子供のように 

November 28 [Sun], 2004, 13:27
―――寒さの中の邂逅は酷く暖かい

寒さに負けじと咲き誇る花は強い。
逆境にも負けず、否、凛と背筋を張る姿勢こそが目指したもの。
其れは、かつての友の変わらぬ、蒼穹の真摯な瞳に似ていた。
物憂げな視線と、花弁を愛でる動作は、遠くから聞こえてきた羽音によって止められる。
鳥にしては大きな、同族の足音。
瞬時にして凍りついた表情は、舞い降りたその人の顔を確かめて更に動揺してしまう。

「叔父上」

蘇る過去の暖かさは今の自分には痛みを齎だけ。
見上げていた変わらぬ面のままの縁者は何処までも優しかった。

罪は、償えるのだと。
傷つけた傷も癒えるのだと、言ってくれた。

遅いんです。

それでも微笑んでくれる。

無駄な行為です。

それでも抱き締めてくれる。

私は弱い
だからげる。
もう傷つけられないように、もう孤独に怯えないように。

そうして私は手を伸ばし、男の名を呼ぶのだ。
甘い酔いしれるような暖かさを求めて。

小さなテノヒラ 

November 04 [Thu], 2004, 21:14
※カテゴリー通りに『もしも』な話です。
突発ネタ 過去編
これはあくまでも背後の想像ですのでご了承下さいませ。
尚、書かれたC様、文句を言うのも、撤回届け出すのも自由です。

ハロウィン 

October 24 [Sun], 2004, 18:44
※カテゴリー通りに『もしも』な話です。
これはあくまでも背後の想像ですのでご了承下さいませ。
尚、書かれたC様、文句を言うのも、撤回届け出すのも自由です。





日常とは、すなわちに退屈の権化。
代わり映えの無い、ただ季節の代わりだけが色と温度を変える。
不死とされ永遠を生きる者ならば、それは尚更に。

―――だけど刺激が欲しいだなんて思うものじゃない。

心の温度 

October 22 [Fri], 2004, 20:18
―――迷う、迷い、紛れる雑踏の中


何があるわけでも無い、ふらりと歩く街の大通り。
傍から見れば、視線は確かに目の前の通りを、人を見つめていた。
けれど見えるのは、薄暗がりの部屋の中。陽の照る、風戦ぐ、その場所を歩むとして、聞こえるのは沈黙。
虚ろにしていた、だからなのだろう。
人に、ぶつかった。
よく見れば、見知りの少女だった。
よほど自分は変な顔をしていたのか大事を聞かれた。

大丈夫。平気。私は。

きっと誰かに聞いて欲しかったのだと思う。
彼女にいつの間にか問うていた。

愛したい人がいる、けれど迷う。

答えは至極普通に答えられた。
軽い口調、まるで何事でもないかのように。

迷うほどならきっとアイシテないよ。多分。

彼女の言葉が重く響いて、締め付ける。思わず叫び返していた。
答えは有る、ソレが真実だと怒鳴る私を見て歌姫は笑う。
してるんじゃない。大事な友人を傷つけてまで手に入れたっかんでしょ?
なら迷うよりもちゃんと相手見てあげたら?

自分勝手。傲慢な。自分一人だけが不幸を味わっているかのような。
酷く恥ずかしかった。
そう思えば動き出す足、小さく礼をして走り出していた。
残された彼女の呆れた顔も言葉も知る由は無く。

だけど、未だ心の不穏は拭えない。
自分だけで精一杯で。私は、何一つ、何一つ分かっていないから。

願うのは 

October 18 [Mon], 2004, 21:34
―――苛まれる、意識。


友とれた後、ふらつく足取りに薄暗い閉ざされた寝台で待ち人を待つ。
聞き慣れた鎖の音と靴音、そして優しい声に。
何故、彼女を抱いたのだと、先走る感情のままに口を開く。
なんて私は歪んでいるのだろう。
友を想う心は、いつの間にか嫉妬へと変わり果てていた。

