2007年05月25日(金) 20時25分
どれくらいの時間が経ったのだろう?
あの時、確かにオレの心臓は止まった…
何か強烈な衝撃を受け、オレの心臓は動いていた
目を覚まし、起き上がるとそこには何も無くなっていた
”とりあえず状況を把握しないと…”
立ち上がったオレは、ひとつのペンダントを見つけた
「これは…」 ペンダントを拾うと、ペンダントトップがカチッと音を立てて開いた
開いたペンダントトップから小さく折られた紙が落ちた
「オレあての手紙…?」
”これをお前が読んでいるって事は俺は何らかの形でもう死んでいるだろう”
これがオレにはマサカゲが書いた物だというのが何故かすぐにわかった
”ここに俺が知っている全ての「過去」を書き記す
5年前、俺に一つの依頼が舞い込んだ
その時組んでいた相棒を殺せという内容の依頼だった
断る事は容易だったが断らなかった
俺は5年前、相棒である「お前」を殺した”

”オレが5年前に死んだだと? しかもアイツに殺された…?”

”しかしそれはお前自身の殺害ではなく「記憶」の抹消という依頼だった
記憶を消したお前に「俺のクローンだ」と教えたのも俺だ
いつまでも俺を恨み、それで力をつけるなら俺はそれでもよかった
俺はお前に殺される事を望んでいた
しかしそれも叶わなくなってしまった
死病にかかってしまった 治らない病気でな
戦闘を重ねるごとに症状が悪化していき、俺の力が弱くなっていった
だから最後の罪滅ぼしも兼ねてお前と戦った
思ったよりも力をつけてて手加減を忘れちまった
…今まで悪かったな 昔のままのお前にだったら絶対に謝らなかったんだがな
お前は変わったよ 強くなった 俺よりもな
最後だ 一つ教えておく
お前の記憶の在り処だ
「忘れられたオアシス」
これを忘れるな
「我、命の重みを知る者なり」 オアシスの南東の三本傷の木の前で唱えろ
じゃあな 今まで色々世話になったな 相棒”

「… あの野郎…」 命の重み、か…
確かに今のオレは命がどれだけ大事なものかわかっている
一度死んだオレにはそれが尚更わかる
「確かに、受け取ったぜ 相棒」 読み終えた手紙を元の大きさに折り、ペンダントにしまって首にぶら下げた
忘れられたオアシス、行かなきゃならないようだな…

殺戮 

2007年04月24日(火) 14時16分
オレ達は休める場所を探してハノブの中を歩き回っていた
「どこもあの声の噂ばっかりだな… てかもう噂が立ってるのか」
「何せ印象的過ぎる”声”だったからな」
”ん? ちょっと待てよ…? 確かに声が聞こえた… でもおかしい? 何故聞こえたんだ?”
「どうした?」 「いや なんでもない… それよりも、オレ達も調査しようぜ」
「おいおい 俺はまだ体力すら回復してないんだぜ? いくらなんでもきついぞ…」
確かにドックを見る限り満身創痍で、どれだけ良く言ってもボロボロの状態だった
「じゃあドックは休んでろ オレ1人で行ってくる」
「お、おい 一体どうしたって言うんだよ? おい!!」
ドックは出せる限りの声でオレを止めようとしたが止まる事は出来なかった
何かとてつもなく嫌な予感がしてならない…
オレは、ビガプールからそう遠くないケルチ大橋へ向かう事にした
テレポーターと取引を済まし、ビガプールについたオレは急ぎケルチ大橋へ向かった
「頼むから死に急ぐのはやめてくれよ…?」 ケルチ大橋まで全速力で駆けていき、そこでオレが見たのはまさに惨劇だった
さっきまでハノブで声の主を究明すると意気込んでいたアーチャーやランサー達が1人残らず殺されていた…
「おや? 遅かったですね もう肩慣らしは済んでしまいましたよ?」 間違い無い あの声の主だ
その男は一見普通のWIZだったが、決定的に違う所があった
それは奴の左腕だった 左腕だけがこの世の物とは思えないぐらい凶悪な爪、肩からは鋭利な刃物に似た「角」がはえていた
「ったく おせぇんだよ レプリカ」 オレの後ろから聞きたくも無い聞きなれた声が聞こえた
「待っていましたよ アナタをね」 不適な笑みを浮かべ、奴はオレを貫くような目で見た
だが、ターゲットは間違いなくオレではなかった
「悪魔に魂を売った天使に待たれるとはな… 今度こそ消滅させてやるよ!!」
後ろから歩み寄ってくる足音はだんだんと早くなり、オレを押しのけて進んでいった
すれ違いざまに奴が言った一言で、オレは生まれて始めて「恐怖」で体が震えていた
そんなオレを無視し、1つの金属音の後に衝撃波が起きてオレは吹き飛ばされた
「ぐっ!!」 かなりの衝撃で、吹き飛ばされると同時に意識も飛ばされそうになった
「…っらぁ!! …っ」 飛び飛びにアイツの声が聞こえる
「…の程…か? …わくなり…たね」 ”何がどうなってるんだ…?”
音が聞こえなくなるのにそう時間はかからなかった
「こ…わり…」 謎のWIZの左腕が光りだし、1つの巨大な「火の玉」を生み出した
”ま、さか… メテ、オ…?” 考えるだけで体を動かすことが出来ないオレにはどうでもいい事のように思えた
「ファ…ボ…ル!!」 その火の玉はアイツの前で爆発した
そして次の瞬間、オレの心臓は止まった…

