空物語 魔法都市-ソルシエール-3

May 19 [Sun], 2013, 10:57

>ソルシエール城の一部が、黒い球体のようなものに覆われた


 俺とライムは今、謁見の間のような場所で対峙している。
 数分前までは普通の景色だった。しかし、今は違う。
 周りの空間が歪んだように様々な景色が混ざっていて、正直気持ち悪くなりそうだ。
 しかもものすごく黒い。
 少し見回した程度で推測できることと言えば、閉じ込められたということ。

「なるほど、これが空間魔法か。空間の支配?」
「そうだ。これが僕の空間制御魔法だ」

 現在、『ソルシエール』のリーダーのライムと交戦中だ。
 理由は・・・こちらから仕掛けた。以上。

「僕の制御する空間内では、いくらあなたでも僕には敵わない」
「へぇ。それはまた何でだい?」
「あなたはこの空間内では魔法が使えないからさ」
「・・・」
「ちゃんと『10柱』のことは調べてあるんだ。君の得意分野は、身体強化系魔法。
 身体強化で補ったパワーとスピード。そこにお得意の剣技が加わっているのだろう。
 しかし・・・それだけで『ドラゴン』を倒したとは、驚きだな。あとは性格がどうにかなればいいのだが」
「よく調べてあるんだなぁ。確かに、俺は身体強化系魔法を得意ということにしている」

「・・・なぜあなたは今になって僕に挑んでくる?『三神』でもあるあなたが?」
「その『三神』っていうのはよせ。『10柱』ですらむず痒い。」

 『10柱』正式名称は『三大都市連合十黒柱』なので、略するとすれば『十黒柱』
 一般には正式名称を覚えている者が少ないので、簡略化されて『10柱』になったそうだ。
 そして、一般には知られることのない『三神』
 『三神』の正式名称は『三神将』
 ドラゴンスレイヤーに匹敵すると言われる『10柱』とは違い、こちらは本物のドラゴンスレイヤー。
 人にとって頼もしい存在であると共に、危険な存在となるので、伏せている。
 名前の通り、『10柱』の中でドラゴンスレイヤーは3人しかいない。
 ドラゴンを倒すとその力が手に入り、その力は絶大だと言われている。

「・・・まぁいい。約束通り、僕が勝ったらインパルスも協力してくれるんだろう?」
「あぁ、するさ。いくらでもな」
「ならば戦おう。僕も神器を与えられているからね。神器『マーリン』だ。」
「それが神器か。本・・・魔導書だな」
「あぁそうだ。あなたの神器は『エクスカリバー』だろう?」
「は?・・・・・あぁ、いや。そうだな。うん。」
「どうした・・・・?それが『エクスカリバー』だろう?」
「あーいや、うん。これは・・・・『グラム』だ」
「『グラム』?・・・なるほど、あなたに『エクスカリバー』を与えられたという情報は間違いか」
「いやぁ間違いじゃないんだがな。あれ、折れたし」
「折れた!?いや、そんなハズはないだろう。デマはそれくらいにしてくれ」
「まぁそうだな。無駄話もなんだ。やろうか」
「では、ドラゴンスレイヤーの力を見せてもらおう!」

「『我が契約のもと、精霊をこの身に宿す』」

 身体強化魔法を詠唱。しかし、やはり特殊な空間に阻害されて魔法が不発した

「無駄だ。僕しか魔法は使えない!『深淵より井でし影。槍となりて降り注げ』」
「グラビティスピアか。なるほど、ディーヴァが使えたんだからお前が使えて当然か」

 そう言うと、大きく跳んで後退した

「グラビティスピアを知っているようだな。ディーヴァか・・・なら、これはどうだ?」
「『跪け』」
「っ!」

 一言で、どっと体に負荷がかかった。

「グラビティレイズだ。範囲に入った対象は僕が魔法を解除するまで動けない」
「なる・・・ほどな。なら、俺も少し反撃させてもらおうか」
「何・・・?」

 トールの周囲に炎が舞い上がった。
 続いて、抜刀姿勢。
 両刃なので抜刀は意味が無い。本来はトールの本当の武器のときに使う技なのだ。
 それをグラムで放つ。

「屠竜之技『焔』」
「屠竜之技!?対ドラゴンの技を放つかっ!僕を守れ!『マーリン』!」

 ライムの声に応え、マーリンが光る。
 瞬間、ライムの目の前に巨大な光の壁が出現する。

「僕だってドラゴンスレイヤーに匹敵数する力の持ち主だ。簡単にはやられない!」
「いい覚悟だ!」

 トールが抜刀。
 すると、炎の演武が始まった。
 トールを中心に無数の炎の渦が放たれ、周囲を破壊。
 放たれた炎の剣はライムの防御壁とあたり、拮抗した

「ほう、耐えるか・・・なら屠竜之技『焔舞』!」

 トールが凄まじい勢いでライムに突っ込む
 一瞬でライムのと間をつめたのだ。
 距離は50m以上はあったのだ。それを、一瞬で。
 ライムの顔が強張った

「俺は確かに、身体強化系魔法を得意としている。だが、本来俺は魔法なんて要らないんだ」
「あの距離を一瞬で!?魔法も使わずにっ!」
「並みじゃないんだよ。元々。普通に甘んじていたら、俺は守るべき存在を守れない」
「これがドラゴンスレイヤー・・・」

 ライムの防御壁と衝突。
 数回の攻撃で、ライムの防御壁が破壊された。
 縦横無尽に駆け巡る炎の舞。破壊の嵐。
 「屠竜之技」とは、本来対ドラゴンにしか使えない強力な技だ。
 なので、対人に使うとコントロールが難しい。

「まだっ!僕は負けない!」
「悪あがきはよせよ」

 ライムは魔法の詠唱を飛ばし、魔法を発動した。
 どうやら、ライムの空間魔法は重力操作魔法の発展型だったらしい。

「『闇をも喰らえ。グラビティホール』!」

 トールの前方に小さく黒い球体が出現。
 なんだ?と思った瞬間、巨大化した

「これは・・・ブラックホールか?」
「あぁそうだ!重力系最高魔法のうちのひとつ、グラビティホール!吸い込まれて消えろッ!」

 避ける時間が無かった。直撃だ。
 トールは黒い球体に沈んでいき、姿が消えた。

「は、ははっ!勝った・・・ドラゴンスレイヤーに勝ったぞ・・・!」

「残念。そう簡単にはいかないな」

 消えたハズのトールの声が聞こえた。

「なっ・・・一体・・・」
「いやな、簡単なことだ。俺が重力を操ってこのグラビティホールの相殺をすればいいんだろう」
「そんなことができるハズが・・・・そうか、ドラゴンの力・・・!」

 そう、ドラゴンの力のうちのひとつ。
 『対抗魔法-アンチマジック-』
 魔法が使えない空間 というのは、力量の差でライムが勝っていなければ発動しない。
 最初の身体強化魔法は、わざと発動させないようにしていた。
 そのため、重力球に吸い込まれた直後に発動をさせてグラビティホールを相殺したのだ。

「・・私の負けです。あなたの好きなようにするといいでしょう」
「サンキュ」


 こうして、ライムとトールの対決はトールの勝利で終わった。



 このとき、城の中のみならず外までも大変になっていようとは、トールは予想していなかった。
 
P R
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