taint 

July 18 [Tue], 2006, 10:20
澄んだ水面にインクをたらしたように

じわり
      じわり

と広がってゆく。

波紋の ように。



形作っていた全てが波紋に押し返されて、いく。

汚染されていく、なにか、が。


僕は水の中にいた

水は纏わり付いて、そして膜のように薄くのびた。

水は腐っていた

異臭を放つ、その異臭はどこか懐かしいものだった。

腐臭なのだが不快にはさせない、不思議なものだった。


僕の心は不安定だった

不信感が僕の心で波紋のように広がっていた



水は僕の心だった

膜は僕が心を守る為の殻だった

広がったのは不信感


澄み渡った心に落ちた一滴
それは膜を覆い尽くして。

いつしか膜を破って僕に触れる



いつか全てが侵食されて

この不信感に穢される前に

どうにかして、どうにかして。

この水を元に戻すんだ。




taint―――・・・穢れる(穢す)・汚染する・腐らす

obscure 

July 14 [Fri], 2006, 14:27
僕は恋をしている。

例えばその漆黒の長髪や黒曜の瞳。

僕の名を呼ぶ鈴を思わせる細い声や頬を撫でる細い指。

掻き抱けば折れそうな華奢な体躯に甘い馨り。



恋は全てを破壊する

破滅へと突き進む愛情は熱を孕んで命を削る。



嗚呼、神さま。
もしあなたがいるのなら。

罪を犯して仕舞う前にどうか僕を。









机の引き出しからメスを出す。
毎日研いでいた為触れるだけで傷が付く。


時計の針が午後六時を指そうとしている。
君の軽い足音が廊下に響く。
扉が叩かれる音にどう仕様もない高ぶりを感じた。







きみのやわらかいはだをきりさきたい
きみのくつうやいたみにおびえるかおがみたい
きみのすべたがしりたい




                                  ねぇ、かみさま
     
                                  ぼくはこういうふうにしか、愛せない








扉が、叩かれた。











「おにいちゃん」

















――――obscure・・・・・・隠れた・不明瞭な


歪んだ愛情隠れた欲望

no title 

February 06 [Mon], 2006, 21:01
雨の歌声 流れるよ

風の吐息 囁くよ

夢降る丘の 輝く大樹

君が眠る 4つ目の楽園


背の高い草を掻き分けて君は進む

あたしはきっと逃げてしまう

君が背負う眩い希望に

あたしはきっと潰されてしまう





               ―――待 っ て 





『貴方はいつも――・・・・・・』





君はいつだって私の心の穴を突く

空洞に針を差し込んで

毒を伝わらせるの






人差し指で言葉を制し、君の瞼に唇をよせる




君の言葉をかき消せる様な言葉は

あたしは持っていない


出来るのはそう、君が指摘している

誤魔化し

だけ




ねぇ、でも聞いて


どれだけ胸が痛んでも
どんなに心が叫んでも

あたしはこの誤魔化しだけで

全てを乗り越えられたの




青色だって桃色になるよ

暗くても明るくなるよ

誰かが寂しいと私の代わりに嘆くけれど

それは優しさなんかじゃない


流れた涙は強さになるよ

