サイダーハウス・ルール
1999年 アメリカ 131分
原題:THE CIDER HOUSE RULES
原作・脚色:ジョン・アーヴィング
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:トビー・マグワイア 、シャーリーズ・セロン 、マイケル・ケイン 、デルロイ・リンドー 、ポール・ラッド 、キーラン・カルキン 、ジェーン・アレクサンダー 、キャシー・ベイカー 、エリカ・バドゥ 、ケイト・ネリガン 、K・トッド・フリーマン 、J・K・シモンズ 、エヴァン・デクスター・パーク 、スカイ・マッコール・バートシアク 、エリック・パー・サリヴァン、他
『サイダーハウス・ルール』公式サイト
私はアメリカの作家、J.アーヴィングの大ファンです。
アーヴィングの作品は、その奇想天外でドラマチックなストーリーテリング故、長編作品のほとんどが映画化されています。なので、映画から原作ファンになった人も多いと思います。私も本と映画の両方からほぼ同時にアーヴィング体験をして、忘れられないものとなったわけなのですが・・・。
アーヴィングの映画化された作品は佳作が多く、どれも大好きです。※多少贔屓目に見ている作品もありますが・・・(^^;
その中で、この「サイダーハウス・ルール」は、執筆活動以外にも精力的にいろいろ活動しているアーヴィングが、映画製作に本腰を入れた思い出の作品としてファンの間では認識している作品。唯一アーヴィングが自分で脚本を書き、アカデミー脚色賞を受賞しています。(また端役で出演もしています。)
私はこの作品をまず原作で読み、その後劇場で映画を観ましたが、以前、知人に「サイダーハウス・ルール」の本を贈ったことがあり、贈ったことすら忘れていた、つい先日、その知人から読み終わったと連絡が入ったのをきっかけに、久々に映画をDVDで観ることにしました。
原作の「サイダーハウス・ルール」の物語は主人公の孤児のホーマーと、孤児院長であり産婦人科医のDr.ラーチのW主役という感じで話は進みますが、映画ではホーマーの話を軸に展開します。Dr.ラーチの扱いが少なく、登場人物もかなり削られているところが原作ファンとしては悲しいところではあるが、映画版としての“ホーマー”「サイダーハウス・ルール」は、これはこれとして、よく出来ている作品です。
ひとえに、ラッセ・ハルストレムによる、丁寧な演出の効果は大きい。
それから、原作ファンも納得する、ピッタリなキャスティング。トビー君は、今でこそスパイダーマンの顔になっていますが、このホーマー役でも脚光を浴びていたわけです。そして、出番は少ないが印象的なシーンが多かったDr.ラーチ役のマイケル・ケインは、アカデミー助演男優賞を獲りました。
ラッセ・ハルストレムによる丁寧な演出のひとつに、作品の舞台であるメイン州ニュー・イングランドに広がる広大な自然が四季を通じ、美しく描かれているのですが、これがなんとも素晴らしい。
サイダー・ハウスとは、りんご果樹園にある、(収穫期になるとやってくる)季節労働者向けの宿舎のこと。ルールとはもちろん規則のことで、雇い主が書いて宿舎に貼った「決まり事」の用紙のことです。
映画では、主人公ホーマーの成長とともに、人生の生き方(ルール)とは何ぞやということに、アーヴィングの恒久的なテーマのひとつである堕胎の問題を取り入れて描いています。
この静かで、淡々としていながら、実は物凄いショッキングなテーマを扱っているのが、アーヴィング作品の特長。淡々としていながら、出てくる人間は、実はみんな混乱していて、支離滅裂な行動をとったりする。それこそが人生であり、「生きる」ということなのである・・・・・
と、他の数多くのアーヴィングの作品とともに、この作品からも教えられました。
森や海岸、果樹園などの自然の美しさに魅了されながら、戸惑いながらも自分の人生を歩む勇気をくれる作品です。
秋の夜長にゆっくり観賞してみてください。
おすすめ度★★★★☆