貴女には、私がいる。それだけで、十分でしょう。
信じる友を失えば、貴女に頼るべきものは無いのです。
私だけを、見ていれば良い。ずっと、私のそばに居れば良い。

しています』

なんて甘い響き。なんて残酷な響き。

けれど、込み上げて来る嬉しさとは反対の疑念に剣を突き付けた。
斬り付けて、宙を舞う、血と服端。
突き付けた刃を掴み、それでも彼は私を抱き締める。
涙が出た、嬉しかった。自分を必要としてくれるこの人が。
貪るように交わす口付け、いつの間にか世界は反転して男を見上げる。
耳に降り注ぐ、自分の名前と愛を紡ぐ言の葉、乱れた呼吸。
互いに疎通する心の温度は温かく、そして安堵を呼び起こさせるもの。

もう、逃げられない。

夢現に呟かれた、傍に居て欲しいという、男の言の葉が耳に残る。
寝入る彼の鈍く光る銀の乱れた髪を梳いて、そっとその額に口づけた。

晴れた疑念は疑念を呼ぶ。自分は間違ってはいないか。
男の寝顔を映していたはずの視界が滲んだ。
悲しくない。迷ってなどいない。
例え、この人が元凶であるとしても愛すると決めた限りは。
裏切りなのかもしれない、けれど過去など今、この現実の前では無意味だ。

きっと誰も聞いていない、だから今だけ言わせて欲しい。
―――ごめんなさい
過去と友へ、謝罪の言葉は闇に溶けて・・・・・・・・・・消える。

それぞれの 

October 15 [Fri], 2004, 0:05
―――願ったのは罪なのか、後悔していないつもりだったのに。


再会したのは夏の盛り。
蒸し暑い風が吹く頃、今はもう冷たさを帯びる風が頬を撫でた。
久しく再会した彼女は依然と変わりなく、ただ過ぎる風が季節の代わり、時が過ぎたのだと教えてくれる。

“奴”は貴女の事を知っていた――名を、バロール・フォウモールと云う。
彼女は淡々と言う。まるで人事のように。
突然の言の葉はまるで斬り付ける剣先のように心を抉る。
目の前が真暗になった。

何故彼は彼女を犯した?

過去の自分であったならば。友を思い、怒り、その彼を殺すまでだっただろうに。
想うべきは、目の前にいる友であるはずなのに。
込み上げて来るのは嫉妬と怒り。
彼女は問う。
真実を教えてくれ、と。
私はなんと答えればいいんだろう。

――――分からない。
そう代わりに吐いた言葉は、彼女を苦しめて突き付けられた冷たい凶器。

私は、ただ温もりが欲しかった。
甘えていた。全てを捨てて誰一人、自分を縛ることも無い。けれど代わりに誰一人、自分を求めてくれる人も居ない。

覚悟する瞬間に過ぎったのはの、顔。


ねぇ、アリエル。
それでも私は愛というものを信じてみたいんだ。
視線の先、道は確かに別かれているけれど。私は貴方の友だから。

誰思ふ、心の声 

October 10 [Sun], 2004, 17:09
闇の中で夢を現実の入り混じる音を聞いた気がした。


自分の甘い声とベットの軋む音、そしてなによりもの男の言葉と荒い息が、頭の中から足の指先まで支配していく。

「やだ・・・・も・・・・許して・・・ぇ・・・!あ、ああああぁ!!」
「まだですよ。欲しいと言ったのは貴方でしょう」

薄れそうになる意識も、男の動きでまた覚醒させられて休ませられる暇も無い。
身体を知り尽くしている故の動き、男の動きの一つ一つに呼応して跳ね上がる。
熱く注がれる白濁の液体が、ごぽり、また音をたてた。

「堕ちてしまえ」

荒い息の中、耳元で囁かれるこれはまるで呪のよう。
言葉は力を持つという。全ての言葉には言霊があると。
まるでそれにならうように部屋に響く嬌声は強く、なった。

「や、あっ・・・はぁんっ!・・・ぁ、ぁ・・・!」

拒絶する意思とは裏腹に男にしがみつき、背に爪を立てる。

「バ、ロール・・・・ぅ!もっと・・・っ!!奥、・・・ぁ、・・・・ひあっ!」

淫らに腰を振り、求めようとする女を男は笑いまた抱く。それの繰り返し。
ぼんやりとした眼で男を見つめて彼を重ね―――――はしなかった。
確かに女は目の前の男を欲していたのだから。

『ルー、愛している』

過去は笑わず、もう二度と女に囁きもしない。
ただ聞こえるのは。


誘惑だけ。
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