復活 

2007年03月28日(水) 19時58分
”アイツ 何かを「探せ」って言ってたな…”
ハノブの道端で座り込み、顎に手を当て考えていると
「おい 聞いたか? あのウワサ」「あぁ アレだろ? Lv200以下のキャラが藪にいるガーディアンをソロで倒すとLvが500になるっていうバグ」
「そうそう でもガーディアンが異常に強くなってて無理だよなぁ… 死んだら復活出来ないらしいし・・・」
「俺らには無理だよなぁ… 絶対死ぬって^^;」
”アイツはオレに「強くなれ」とも言ってたな 藪か… さほど遠くないな”
噂を耳にして、オレは一人で藪森へ向かう事にした
しかしオレが知らない所で「物語」は大きく動いていた…

−ダメル古代遺跡−
「ここにあるはずだ… ここのどこかに…」

−呪いの墓−
「我、汝の血の盟約により再び世を戦乱に陥れよう」

−名も無き崩れた塔最上階−
「この世に必要な物は闇だ ほかには何もいらぬ」

−ケルチ大橋−
「私を力の片鱗を解放するだけで皆さんに絶望を与えられるでしょう」

”何だ?” 今の声は…?”
藪についたオレに耳が入った
「今の声聞いたか? ボスキャラの登場だな」
「ま、まさか… ドック、なのか?」 「そうだ 今オレは廃鉱にいるらしい」
「廃鉱に? でもお前あの時は…」 「あぁ どうやら飛ばされたみたいだな とにかくこれからについて話がしたいからハノブまで戻れるか?」 「わかった 待ってろ」
オレは帰還の魔石を取り出し、握り締めた
ハノブに戻るとそこには見慣れたWIZと見慣れないアーチャーやランサーのたむろがあった
「どうしたんだ? ドック」 「さぁ? オレにはわからんな」
「我らアマゾネスは、先の謎の声の主を究明するべく 世界の探索をしようと思う」
「なっ!! 何を言ってるんだアイツは!」 「オレも最初は驚いた だがこれは好都合だ 奴らが見つけてくれればオレ達にも情報が入る それを利用して問題を解決すればいい」
「それはそうなんだがアイツらは大丈夫なのか?」 「ほっときゃいい 勝手にやる事だ」
二人で話し合いをしていたらランサーやアーチャーの集まりは無くなっていた。
この日はドックを休ませるために静かなところへ移る事にした…

