あなたの人生、次何が起きる? そして

October 21 [Mon], 2013, 15:00
けて達也さんは兄を止めた。まるで勝ち逃げは許さないと言うかのように。
「一度、きちんとご挨拶をさせていただけませんか」
 街灯の光が作り出す陰影に顔は半分隠れていたが、彼の目ははっきりと兄を見据えていた。人をたじろがせるほどの強い眼差し。しかし兄はこれを軽くかわした。

「初めてお会いしたときにきちんと挨拶をしませんでしたか? 名刺も頂きましたが」
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「僕と妹さんは」
「もう上司と部下ではないんですよね」
「え?」
「組織改編をしたそうじゃないですか。だからあなたはもう妹の上司ではない。少しばかり仲良くさせてもらっていたみたいですが、妹も部下としての義理は果たしたんじゃありませんか?」
「義理?」
「あんちゃん、何言って……」
 達也さんが一瞬怯んだ隙を突いて兄は更なる口撃をぶつけた。
「遊びが終わって日が暮れたら家に帰るものでしょう? ひとり残るのが嫌だからといって、帰る家のある者をいつまでも引き止めるべきではありませんよ、瀬尾係長」

 動き出した車が街灯の光の下に達也さんを置き去りにする。次第にその姿が小さくなり道を曲がって見えなくなると、彼への申し訳なさに胸がきしんだ。
「あんちゃん、ひどい! 達也さんの話も聞かないで、あんな言い方」
「少しはお兄ちゃんの気持ちもわかってくれよ。愛する可愛い妹に恨まれるのを覚悟の上で、わざと憎まれ役を買って出たんだぞ。俺がどんなに心を鬼にしたか」
 楽しんでやったくせに何を言う!
「いいんだいいんだ、しょせん兄とは孤独な生き物なんだ。いつか妹が人生を振り返ったとき、初めて気づくその大きくて深い愛情。『ごめんね、お兄ちゃん……大好き』」
「あんちゃんのバカ! もう知らない!」
「くうーっ。それ、萌えるなぁ」
……変態につける薬はないのか。


 九品仏駅で電車を降りホームの先端まで歩く。小さな駅の小さな駅舎。改札口で私を待つのはピチっとした濃紺のニットにチノパンを合わせた彼。その姿を見つけるなり走り寄ると、達也さんの顔から白い歯がのぞく。
「なんで走ってるんだよ」
 その表情はいつもどおりだったが、不安を抱えた私は彼からそのことを指摘された。
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「そんな顔してると今すぐここでキスするよ?」
 耳もとでそっとささやかれ飛び上がった。可笑しそうな眼差しを向ける彼を睨む。
 人の気も知らないで!
 昨夜は家に着くなりメールを送った。彼には帰る家がない、と兄がほのめかしたことをどう受け取ったのか心配で仕方がなかった。
《兄がひどいこと言ってごめんなさい。明日はそっちに行くね》
《大丈夫、気にしてないよ。駅まで迎えに行く》
 すぐに届いた返信にはそう書かれていたけれど、本当の気持ちかどうかはわからない。実際に会って言葉を交わすまでは――そんな不安が頭にこびりついていた。

 スーパーに寄って食材を買ってから彼の家に向かう。相変わらず食の好みははっきりしないが、ともに何かをするのは彼にとっても嬉しいことらしい。買い物をする間も楽しそうで、心配はいらなかったのかと拍子抜けしたほどだ。
 しかしキッチンで買った食材を片付けていると、背後から伸びてきた腕に捕えられた。
 彼の手が髪をすべて片側に流し首筋を露にさせる。そこに落とされる唇。舌が這い、耳たぶを甘噛みされ身体に震えが走った。
 胸から脇、腰から脚へと、服の上を長い指が艶かしい余韻を残しながら動いていく。彼の望みが何であるかを教え、私にも同じ欲望を抱かせようとする手。
「今すぐ欲しい。おいで美春」 
 嫌とは言わせない。口には出さない思いが声に滲んで、私から言葉を奪う。
 広くなったベッドの上で唇を荒々しく求めてから、ふいに彼は目を覗き込んで言った。
「君は僕のものだ、美春。お兄さんのものでも他の誰のものでもない。全部僕のものだ」
 その言葉を証明するかのように、彼は身体の隅々まで私を求めた。奥深くまでつながり合って、心のすべてもまた重なり合うように、何度も何度も――ふたりの情
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