魚食離れをなんとかしたい・・・水産庁の政策審議会の企画部会で

December 09 [Fri], 2011, 13:32
水産庁の政策審議会の企画部会に委員として出席。

今年から受けた仕事なのだが、8人いる委員のうち、
キャスターの木場弘子さんと私、マスコミ代表の新聞社の方以外は、
漁業にかかわる人か
大学で水産業、政策、経済を専攻している先生たち。
木場さんには、千葉大教育学部の特命教授という肩書もあるけれど本業はマスコミで
特に漁業にかかわる研究をしているわけではない。

木場さんは千葉大教育学部で私の3学年下に在学していたため私を先輩と呼んでくださる。
「先輩、私たちみたいな、漁業や政策に関係ない、大学の外の人って、
リアルな消費者や主婦の視点でいるから、この中では結構大事ですよね」といっていらしたけれど
本当にそうでは・・・と思っている。

「管理栄養士・看護師・料理研究家」という肩書の委員は、私が初めてだという。
(高校非常勤講師という名目は、はずしてもらった、高校教員の立場で話すのではないので)
ということで、水産政策を、国民の健康や栄養の面から専門的にとらえることは
今まであまりでてなかったのかもしれない。

そのせいか私は毎回、会議中に
「え?」と思って、長々と発言してしまうことがある。
たとえば今回も、こんなことがあった。

今、国民の魚介類の摂取量が若い世代を中心に減っている。
具体的には平成9年には一人当たり1日に98gの摂取量だったが
平成21年には74gまで低下して、肉の摂取量の83gに抜かれて逆転した。
これは魚を多く食べる高齢者が減って若い世代がふえたことも関連している。
今後、どのくらいの摂取量を目標とするか、については
1日一人〇〇g程度の消費量を目標としたい

    *****注***目標量が一般公開になっていないので、〇〇gと、伏字にしてあります****

・・というような原案が水産庁からでた。
「一人〇〇gというのは、どういう根拠で求めた数字ですか?
これ以上減らないために、というだけの根拠ですか?」と質問した私に
「どんどん魚をたべなくなっているので
これ以上減らさないため、実際、これが精いっぱいだと思う」という返答がかえってきた。

「これは食べ物の話なんです。
他の品物の消費量と同じに考えるわけにいかないと思います。
これは目標です。今を維持する、それだけの消極的な根拠の目標でいいと思いません。

厚生労働省は、2010年の食事摂取基準で、n−3系脂肪酸の摂取を多くするようにと
呼びかけています。
この種類の脂肪酸は、肉ではほとんどとれません、魚でないとだめなのです。

そして生活習慣病予防のためにも、n−3系脂肪酸のうちのDHAは一日1gとることが
望ましいとしています。DHAは魚の中でも青魚の油に含まれるものです。
これには、魚としては、平均して80−90g程度の摂取が必要になる。

今の消費量がこうだから維持する、ではなく
健康面もから厚生労働省のだしていることともリンクさせた
数字でなければならない、目標量がそもそも健康によい数値をみたしていないなら
目標になりません。

BSE問題の年は一時的に魚の消費量がぐっとあがっています。
これは
丙午のときの出生数が変わったのと同じように、人の気持ちで物事がこれだけ動く
そういう証明になると思う。
だから、魚を食べろ、というのではなく
なぜ魚を食べることが大事か、それを国民に徹底して知らせていく
そういうことで国民は自然に動くと思うのです」

こういうふうに、話した。

実は、会議に出る前に、魚を食べることと健康についての海外の研究論文を調べていったら
魚に含まれる脂肪酸が健康増進や疾病予防に役立つか
実際に、食生活の変化で、魚をたべなくなった民族がどれだけ生活習慣病をふやしたか
改めて気づかせられる研究結果がたくさんでてきていた。
たとえばイヌイットのような生魚を食べる民族が
食習慣の欧米化により魚食の低下で生活習慣病が増加しているという報告などだ。
現代病ともいわれる、うつ病は、魚食が少ないと多くなる、という研究も目にしていたからだ。



