オニイサン

February 12 [Thu], 2015, 21:44
挨拶替わりに短編小説でも1つ!
12月くらいに愛好会の部誌用に書いたやつです!
ホラーになりきれてないホラー…全然怖くないです、ゾクリともしません((




………………………………………………

「ある日ある時、どこかの怪談話でも、しようかな」


にこやかに言う、彼がこうやって場所や時代を伏せるのは、珍しいことだった。

彼、…___さんは近所に住むお兄さんで、大学生だ。

その_?___さんの家に上がりこんで怪談話を聞くのは十数回目くらいだったが、こうやって意図的に伏せたのは初めてだった。


「何それ…どこなの?いつなの?ソコわかんないと面白くないよ」


「まぁまぁ、落ち着きなよ。そんなに教えて欲しいんなら、後で教えてあげるからさ」


問い詰めようとするオレを見て目を細め、クスリと笑った___さんは、静かに話し始めた。



++++++++++++++++++++++++


…その学校には、いくつかの怪談話が存在した。

トイレの花子さんとか、歩く二宮金次郎像とか、そういう有名なものもいくつかあった…が、今回の話の主役はそんなんじゃない。

悪い幽霊、怖いお化けなんかの話はすぐに広まっていくが、この主役は悪くも怖くもない、むしろいい幽霊で…怪談話というよりも、噂話くらいの感覚で流れていたのかもしれない。

それでも確かにその話は存在して、その話の内容はこうだった。


「校舎の前の桜の木の前で、自分の悩みを書いた紙と何かお菓子を一緒に燃やせば、次の日、自分の机の中にその悩みの解決方法が書いてある紙が必ず入っている」


「ただし、燃やすところを見られてもならないし、自分が相談したこと教えてもならないし、返事の紙を他人に見せてはならない。もしこれを破るともう2度と幽霊は答えてくれない」


…幽霊の悩み相談、といった具合か。

自分達や大人達よりも長くこの世に居続けている幽霊は経験豊富で、相談相手にはうってつけだろう。

しかし、「誰にも見られてはいけないし知られてもいけない」という縛りがあり、その大々的には流れず、徐々に消えていった………



++++++++++++++++++++++++


ふぅん、で?と言いたくなる内容だった。

ゾクゾクするような怖い話をしてほしかったのに、こんな話をするなんて…。


「どう?いつもとは違った感じのだけど」


「どうって…いっつもの方がいい」


素直にそう言うと、___さんは苦笑交じりに「そっか…」と呟いた。


「あ、でも、どこの学校かは教えて欲しいんだけど」


もしかしたら、近くの学校なのかも知れない。

そうだったら、少しは面白いかも、と思って聞いた。近くっていったら西か南か…?

少しわくわくして答えを待つオレに、___さんはオレの欲する答えではなく、一つ条件を突きつけてきた。


「じゃあ、学校を教える代わりに一つ、お願いを聞いてくれないか?」


迷う理由はなかった。「うん」と一つうなずいて、その条件を受け入れた。

じゃあ、と言って___さんが告げた学校の名は…オレの通う学校の名だった。


「えっ、うちの学校!?」


驚いて声を上げたオレに、落ち着いてというように___さんの手がオレの肩におかれて

…___さんの手はゾクリとする寒さをまとっていた。


「さて、僕からのお願いを聞いてもらおうかな」


言いながら重力をまるで感じていないような動作で、彼はゆらりと立ち上がった。


「お願いっていうのはね、この話を広めてもらうことなんだ」


___さんは本棚へ向かって歩く。

歩く、けど、足音何ていうものは一切聞こえない。

本当に、歩いているのか?

そんなことを確かめる余裕はない。


彼の手は、本棚に差し込まれた数冊のファイルのうちのひとつに伸びていった。


ファイルを開いたそこにあったのは、色とりどりの便箋。

そして、それらには必ず「幽霊様へ」と書かれてあった。


「いやぁ、最近全然相談してくれなくてさぁ、さびしいんだよね」


にこやかだと思っていた彼の笑顔は、いま改めて見ると生気が全く感じられない。

ゾクリと、背筋に寒気が走る。


「…ねぇ、___さん…」


「そういや、前から思ってたんだけどね」


「え…?」



「それ、誰の名前を呼ぼうとしてるの?」



ッ、と息が詰まる。もちろん、貴方の名前だ。

ほら、彼の名前は…あれ?


「貴方は…えぇと…」


え、だって、この家に入るときだって、たわいもない会話のなかでだって、沢山呼んできた。

これまでも、沢山、たくさん…

この人の、この人の名前は…


「あぁ、僕の名前?」


ふ、と微笑んで彼は言う。


「言えないのが普通だよ、だって」


止めて、だってこの人は普通の人で―…







「だって僕、本来この世に存在してはいけない存在だからね」




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