流した血は経験になるよ

誰かが代わってあげたいと微笑むけれど

分け合いたいと泣いてくれるけれど

誰にもあげない、あたしだけのものよ



君は君の正義で以てあたしを縛る

君の幸せに向けて

あたしの腕を引っ張ろうとする


君の正義はあたしには痒過ぎたの

あたしの幸せは此処に在るよ

腕が千切れても良いから





つれていかないで






『きっと幸せにしてみせる』





君の唇はそううたったけれど


あたしはそれを遮りたくて仕方がないの




かみさまはこのよに7つのらくえんをおつくりになった


1つ目は  月下の楽園

疲れし者を癒すため

2つ目は  火炎の楽園

死者の未練を断ち切るため

3つ目は  水鏡の楽園

生まれし命守るため

4つ目は  大樹の楽園

傷付いた者を抱くため

5つ目は  金色の楽園

生命育むお手伝い

6つ目は  土塊の楽園

魂還した肉体納めるため

7つ目は  日光の楽園

腕に七色の夢抱いて


君の眠る4つ目の楽園

流れる雨音

病んだ細雪

全てから君を守る

君が育て上げたその4つ目の楽園




君の眩しい希望を予感させる足音に

あたしのこの身は竦んでしまう

immortal 

January 17 [Tue], 2006, 0:53
尽きることなく、えいえんに。


「おもいで」はとても眩しく、鮮やかな輝きでもって僕を癒しますが

「おもいで」はとても果敢なく、緩やかに確実に僕を苦しめます。


きみといった数多の場所。
きみと過ごしたあの時間。


ぼくは「おもいで」が果敢ないとしっていたので
きみとの「瞬間」を形にすることを気に入っていました。

さんさんと降り注ぐ日光
あの時感じた暖かさはないけれど
きみがその暖かな眩しさに、目を細めています。

ぼくは「瞬間の形」に、もう一つ気に入っているものがありました。
「おもいで」を動画として残すのです。


笑い声も弛緩する頬も、伝う涙さえ。
ぜんぶぜんぶ
温度以外の全てを伴ってそれはぼくを癒しました。


これで
きみとの「おもいで」は完璧になった筈です。


けれどひとの欲とは恐ろしく底が無く

ぼくはとうとうきみの温度、即ち熱がほしくなったのです。

浅ましくもぼくはきみの「おもいで」に欲情し熱をもてあます日々を送っていました。



そして犯した  ひとつの    つみ




きっとこれは世界中のみんながぼくを糾弾するでしょう。

きみを冒涜する行為だと叫ぶでしょう。

ぼくをひとでなしだと罵るでしょう。



けれどそれがなんだと言うのです。


ぼくのきみへの愛は今すべてを超越し、昇華しようとしているのです。



そしてぼくはきみに「愛」という言葉を使ったことを後悔するのでしょう。


ぼくのこの気持ちは通常男女間に存在する愛などではないのです。


そう、譬えるならば


民が神を思うような神聖な

親が子を思うような自然な

水が生命を愛すように

土が植物を包むように

木が全てを覆うように

火が全てを変えるように




すべてを 超越して。





ぼくはそっと立ち上がり

いままで腰掛けていた場所をみました。



そこには

在りし日のまま美しく眠るきみ。



そう、「おもいで」はいかなる形をとっても果敢ないのです。


ならばきみを「おもいで」にしなければいい。


ねぇ・・・・・・・・・?