メテオ 

2007年02月23日(金) 12時42分
「数年前の事だ 「奴」がオレにある話を持ちかけてきた。 奴はある実験をしていた。 そう、クローン複製技術の研究をな」
「く、クローン だと・・・?」 「そうだ クローンを作るためには強い力を持ったPCが必要だった そこでオレにその話を持ちかけてきた」
”それじゃあ オレは本当にアイツのクローンだっていうのか?”
「信じないのは勝手だが、オレはその時にある力を得た お前等「造り物」が暴走した時に止めるための力 それがこのスキルだ 武道家だけじゃない シーフ、BIS、WIZ、その他にも使えるスキルはある 例えば、これだ」 手を前にかざし目を閉じると静かに口を開いた
「グラビティーバインド」 アイツの手が一瞬ゆがんだように見えた次の瞬間、オレは地面に倒れていた
「ぐっ・・・ 何て圧力だっ・・・!!」 必死に起き上がろうとすると圧力は消えた
「これでわかっただろ オレの「力」が」
あたりを見回すと、奴を中心に周りの地面がえぐられたかのように押しつぶされていた
ガレキが崩れる音がすると、ドックが立ち上がった
「おい 無理するな 帰還しろ!!」 オレはドックに向かって帰還の巻物を投げる
しかしドックはわき目も触れずに呪文を詠唱している
「ガン・ゲルキ・オ・ジェ・ザ・シェルグ・ゲオ・ギアサ・ケルイ・ノーツェンド」
呪文の詠唱を終えると目を閉じオレに「逃げろ」と一言だけ言った
「バカ野郎!! お前をおいて行けるわけないだろ!!」
その言葉を聞いたドックは横目でオレを見ながら笑った
「お前ならそういうと思ったぜ わかりやすい奴だな ホント」
一瞬見せたドックの笑顔、オレは何もすることが出来なかった
「メテオシャワー!!」 呪文が発動する ドックの杖が今までに見せたこともないような輝きを放ち、周辺をその光が包み込んだ
「光が強くなるほど、影もまた強くなる」 気付けばあの戦士が立っていた所には影しか残っていなかった
光が薄れた時、オレが見た物は無傷で立っている戦士と倒れて息もしていないドックの亡骸だった
「ドック? おい 返事しろ!! ダメだ! 死ぬな!!」 ドックを抱えあげ、必死に呼びかける
「15分、か まぁ禁呪を使ったんだから当然の結果だな すぐに後を追わせてやる」 戦士は再び拳を構えた
「テメェ!! ぜってぇ殺す!!」 ドックを下ろし、拳を握り締めた
「「烈風激!!」」 二人の声と同時に二つの衝撃波は二人のちょうど真中の地点でぶつかった
「ハァァァッ」 オレは一気に間合いを詰め、渾身の力で連激を放った
「その程度か?」 戦士はそのすべての拳打を受け流し、強烈な蹴りを繰り出した
衝撃が腹部を襲うと、蹴られた反動で体が浮いた
更に、正拳突きがオレの横っ面を殴りオレをふっ飛ばした
壁に叩きつけられたオレを見て、一言「今のお前じゃオレには絶対に勝てない」と、言葉を投げかけてきた
「これ以上は無駄だ 帰れ そこのWIZはオレが連れていってやる」 そう言って巻物を投げつけてきた
「・・・何のつもりだ 今更」
そう それは本当に今更の出来事だった
ついさっきまでいたドックがいなくなっていた
街に戻ったわけでもなければ、ログアウトしたわけでもない そう ドックは文字通り「消滅」した・・・
「チッ! いよいよ起こったか!」 「何のことだ!?」 「バグだ 今までに何件かあった話だが、死亡したPCが消滅するというバグが発生してるらしい」
”PCが消える? じゃあ、ドックは戻らないのか・・・?”
状況が把握出来なかった 頭の中が空っぽになったようだった
「おい 何を呆けてるんだ 世界を元に戻すために動いてる奴がこの程度でつぶれるのか?」
「オレは、どうしたら・・・?」 「探せ」 「な、何をだよ・・・?」 「それくらい自分で考えろ オレはオレで原因を探す 貴様は力をつけろ そしてオレを・・・ いや とにかくさっさとここを出ろ 崩れるぞ!!」
次の瞬間、ガラガラと音をたてて天井が崩れてきた
慌てて帰還の巻物を使った
転送された普通の街に戻るとそこには今までの街とは全く違う漆黒が覆う世界が広がっていた
「あの野郎・・・ やっぱり本物、か」
転送された時に、奴は名乗っていた 「オレはマサカゲだ」と・・・

