EMS(エレクトロニクス機器の受託製造サービス)世界最大手である

March 26 [Tue], 2013, 9:19
 EMS(エレクトロニクス機器の受託製造サービス)世界最大手である台湾・鴻海精密工業傘下の富士康科技集団(深セン市、富士康)の深セン工場が希望退職者を大量募集している主要受注先である米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)5」の販売不振のあおりを受けたとみられる同社が大規模な人員整理に踏み切るのは2008年の世界金融危機以来華夏時報が伝えた
 観瀾工場(深セン市観瀾区)の従業員によると、同工場は昨年から生産ラインの稼働率が落ち込み、人員削減に踏み切った部署によっては従業員に月10日以上の無給休暇を取得させているほか、希望退職者に600元(約9,000円)の補償金を支払うなどして自主退職を促している
 富士康の一般従業員の初任給は1,800元前後で、社会保険料や寮費などを差し引いた手取り額は1,200元とされる「残業しないと稼げない」と述べる元従業員によると、観瀾工場では現在、1日当たり100人以上の従業員が離職しており、昨年18万人いた従業員は現在、14万人を下回っているという
 観瀾工場の幹部によると、同工場は既にアップルが年内に投入する次期機種「iPhone 5S」の生産に向けた準備を進めており、「iPhone 5」の生産はまもなく山西省と河南省にある富士康の工場に移管する予定「iPhone 5S」が量産段階に入るまで、観瀾工場の生産量減に伴った人員削減がさらに進むとみられる
 富士康の深セン工場は今年、春節(旧正月)明けの人材募集を行っておらず、生産体制見直しに伴う人員削減が行われるとの観測が浮上していた
 
 ■05年以来最大の赤字
 
 富士康科技集団傘下で、香港上場の富士康国際控股がこのほど発表した2012年12月期本決算は、純損失が3億1,640万米ドル(約300億円)、売上高が前年比17.5%減の52億3,980万米ドルだった純利益7,280万米ドルの11年から赤字転落し、05年上場以来最大の赤字を計上した大口顧客からの受注減少が響いたとしている<深セン>昨日書いた「サービス残業は日本の文化だ 〜ブラック企業が生まれる下地〜」では、サービス残業は日本特有の「実態と合わない法律は守らなくても良い」と考える文化に根付いている、と説明したこれを改善するにはどうしたら良いのか答えは簡単で、法律を厳格に適用することだ

法の支配

日本はこれを甘く見すぎてきたのではないか

●「境目」を見極めるような文化は辞めるべきだ
前回の記事では月収100万円で毎日1時間サービス残業をやらされている人と、月収15万円で毎日終電までサービス残業をやらされている人を比較して、前者は文句を言った所で誰にも取り合ってもらえないが後者は同情してもらえる、という事を書いた

どこまで許されてどこからがダメなのか、という議論はもう止めるべきだこれは教師が生徒に手をあげた場合、どこまでが体罰でどこからが暴行なのか?という法律を無視した線引きと同じで全く意味が無い

現行法では労働時間は1分単位で計算しなければいけないことが決められている(15分単位で計算されてそれ以下は切り捨て、といった形で給料が計算がされているケースも珍しくないが、これは違法だ)だから1分でもサービス残業駄目なんだと法律の通り杓子定規に適用するべきで、法律がおかしいのなら適度に破る事を見逃すのではなく、法律を変えた方がよっぽど自然だ

それをやらないからどこまでなら許されるのかといった話になり、訴えられなければやったもん勝ち、というブラック企業が横行し、やり過ぎた企業では過労死が出る

●現実を法律を合わせる
例えば基本給20万円で1日8時間労働です、と言いながら毎日2時間サービス残業をさせるケースと、基本給を低く抑えて、残業代をしっかり払って支払い総額が20万円のケースを比較すると、両方とも支払っている給料は同じだが、前者は違法、後者は合法だ(休憩時間や割増賃金は一旦除外する)

サービス残業が厳しく取り締まられないのであれば、ウソを付いて求人広告を出す方が給料を高く表示できるので得になるまずはこういう正直者がバカを見る状況を取り締まるべきだ

前回も書いたとおり、法律どおりにすると会社がつぶれるというのは現在の基本給を前提にするからであって、サービス残業が多いならば本来の基本給+残業代で計算しなおせば基本給が極端に低くなるつまり、低賃金・長時間労働の環境を募集の段階で正確に表示させるべきで、これを実施させるために必要な事はサービス残業を窃盗と同じレベルで厳しく取り締まれば良い

●ガムを盗むと捕まるのに労働力を盗んでも捕まらないのはなぜか
100円のガムを盗むと窃盗罪としてつかまるのに、なぜ1時間のサービス残業は現行犯で逮捕されないのかなぜ未払い賃金だけが「払っていないだけで盗んだわけではない」という言い訳が通用するのかこのような根本的な矛盾から直すべきだ窃盗罪をサービス残業と呼ぶ事、盗んだお金を未払い賃金と規定してしまう事が問題の元凶だ

ここまで書くと、そんなルールを杓子定規に適用するのは無理とか現実的じゃない、という話になってしまうのだろうが、「杓子定規」という言葉自体が非常に日本的で、前回の記事でも書いたようにルールを厳格に適用する事がまるでよろしくないかのような常識が日本にはあるこれが法による支配が根付かない理由のひとつだろう