今、日本の漁業は、高齢化し後継者がいず、東北地方は震災で壊滅的な被害をうけている。

漁業が衰退してもそれはそれでしかたない
輸入した魚や肉を食べればいい、
そんな風に安易に考えてはいけないことは
学校で社会の勉強をした人であればわかる。

食料の自給率が低い国はどれだけ他国に対して弱いかということ。

日本の排他的経済水域は世界第6位の広さをもつ。
そこには健康を維持できる食料資源がたくさんある。

漁業は食料を確保する産業である。
守らなければ、国民の生活、健康を脅かすことになる。
そのために、私はいろいろ考えて
毎回、会議に臨み、具体的なアイデアなども話している。
たとえば
消費にむすびつく売り方。

魚は肉とちがって種類や個体差が大きく形がそろいづらいので
規格外がたくさんでて売れない、というなら

流通経路にのらない規格外のものでもネットなどでほしい人に直接売る方法を開発してくれる企業や団体に補助をだすなどして、
きめ細かい販売方法を開拓するべきだ。

そして食育、というが
魚のおいしさ、味を伝えることや、その健康的意義を伝えることは販売にむすびつく。
しかし
魚のさばき方を子供に教えたり魚とふれあわせる教育は
販売を上げるためのものとは、また別だ、と私は思っている。


・・・肉を買う人がこんなに増えたのは、食べやすい形、料理しやすい形で売られているからで
牛や豚とふれあったり
牛や豚のさばき方を教えてなどいない。
教育なのか、消費量をあげることなのか、ターゲットをしぼった食育をするべきだ。
ターゲットをしぼった食育をしないと、
面倒くさいことをしなければ魚は食べられない、と思わせては逆効果で
販売のために伝えるのは、おいしさと、健康的な意義だ、と私は思う。

だから切り身からスタートする、かんたんな魚料理
焼くだけ、煮るだけ、レンジでチンで食べられる魚料理でなえkれば消費は伸びていかない。
だが、現実に、新聞の料理コーナーのある魚料理は
料理研究家ががんばりすぎて、
ベテラン主婦でも尻込みするような凝った料理ばかり紹介されている。

加工食品でも、生活習慣病予防になる魚貝類の製品には
最近の子供たちが好んで口にするスナック菓子やファストフードのものよりも
すすめられるものがたくさんある。
たとえば魚の缶詰とか、魚肉ソーセージのほうが
フライドポテトやチキンナゲットより
エネルギーをおさえ、DHAなどの脂肪酸がとれる。 

こうした食品のことをどんどん伝えていくべきだと思う。


ちょっと怖いことは
会議で話したことは、水産庁のサイトで一般公開されているので

後でみると、自分の話の要領の悪い説明の仕方に、赤面したくなる。
もうすこしまとめてうまく話さなくては、と毎回思う。












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文中の登場人物

**TF :1962年生まれ女性;20代のころは高校の看護科の教諭。流産や不妊治療のため退職し料理を学び料理コンクールに挑戦、コンクールグランプリをいくつかとり副賞で海外各地を食べ歩く。30代40代は料理研究家、エッセイストの仕事で自己資金をためた後、40代で再び大学にいき管理栄養士の国家試験に合格、現在は看護師と管理栄養士の資格で保健指導の傍ら、看護師国家試験予備校の講師をしている。 メタボな人をダイエットさせ健康診断のデータを改善に導くのが得意。

**BJ: 1958年生まれ、1985年にTFの夫となる。国立大学医学部卒、現在は地味な地方にある病院の勤務医、 消化器外科医、医学博士、麻酔標榜医、産業医、マンモグラフィー読影医、肝臓専門医などの資格をもつ。かつて14キロダイエットをし20年以上維持している。                 
趣味: 天ぷらを揚げること、カレーを作ること、野菜を買うこと


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