模造品 

2007年02月01日(木) 13時58分
−キャンサー気孔B3F−
「だ、ダンジョンが 変わってる…?」
今までの石壁が無くなり、古代遺跡のような立派な作りに変わっていた
約10万年ほど前の建造物らしい
「こりゃ国宝物だな…」 思わずあっけに取られた
「な、何だこれ…」 ドックが後ろから追いついてきた
「どうやらここが最終階みたいだな」 武器を構え、あたりを見回す
「ようこそ 我が居城へ」 目の前には1人の戦士が立っていた
”オレが警戒してる中こんな至近距離に!!”
「驚きが隠せないみたいだな。 レプリカ」
不思議な顔をしてドックが聞き返す
「レプリカ? 何の事だ?」
「何も話してないのか? まぁ無理も無い お前には自分がレプリカだっていう記憶すらないんだからな」
手に持っていた斧を肩に担ぎ、話し始める
「あの日からオレがどんな思いをして暮らしていたか 貴様が作り出されてからオレは孤独になった だがむしろそれには感謝をしている オレが何故今ここにいるかを気付かせてくれたからな」
「改 どういう事なんだ?」
「…まれ 黙りやがれ!!」 オレは怒りに任せ武器を投げつけた
「はっ 怒りで頭に血が登ったか そんなんじゃオレは殺せねぇよ」 そういって改が投げた武器を全て素手で打ち落とした
「な… 数十発は投げたんだぞ…?」 驚いていると斧を構え、「殺すならさ こうやらなきゃ」
そして静かに、そして鋭く斧を振り下ろした
幾つもの真空の刃がドックを切り裂いた
「がは…っ」 微かな声が一気に後方へ飛び去り、壁の崩れ落ちる音が聞こえた
「ドック!!」 後ろを振り返ると、大量の血を流し倒れていたドックの姿があった
「もって30分、って所か 意外と頑丈なWIZなんだな まぁ手を抜いたし当然か」 そう言って戦士は持っていた斧を捨てた
そして近くに歩み寄ってきた
「貴様ぁっ!!」 オレは武器をしまい、戦士に殴りかかった
「なっ… 何で…」 「お前はさっきから驚きすぎだな 言ったろ? 『貴様はオレのレプリカだ』って」
戦士の兜が壊れ、素顔が現れた まるで鏡を覗き込んだかのように同じ顔がそこにはあった
「お前がオレのレプリカだって言うなら当然、お前が使えるスキルは全て使えるって事だ」
戦士の拳が空を切った、かのように思えた
気がついたら腹部に激痛を感じ、吹き飛ばされていた
「馬鹿な…っ!! 烈風激だと!?」 ”何で戦士が武道家のスキルを!?”
「何で戦士が武道家のスキルを使えるか、っていうような顔してるな 知りたいなら教えてやるよ 俺の”イリーガル”な力の秘密をな」

巣窟 

2007年01月18日(木) 13時03分
ドックが仲間になってから1週間
オレ達の調査の矛先は一つの狩場に行きついた
「キャンサー気孔、か ここに奴らのアジトがあるんだな?」
地図を開き、向かいにいるドックに確認する
「そうだ 情報によれば奴らの人数は5人、地下深くに陣を取っているらしい。今までに数多くのプレイヤーが奴らにPKされ、今じゃNO1の賞金首だ」
地図の上に賞金首リストを広げ、その5人の名前をあげる
「どいつもこいつもさほど強そうに見えないがな、ん…?」
オレは一枚のリストを食い入るように凝視した
「何で、コイツが…」「知ってるのか?」
相当有名だったのだろう、知ってて当然のようにオレを見ながら問い掛けてくる
「昔世話になった コイツがPKを指揮してるだって…?」
驚きを隠すことが出来ず、思わずリストを握り締めていた
「アイツが、生きてる…?」顔が青ざめていた
「どうする、行くか?」いかにもやる気があるぞ、という表情でオレを見てる
「あぁ… 行こう…」複雑な心境だが行くしかない
行って直接アイツ本人に聞くしかない そう確信し、オレとドックはキャンサー気孔へ向かった。
「何かあったら耳を、別ルートで行くんだ 気をつけろよ」二人は別々の入り口からキャンサー気孔へと入っていった
「な、何だ これ…?」見てすぐにわかる異変に気付いた
明らかに見た目がおかしい まるで紙に水滴が浸透していくかのようにグラフィックデータにバグが表示されていた
”おいおい 何だよこれ…? この黒い斑点みたいなのはバグなのか?”ドックも異変に気付いて耳をしてきた
”どうやらそうみたいだな 先へ進んでから原因を突き止めよう”
何か嫌な予感がする… とにかく先に進もう
次の階へ進むと、一人のアーチャーが倒れていた
「おい 大丈夫か!?」声をかけながら駆け寄る
「い、いきなり後ろから殴られて… 奥の方、へ…」
「これを使って街へ戻って治療師の所へ」オレはそのアーチャーに帰還の巻物を渡し、先へ進もうとした
”おい そっちには倒れてる奴いなかったか?” ”そっちにもいたのか? こっちはアーチャーが倒れていたぞ” ”気をつけろ そいつらはPKだ!”
その言葉を聞いた時にはアーチャーはそこにはいなかった 警戒しつつ、ドックに確認を取る
”勘違いじゃないのか? 結構瀕死だったぞ?”
”じゃあ何故今オレはBISに襲われている?” ”襲われているだと!?”
その時、向かいの壁の上から小石が転がってきた
”こっちも狙われてる さっきのアーチャーだ”
武器をしまい、目を閉じ精神統一をした
次の瞬間、炎をまとった矢が数本飛んできた
目を見開き、オレは何とか全ての矢を掴み取る事が出来た
「今度はこっちの番だ」武器を構え、アーチャーの足下の岩に一つの斧を投げつけた
斧が当たった衝撃で岩ははじけとび、その破片がアーチャーを襲う
「おぉ 見事な着地、10点満点だな」首筋に斧を当てる
”そっちはどうだ?”アーチャーの手足を紐で縛りながら言う
”こっちも今終わったところだ” ”そうか じゃあ先に進むぞ 気をつけろよ”
よし 先を急ぐとしますか

