01 仕方ないから 

September 30 [Wed], 2009, 0:04
「あちゃー…破れちゃった…」

デートの朝、うっかり伸ばしていた爪で大事なコンタクトを破いてしまった。
明日仕事の帰りに買おうと思っていたから、予備はもうない。
だからといって破れたコンタクトをつけるなんてもってのほかだ。

「…仕方ないか。」

私は、そばにあった赤い縁の眼鏡を手にとった。

「…うわー。」

一応どんな服装にも似合うように買ったものの、今日のギャルっぽい格好には不釣り合いな気がする。
こちらも仕方ない、もっとおとなしい感じにするしかない。

腹をくくって服装も靴も髪型も変えて、待ち合わせ場所へ向かった。

「あれ、鈴音(すずね)?」
「…そうですけど。」

待ち合わせ場所に来た彼…航耶(こうや)は、案の定目をぱちくりさせている。
だから嫌だったのだ。いくら仕方ないとは言え、眼鏡でデートに来るなんて。
どうせ似合ってないとか言われるんだ。

「どうしたの、眼鏡」
「…コンタクト破いたの。」
「…ぷっ」
「笑うな!!」

眼鏡で来た理由にひとしきり笑った後、航耶は私の頭に手を置いた。

「なによ。」
「眼鏡、似合ってる」
「どうせ似合ってな…え?」
「かわいいよ鈴音、いつもと違っててかわいい。」

くしゃっと頭をなでると同時に、にっこりと笑顔を向ける航耶。
その笑顔に思わず顔が赤くなる。

「…し、仕方なくだから、もうかけてこないんだから!」
「えー。どうせ一緒に住んだら毎日見るのに?」
「一緒にす………」
「あはは。鈴音かーわいい。ほら行くよ。」

思わぬ言葉にフリーズした私を、航耶はおかまいなしに引きずっていく。

…仕方なく眼鏡をかけるのも、たまにはいいかもしれない。


お題:メガネで5題
配布元:SICK_GLORY
URL:http://xmbs.jp/SICKGLORY/
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