法律が厳格に適用される社会と聞いたら「何か息苦しそう……」という感想を持つかも知れないしかしそれは大きな勘違いだルールが厳格に適用されるという事は、ルールを熟知していれば想定外のことは起きないという事であり、恣意的にルールを運用されるほうが想定外のことが起こるので、よっぽど困るし危ない

●現状のままでは労働市場の規制緩和を進める事は出来ない
現在、労働市場の流動化が規制改革会議や産業競争力会議で話し合われているが、簡単に話は進まないだろうなぜなら政治家も経営者も国民からまったく信用されていないからだ

2006年、電子器機メーカーのキヤノンは偽装請負の問題で労働局から指導を受けた当時同社会長で経団連会長でもあった御手洗氏は、この件について「請負法に無理があり、見直すべきだ」と財政諮問会議で発言した請負法は仕事を依頼した側の企業が、請け負った側の社員に対して仕事の指示が出来ないなどおかしな点があり、この指摘自体に間違いは無いしかし違法行為を行った企業の会長が、しかも経団連会長という政治家に対していくらでも意見を言える立場の人間がこのような後出しジャンケンの発言をしたことは、当時大きな問題となった法律を破った人間が後になって法律がおかしいと批判したのだから、非難の声が上がるのも当然だった

財界総理とまで呼ばれる経団連会長の発言は、その後の労働法制の規制緩和に対するアレルギーの大きな原因となったように思うそしてそれは今でも続いている

●派遣・請負が重宝される理由
派遣や請負のような直接雇用を避ける、ある意味で「奇妙な手法」がこれだけ発達する理由は解雇規制が強いからだ例えば派遣社員として同じ職場で何年も働いているような人は、解雇規制が弱ければ直接雇用されるはずだ企業がいつまでたっても直接雇用をしないのは派遣社員ならば契約を解除できる、つまり「解雇できる」というオプションを絶対に手放したくないからだ

一時の派遣会社の大儲けぶりをみれば、企業がどれだけ解雇できるというオプションを重要視しているかよく分かるそしてそれ自体は決して間違ってはいない仕事が無くなった時に人件費がかさんで倒産してしまう……それが仮に杞憂だとしても、リスクの観点から言えば当然の心配だ

つまり企業にとっては直接雇用を避けるために、手間やコストが掛かっても派遣や請負を使うのは保険のようなものという事になるしかも解雇規制は自然にあるものではなく国が作った法律なのだから、人為的な壁だ人為的な壁によって本来従業員が受け取るべきお金が派遣会社に中抜きされてしまっている派遣会社や請負会社を否定するつもりは全く無いし、解雇オプションのためだけに存在するわけでは無いが、なぜ企業が派遣や請負をそんなに使いたがるのか、よく考えるべきだ

●誰が「失業保険」を負担すべきか?
解雇するのは可哀想、企業は雇用の責任を、という考えもそろそろ改めて、仕事が無いのに無理に雇用を継続させる「企業版・失業保険」は辞めて、社会保障は国の役目として完全に切り離すべきだ正規・非正規の格差が極端に開く理由も、企業に社会保障の役目を担わせているからだ

また、解雇した際に発生するコストも国がさほど負担せずに済む仕組みを作る事は出来る現在の低すぎる雇用保険料率を引き上げれば良い健康保険料はおよそ10%、年金保険料は16%、それに対して雇用保険料はたったの1.5%程度だ(労使合計分)病気のリスクや老後の長生きリスクにこれだけの保険料を取っているのに、失業リスクにたった1.5%しか保険料をかけないのはあきらかに低すぎるここを何倍かに増やせば追加の税金は不要だそして職業訓練や現在対象となっていない非正規雇用者に支払う失業保険の原資として使えば良い「国が1兆円もかけて電機メーカーの設備を買い取るらしい〜エコポイントの斜め上を行く、呆れた仕組みについて〜」でも指摘したように、企業へ無駄なお金を使う事を全部辞めてしまえば「人」にあてるお金を捻出する事も出来る

企業には徹底した競争を、人には徹底した保障を、というやり方がシンプルで一番良いのではないか

●解雇できるから雇用する
セーフティーネットが充実し、企業が安心して解雇できるようになれば、安心して雇用出来るこれは株式投資を例に考えると分かりやすい一度買ったら40年間売れません、という仕組みで誰か株を買おうという人は居るだろうかいつでも売れるから買うのが株式市場だ労働市場は一度売れると消費してなくなってしまう魚や野菜の市場よりも、株式市場の方が近い

投資(雇用)をする側(企業)から見て、投資先の株(従業員)が今後数十年にわたって良いパフォーマンスをだしてくれるかは分からない全く別の理由でお金が必要になった時(業績が悪化した時)、売れない(解雇できない)のであれば、そもそも投資をすることすら出来ないつまり売れるから買える、という事だ流動性があるから成り立つのは株式市場も労働市場も全く同じだそして雇用が発生すればそれ自体が景気にプラスとなり、結局は解雇しないで済む可能性は高くなるかもしれない

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