PK 

2006年12月14日(木) 13時45分
「…かろうじて一命はとりとめたみたいだな」 体を起こして辺りを見回す
「あ〜 改ちゃん起きた〜」 満面の笑みを浮かべて姉ちゃんが言う
だがそれは喜びからではなく、ただ酒に酔っていただけだった
「…3日も寝てたのか」 カレンダーを確認して呟く
「あっ そうそう 改ちゃんと一緒にいたランサーの娘の名前知りたい?」 酒を飲みながら聞いてきた
”名前がわからないのは失礼だな… 聞いたはずなのに覚えてないみたいだし” 「教えてくれ」
「んとね …ちゃんだよ」「何だって?」「だ〜か〜ら〜 ・・・ちゃん」
”何が起こってるんだ…? 聞き取る事すら出来ない…”
「わかった ありがとう」 話を合わせる事しかできなかった
”オレも酒飲もうっと…” 嫌な思いを忘れるために酒を頼もうとしたその時
大きな音を立て、店のドアが開いた
入ってきたのは一人のウィザード
フード付きのコートを羽織り、威厳に満ちたような姿をしていた
その男は何も言わずにオレに近づいてきた
「マサカゲ・改だな?」 冷たく見下ろし声を掛けてきた
「そうだ 何か用か?」
「そうか ならば… 死んでもらう!!」 いきなり持っていた杖をふり、炎の玉を投げつけてきた
「無力だな」 オレは左手だけで炎の玉を弾き飛ばす
すると男は杖で殴りかかってきた
「フン、WIZの力なんてたかが知れてるさ」 これも左腕で止める
「じゃあこれならどうだ?」 男は杖を握っていた手に力をこめる
すると杖が白く光り、気付けばオレの左腕は凍っていた
「チッ チリWIZか!!」 その場から飛びのき距離を置くが、
「無駄だ」という言葉とともに、一瞬にして目の前に現れた
空中で殴られ、オレは地面にたたきつけられた
「くそっ 手加減したらつけあがりやがって」 武器を投げつけるも、また消えた
「うぜぇ奴だ …そこだ!!」 目をつぶり武器を投げ、確かな手応えを感じる
しかしそれは杖に当たっただけであった
「改ちゃん!! よけて!!」 慌てて姉ちゃんが叫ぶ
「邪魔だ 女」 姉ちゃんに向けて杖を振りかぶる
振り下ろすと炎の壁が出来た
「くそっ 間に合えっ!!」 オレは左腕と突き出し、姉ちゃんを突き飛ばそうとする
しかし間に合わず、手の氷が溶けただけだった
肝心の姉ちゃんはと言うと、「練習した甲斐があった^^」と笑いながら槍を振り回し、炎をかき消してい

