示してくるのだ。
実習と称して渡された『犯人当て』はもとより、自分たちは何のためにここにいて、何のためにこんな『教育』を受けているのか、それぞれが推理を披露していくのも面白い。
もちろん、謎はひとつやふたつでは済まない。
言葉を交わし、互いが胸の内に秘めている感覚をそっと打ち明けることで、更に別の可能性も浮上してくるのだ。
しかも、小出しにされる情報と、様々な友人たちの推理が展開されていくうちに、漠然と、世界を覆う不吉な影に捕らわれる。
そうして、事象に対する視線や思考方法が鍛えられていくのだ。
だが、全ては、真実へと辿り着く為の前準備だったのかもしれない。
幻と現実、真実と虚偽の境目を知ることが怖い。
物語の着地点を知った時、真相への驚きとともに、何とも言えない不安定な揺らぎを感じてしまった。
場所も目的も分からない完全管理の『学校』に、世界中から集められた『ぼくら』は、ワークショップ(実習)という名目で奇妙な犯人当てクイズをさせられている。
そんなギリギリながらも辛うじてバランスを保っていた6人に、新入生が加わることとなった。
異様な空気の歪みを感じたその瞬間、『学校』に潜む『邪悪なモノ』は目覚め、悲劇は動き出す――
表紙裏には『驚愕の結末と周到な伏線』いう煽り文句。
こう書かれてしまっては期待が膨らむと同時に、いやがうえにも身構えてしまうのだが。それでもあっさりと騙されてしまった。
これはちょっと気持ちがいい。
そして、奇妙な『徹底的に管理された学校』という施設の背景や構造が、これでもかといわんばかりに巧みに描写されていく。
私物は一切持ち込めず、あり得ないほど不味い料理を食べ、テストの成績でしかお菓子やジュースを買うお小遣いがもらえないというシステムは、いかにも意味ありげだ。
舞台装置としての異常と日常のギリギリの境界線の引き方がいい。
そこにいる生徒たちもまた個性的ではあり、一番の新参者である『ぼく』の知らない出来事を共有しては、さりげなくソレを提示してくるのだ。
実習と称して渡された『犯人当て』はもとより、自分たちは何のためにここにいて、何のためにこんな『教育』を受けているのか、それぞれが推理を披露していくのも面白い。
もちろん、謎はひとつやふたつでは済まない。
言葉を交わし、互いが胸の内に秘めている感覚をそっと打ち明けることで、更に別の可能性も浮上してくるのだ。
しかも、小出しにされる情報と、様々な友人たちの推理が展開されていくうちに、漠然と、世界を覆う不吉な影に捕らわれる。
そうして、事象に対する視線や思考方法が鍛えられていくのだ。
だが、全ては、真実へと辿り着く為の前準備だったのかもしれない。
幻と現実、真実と虚偽の境目を知ることが怖い。
物語の着地点を知った時、真相への驚きとともに、何とも言えない不安定な揺らぎを感じてしまった。
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