――――――immortal――・・・永久の、不死の

fiction 

January 11 [Wed], 2006, 3:51
―――はぁ、はぁ


痛い、肌が焼け付くよう


後ろを振り返る。

何も、ない。



違う、ちがう


虚無に潜む魔物
月光に照らされる死臭
踊らされるのは弱い精神



あぁもう、わかっているのに


肌を切る夜風が冷たい
絡みつく植物が皮膚を鋭く薄く傷付ける
息が上がり肺が痛い


これはちがう

ゆめ なのに 。



足が止まらない
後ろから何かが来る
涙が止まらない



       ほら、その暗闇から

声、が





                                 ――・・・て



呼びかける自分の中の自分
無意識の産物
意識下の複製





                   おき、て。



嫌だ怖いと泣き叫ぶ
その喉を絞めるように

ヒュゥ、ヒュゥと悲鳴を上げる
その息を止めるように


冷たくて柔らかな手が
この頸に、延びる




振り返る、そこには









楽しげに嗤う
自分の姿








嗚呼、今日も又この夢を見た




後ろから追うのは自分
絡みつく植物は疑念
匂い立つ生への執着


しあわせは あるよ
なにがあろうと
いとしきひび


それでも振り返ると
背後の暗闇から忍び寄る、ゆめ


全身をもってゆかれないうちに

はやく
      はやく


この脆弱な精神を打ち砕いて
自分から逃げなくては
仮想から抜けなければ


いつかきっと   喰われて仕舞う


つくりものの  あくむに。








―――――――――fiction・・・作りごと、架空の

sulk 

December 28 [Wed], 2005, 22:19
ことり

   ことり
     
       ことり




一定感覚で頭上から降ってくる、紙屑。



―――こつん。



板書している右手に紙屑があたり、ノートの上に落ちると
ペンを握っていた右手はペンを置き、今まで投げつけられた紙屑を全てつかんだ。



くしゃり


直径1cm程の紙玉を力任せに1つの大玉にし、
先生が生徒に背を向けた、その瞬間

ぐり、と振り返って勢い良くそれを投げつけた。


      ――今まで投げつけていた少女に。



日に当たり艶やかに光る栗毛に当たった紙玉は、
かすかな音を立てて卓上へ落ちた

それを拾い上げてニッ、っと笑う。





「     ちゃんのばーかばーか。おっとなげなぁーい」

「馬鹿はお前だこの万年最下位!!」

「あっ、酷い。気にしてるのにっ!」

「うるさ――・・・




「ごほんっ」




           」



「「・・・・・・・・・・・・」」





「   、  。二人ともでなさい」






有無を言わせぬそれに黙って頷き教室を出る。



ひんやりとした空気が二人を包む。






ひそひそと、小声で。






「お前のせいだぞ?!なんでぼくまでこんな・・・!」

「なんでもひとのせぇにするのよくないよぉ」



そういって、



ぺちり。



少女の華奢な指が少年の剥きだしになった額をはじいた。




ふるふると、怒りで震える少年の肩に自分の頭を委ね、呟く





「かるしうむ。とったほうがいいよ」




頭の何かが、音を立てた。








「誰のせいでこんなことになってると思っているんだ!!」





扉が、あく。


ああ、まただーーー・・・


少年はそっと窓の外のあおぞらをみた。



横には頬をふくらませてぶつぶつと文句を垂れる、少女。






「    ちゃんがつまらなそーだからこうして刺激をあたえているというのにだねぇ・・・」






時間と場所をわきまえろと、再三注意してきたはずなのだが



全くの労力の無駄遣いであったと、少年は確信した。










・・・・・・sulk・・・・・・・拗ねる、不機嫌

すれ違いと気遣いと気苦労と不機嫌。
すれ違いの延長戦の心のつながり。

loss 

December 28 [Wed], 2005, 20:29

頬を、久方ぶりの涙が伝った

立ち尽くす男に女が手を差し伸べ

其の手は掴まれる事無く、揺れた。









女はヒステリックだったように思う。

思い返す記憶の殆どが甲高い声を涙と共に撒き散らしている、そんな記憶しかない。

時折見せる少女のような無邪気な笑みを、男は愛していたような気がした。


泥に塗れ、血に染まった手のひらをぐ、と握る。

折れた爪には女のものと思われる髪の毛が名残惜しそうに食い込んでいた。



祈るように手を組み、記憶の底の単語を搾り出す




「           。」




それは、消え行く女の名前だと、思った

命の灯火はとうに消え果て

男の記憶からも消え果てようとする、女の


小さな声で呟かれたそれは

誰の耳に届くことなく、風に潰えた



血の染み込む石の傍ら
呆然と立ちすくむ男のその隣

美しく残酷に微笑む女が白い手をそっと差し伸べた

生前と同じ仕草で涙をぬぐうように。







記憶も情も自分自身さえも

君の潰えたこの場所に置き去りにして

命潰える瞬間を待つのみ










――――――loss―――・・・失う、置き忘れる




|ω・`))))

先ず、最初に。 

December 28 [Wed], 2005, 17:45
http://37rb.bnnm.net/haihu.html

↑こちらのサイト様より、「■01 英単語 10title 」をお借りしました。

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wail
memento

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