”今ならアイツはひるんでる チャンスだ” オレはすかさず影に身を隠し男の背後を取った
「食らえ!!」後ろから切りつけ、男の杖を奪い取る
「お前の負けだ」 首筋に斧を付きつけ、冷たく見下ろす
「なぜオレを狙った?」 「お前には賞金が掛かってる」 「賞金? オレは賞金首って訳か」
「そうだ そしてオレは賞金首だけを狙ったPKだ」
「なるほど 賞金稼ぎのPK”ドックスパイラル”か 結構な有名人だな」
「どうする? また狙われないようにオレを殺すか?」
「オレは無益な殺生は嫌いでね 何でオレに賞金が掛かってるんだ?」
「さぁな 運営の考える事はわからん」 「う、運営だと!? 運営がなぜ…?」
「考えることはわからん、が 信用できる筋からの情報だとお前は”知ってはいけないこと”を知ろうとしてる だから狙われてるんだろう」
”知っては行けない事…? あの光る玉のことなのか…?”
「心当たりはあるみたいだな ”知ってはいけない事”を」
「・・・」 何も言えなくなった
「それともそれは、”知ろうとしてもわかる事が出来ない事”なのかもな」
「”知ろうとしてもわかる事が出来ない事”だと…?」
「お前といると面白い事が起こりそうだな RSの”バグ”にも近づく事が出来そうだし」
「何が言いたい?」 「俺を連れて行け」 「お前は馬鹿か? オレを殺そうとした奴をはいそうですかの二つ返事で連れて行くなんて事が出来ると思ってるのか?」
「改ちゃん」 首を突っ込むように姉ちゃんが口を開いた
「連れていってあげよ この人がいると大分助かると思うよ」 確かにそうだ
「… しゃぁねぇなぁ 裏切るようなら首と胴体がサヨナラするからな?」
「上等だ お前に賞金が掛かってると面倒だな 情報操作でも頼んでおくか」
「そんな事が出来るのか?」 「お前の武器を借りれればな」
「これくらい貸してやる ちなみにオレの賞金っていくらだったんだ?」 「10億goldだ」
「よし 貸してやる その賞金はちゃんと受け取れよ?」
「あ〜 改ちゃんの目が¥マークになってるぅw」
「お、お前 自分の賞金で装備そろえようとしてないか?」
「いいじゃねぇか 元々は運営の金なんだしよw」
…案外コイツともなじめそうだな

