IFRSキーパーソンが語る、XBRLへの期待と少しの注文 

March 26 [Fri], 2010, 1:00
 XBRL Japanは3月12日、「XBRLとIFRS:世界を変える2つの共通言語」と題するシンポジウムを開催した。国内外でIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)を推進する関係者が講演し、XBRLへの期待(と若干の注文)を述べた。国内で一定の普及が見られるXBRLはIFRS適用を機にさらに飛躍するだろうか。

 XBRLは国税庁の国税電子申告システム(e-Tax)のほかに、金融庁のEDINET、東京証券取引所のTDnetなどが採用し、「会計関係者の間でポピュラーになった」(XBRL Japan会長の高木勇三氏)。ただ、「残念ながら本来のパフォーマンスを発揮していない」(同氏)との思いが関係者にはあるようだ。財務情報を利用する投資家やアナリストなどにとって情報の加工や比較が容易なXBRLは利便性が高いが、財務情報の作成者にとってはそのメリットが見いだしにくいからだ。

 高木氏はXBRLについて、「アニュアルレポート作成者のコスト低減、市場監督者のモニタリング機能の向上、財務情報利用者の財務分析に新たな次元をもたらすテクノロジ」と説明するが、「その認識は十分に共有されていない」のが現状だ。

 IFRS関係者やXBRL関係者は、日本のIFRS適用がXBRLの再飛躍につながることを期待する。日本経済団体連合会の経済法規委員会企業会計部会 部会長で、IASCF(国際会計基準委員会財団)の評議員を務める島崎憲明氏は「日本の市場関係者がいまだ国境を感じるのが言語。財務諸表の世界でその問題を解決する鍵になるのがIFRSとXBRLだ」と話し、2つの世界標準への期待を示した。ただ、「財務諸表作成者のベネフィットについてはいまだに腑に落ちない」として、財務諸表作成者にとっての利便性などが明確になれば採用増加につながると話した。

 島崎氏は企業でのXBRL活用の例として、グループでのアカウンティングポリシー作成への利用や、IFRSで増加するといわれる注記情報の収集、経営管理ツールとしての利用などを挙げた。「今後は経理・財務と結び付く形でXBRLについての議論を深められればと思う」(島崎氏)

 一方で、IFRS適用に向けたのXBRLの環境整備は着実に進んでいるようだ。金融庁は3月2日にIFRSの任意適用に対応したEDINET概要書(案)を公表した(参考記事:EDINET提出もIFRS対応へ、金融庁が改正案公表)。また、IASCFのXBRL部門ディレクターのオリビエ・セルベ氏は講演で、2009年版のIFRSタクソノミについて「まもなく日本語バージョンを公開する」と話した。2009年版のIFRSタクソノミは英語のほかに、中国語や韓国語、フランス語、ドイツ語などのバージョンがすでに公開されている。IFRSタクソノミの日本語訳は企業会計基準委員会(ASBJ)が進めているという。

 ASBJはタクソノミをはじめとして翻訳体制の強化を図っていて、講演したASBJ 委員長の西川郁生氏はIFRSの翻訳について「タイムリーに情報を出す必要があり、英語に遅れずに翻訳できるような体制を整えた」と話した。

●米国停滞で注目される日本

 講演者からはSEC(米国証券取引委員会)が2月24日に公表した声明文についてもコメントも聞けた(参考記事:米国のIFRS適用は2015年以降に後ろ倒し、SECが声明文)。声明文は2008年に公表したロードマップ案を訂正し、米国企業へのIFRSの強制適用を従来の2014年から2015年以降に遅らせる内容。任意適用も認めない方針で、米国がIFRS適用を後退させたとも受け取ることができる。この声明文について、IASB(国際会計基準審議会)の理事 山田辰己氏は、米国がIFRS適用の条件としてMoUの終了を挙げていくことを指摘し、「われわれとしては2011年6月までに完成させることを考えている」と強調した。

 また、島崎氏は「米国に若干のもたつきがある中で、日本の(IFRSを支持する)動きは注目されている」と語り、「IFRSファミリーとしていろいろ注文を出すが、基本は一緒に協力して品質の高い基準を作るという姿勢が大切だと思っている」と話した。 3月15日21時18分配信 @IT
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100315-00000001-zdn_ait-sci