11「ねえ

July 16 [Tue], 2013, 12:53

大野さん、ちよつとでいゝから、わたしの幼な顔を想ひ出してくださいよ。別に美少年といふんではなかつたが、おやぢがその頃はまだ珍しい背広型の服を着せてくれたもんだから、それをいくらか得意にしてさ、女の子の前をぶらぶら歩いてみせたこともありますよ。だが、大野トシといふお姉さんには、徹頭徹尾、頭があがらなかつた。顔もまともには見られなかつた。さうさう、その洋服を着ると、よく、大野なんとかつていふ表札の出てゐる、つまりニューバランス 1500、トシ姉さんのゐる家の南の溝板の上にしやがんで、その溝板へ指でいたずら書きをしたもんだ。お姉さんが今にも出て来るか出て来るかと、心待ちに待ちながら、夕日の沈む頃まで、楽しいやうな、淋しいやうないく時間かを過したもんです」
 その時、産婆大野登志の頬がかすかに紅らんで、彼を優しく睨むやうに見えた。
「まるで、嘘みたい……」
と、妻の順子は、吐き出すやうに言つた。
「嘘みたいだが、ほんとなんだ。おれも、昨日
きのふニューバランス 574

、この大野さんにお目にかゝつた瞬間、やつぱりこいつは違ふと思つたよ。それほど、お年をとられたといふよりも、おれの少年時代の記憶が、なんといつても、あやふやなんだ。たゞ、大野さんと違ふところは、大野さんはまつたく無関心、おれの方は、夢ニューバランス スニーカー レディース
中でのぼせてゐた、といふところだけだ」
 彼も、その話が、妻の順子にとつて、あまり愉快なものではないらしいと気がついたので、いゝ加減に打ち切らうと思つてゐると、今度は、大野登志が、赤ん坊を妻のそばへ連れて来た序に、妻に向つて、低く、笑ひながら呟いた。「奥さん、あたくし、やつと、ぼんやり想ひ出しましたわ。大人みたいな服を着た、頭をおかつぱにしたおませさんの男の子が、ニューバランス1400しよつちう家の門の前でうろうろしてるのを、そこは、伯父の家でしたけれど、伯母が、変な子だねえつて言つたのを覚えてますわ。でも、あたくしは、ちつとも変だなんて思ひませんでしたの。人懐つこい子なんだなあ、と、たゞ、さう思つただけですの。さうでした、その時、ちやんと、伯母から、その子の名前を聞いたんですわ。それから、姪の学校の入学式に附添つて行つた時、その子が、たしか、上ニューバランス996級の級長をしてゐて、その名前が教室の前に、級長鈴村博志つて出てゐるのを、はつきりこの眼で見ましたの。さう、さう、さうですわ。今、はつきり、その子の顔も眼に浮ぶやうですわ。でも、それが、この旦那様だなんて、まるで見当もつきませんわ」ニューバランス スニーカー

プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:szdfhsg
読者になる
2013年07月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/szdfhsg/index1_0.rdf