こうしてオレたちに、元・賞金稼ぎのPK「ドックスパイラル」というWIZが仲間に入った

出会い 

2006年11月26日(日) 0時20分
「あれ…? オレ 一体…?」
辺りを見回せば普段どおりのRSの世界
さっきまではあったはずの左肩の傷も無くなっていて、あの「丸い玉」も無くなっていた
”さっき頭の中に響いてきた声、どこかで聞き覚えが…”
改は玉を持った時に、懐かしい声を聞いていた
「…ゃん、改ちゃん!!」馴れ馴れしく名前を呼んでくるアーチャーが立っていた
「改ちゃんでしょ? やっぱりそうだ^^ 久しぶりだねぇ〜^^」
二つ年上の「従兄弟」姉ちゃんだった
「よく見つけられたな 方向オンチは治ったのか?w」
皮肉交じりの言葉にも、「これは治るものじゃないよ」と笑いかける
相変わらずだなぁ 変わるものがあれば変わらないものがある、これがRSか
そう思っていたら、
「その子誰?」とちょっと口調を強めて言ってきた
これまでの事情を説明し、何とかなだめる事が出来たのは1時間後だった
「じゃあさ いい狩場知ってるんだけど一緒に行かない?」
今までの剣幕が嘘のように明るく、場所を指定し、強制的にPTを組まされた。
「な〜んか、嫌な予感が・・・^^;」
昔からいつもそうだった
姉ちゃんが自分から言い出したことは絶対に何か問題が起こる
これは今も変わらないだろう
「…って事で狼の洞窟に行こう」
「はぁ? 何でそんな所に?」
「聞いてなかったのかこのドアホー」と殴りかかってくるが、昔からこのパンチだけは避けれた
でも…
「いてっ!!」 必ず避けた先に何か硬いものがあるんだよなぁ…
それでいつも勝ち誇る姉ちゃん 本人曰く狙ってるんだとさw
「しゃぁない 行くか」 「おぉ〜」というくだらないやり取りを見て、彼女は笑ってこういった
「仲いいんだね 恋人同士なのかな?」
この言葉に「うん」と即答する姉ちゃん 「違う」と即答する改
それを見てまた笑う彼女
話を強引にそらし、狼の洞窟へ向かうことにした…
狼の洞窟に着いたら、いきなり姉ちゃんが走り出した
「こっちこっち 早くおいでよ〜… きゃっ」 転んだw
「大丈夫か?」と笑いながら手を貸すオレを見て、少しムッとしながら手を払いのける
「大丈夫だもん」と立ちあがり、また走り出す
昔からこのしぐさは不覚にも可愛いって思えて仕方が無い
「ここだお」と、案内されて着いたのは何も無いところだった
「ここのどこが( ゚Д゚)ウマーなんだ? 敵どころか宝箱すらないじゃん」
「あ〜 ごめん 友達に誘われちゃった また遊ぼうね」と、いきなりPTを抜け走り去っていく姉ちゃん
”ホンっト、昔っからあぁだよな…”
そう思った次の瞬間、どこから現れたのかいつのまにか二人は魔物の群れに囲まれていた
「おいおい いくら雑魚でもこの沸きは異常だぞ?」慌てて武器を構える二人
「生き残るには倒さなきゃ、だね」背中合わせに彼女が言う
「そういう事」とオレは武器を投げ始めた
彼女も必死で手に持った槍を振り回している
”おかしい… いくらオレでもここらへんの雑魚なら瞬殺出来るはず”
一向に数が減らない魔物 それどころか、群れは更に大きくなっていく
「どうなってんだ? こりゃ」肩で息をしながら武器を投げる
その時、群れの端の方から大きな声が聞こえてきた
「オラオラオラオラー どけどけどけどけ〜」女の声だった
”姉ちゃん? いや、違う 誰だ?”
その声のする方を見ると、多くの魔物が宙を舞っていた
「な、何あれ!?」 何が起こっているのか全く分からずただ唖然とする二人をよそに、どんどん近くの魔物まで宙を舞っていった
ようやく声の主が見え、ランサーだという事がわかった
そのランサーは本当にあっという間に魔物の群れを消し去った
そして武器を持ちかえると「あら? 私、何をしていたのでしょう?」
「は? あ、アンタが魔物の群れを消し去ったんだぞ?」
思わず口を突いてしまった
「私がぁ? そんな事ないですわよ〜」と言ってきた
するとそこへ「あ〜 いたいた〜」と、聞きなれた声が…
姉ちゃんが戻ってきた
「いたいたって… あのなぁ オレら死にかけてたんだぞ?」というと、
「あれ〜? 改ちゃんもいたの? 偶然だねぇ」 ツッコミをいれる気力も出てこない
その時、魔物の死体の山がかすかに動いた
「姉ちゃん構えて 来るぞ!!」
それはありえない大きさだった死骸の山を一瞬で吹き飛ばし、オレ達も一緒に吹き飛ばした
「ぐうっ!」「改ちゃん!? きゃっ」 オレと姉ちゃんに吹き飛ばされた死骸の中にまぎれていた岩が直撃した
慌てて体制を立てなおそうとしたが”それ”は姉ちゃんの方へ移動していた
「姉ちゃん 危ない!!」何とか間に合い、姉ちゃんを突き飛ばした
しかし、攻撃を避けきれずにオレの体を激痛が襲った
「がっ…!」オレは壁まで吹き飛ばされ、声にならない声を発する
その時だった、魔物が倒れ、ランサーの姿に戻った彼女の姿を見た
オレは意識を失い、その場に倒れこんだ
目を覚ました時、オレは何故か砂風酒場にいた…

異次元 

2006年11月22日(水) 12時49分
朝起きると誰もいなかった
昨日旅したはずの「彼女」の姿もなかった
辺りを見回すと、いつもとは全く違う世界だった
「ここは… どこなんだ?」 直感で危険を察知したオレは、武器を構え静かに歩き始めた
「ダンジョン? でも昨日は古都にいたはず… 一体何故?」見覚えの無いダンジョンのような場所を一人静かに歩を進める
「辺りに魔物の反応無し、っと」 足音探知を使い安全を確認し、警戒を解く
フッと気を緩めた次の瞬間、彼を激痛が襲った
「うぐっ」どこから飛んできたかもわからない矢が左肩を貫いていた
すぐさま壁に背中をつけ、辺りを見回すが人影は無い
「罠でも、あったかな…?」肩に刺さった矢を抜いて罠の場所を冷静に検討する
検討をつけ、その場へ向かうと罠は無かった
「この矢は一体どこから…」 ふと辺りを見回すと、別の場所に立っていた
辺り一面が魔物の群れ… 改を見つけると一体の魔物が襲い掛かってきた
”何でこんなに魔物が…!?”襲い掛かって来た魔物をダブルスローイングで倒し、気付かれないように影に身を潜めた
しかし遅かった 倒された魔物に気付いた他の魔物が一斉に襲い掛かって来た
それにつられるかのごとく、すべての魔物が改に襲い掛かろうとしていた
「くそっ ダーティでも追いつかないっ!!」 改はただひたすらに武器を投げ続けた
そこである「異変」に気付いた
無限弾丸であるはずの武器がどんどん減っていく
「無限が無くなる…!?」 それでも武器を投げるしかない状況は続く
「キリが無いな…」 押し寄せてくる魔物が波を打っているように見えた
武器を投げ続け、いよいよすべての武器が無くなった
「絶体絶命、ってやつか? こりゃ」 諦めかけたその時に鞄の中が光っているのが見えた
「武器か!!」 慌てて取り出すとそれは武器ではなく、光りに包まれた丸い「玉」だった
その玉を見ると魔物は散り散りに逃げていった
辺りに魔物の姿が無くなると改はその場に倒れた
そして玉を持ち上げ 「何だ? コレ」と見てみようとした瞬間
それはただの石になっていた
”?” 首を傾げ、その石を放り投げた
その瞬間、改はいつもどおりの「古都」にいた
活気にあふれ、武器もちゃんと元通りだった
ただ違ったこと、それは今までの経験が全く無かったことだけ
”何だったんだ? 今のは” 難しそうな顔をしていた
すると横から「何考えてるの?」と声が聞こえた
驚いたように声がしたほうを見ると、そこには「彼女」がいた
”確か…
名前は…だった気がする
あれ? おかしい 「彼女」の名前が出てこない…”
どうしたの?という問いかけに「何でも無い」と答えることしか出来なかった…

始まりの朝 

2006年11月21日(火) 13時22分
今日から新しい冒険が始まる…。
「REDSTONE」 それが冒険の舞台
静かに目を閉じ、ログインをする
そして目を開けると目の前には悠久の地とも言えるような広大な都市が広がっていた。
見るものすべてが新しく、そして懐かしい感じがした
「わぁ〜 これがREDSTONEの世界かぁ〜」思わず口を突いて出た言葉を聞いて、一人の男が話しかけてきた
「君はこのゲーム始めてかい?」その口調は優しく、「はい 今から楽しみです」と笑顔で答えた
男は笑顔で「そっか^^ それなら困ったことがあったら連絡してよ」と、優しく言ってくれた
「ありがとうございます^^」満面の笑みで答えた
男は羽織っていたマントを翻し、その場を去っていった
よし、と持っていた槍を握り締め狩りを始めようと移動した…
「…よし、っと」準備を整え、魔物へ立ち向かう決心を決めた
「病気のコボルト、かぁ 倒せるかな?」意を決し、槍を突き立てた
なかなか攻撃があたらず、気付けば体力が減っていた
「危ない!!」と声が聞こえ、無数の「何か」が病気のコボルトに向かって飛んでいった
次の瞬間、病気のコボルトは地面に横たわっていた
「自分のHPには気を付けなきゃダメじゃないか」と慌てた口ぶりで言った帽子をかぶった男は、「改」と名乗った
「へぇ〜 君初心者だったのかぁ さっきは怒鳴っちゃってごめんね^^;」
「いえ、私が何も知らなかったから」
「よし じゃあ行こうか」そう言って改は私にPT申し込みをしてきた
「わぁ〜 Lv高いなぁ〜」PTを組み、少し先のコボルトの洞窟に向かった時に思った
コボルトの洞窟についた私たちは、早速狩りを始めた
改はどんどん先へ進み魔物を集めつづける
「そ、そんなに集めて大丈夫なの?」オドオドしながら聞くと「大丈夫 一発で死ぬから」と手に持った斧を構えた
私には腕を振りまわして切り付けているだけしか見えなかった
気付けば魔物たちはすべて床に倒れていた
「すご…」唾を飲んだ
肩から私の顔をのぞきこんで笑みを浮かべた
それからしばらく今のような狩りを続け、その日は休むことにした
「これを使って街に戻って」と改は私に紫の石を渡した
「どうやって使うの?」不思議そうに聞くと「石を一つもって握り締めるんだ それで街に戻れる」
言われたとおりにすると回りがぼやけ始め、気付けば町の風景が私を包んでいた
すぐに改と合流した そして宿となる場所を探し、井戸へ向かった
そこでテントを張り、寝ることにした…
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