02(Wed)祖母のお豆腐屋さん 

November 02 [Wed], 2016, 19:07
母が悪質な豆腐詐欺に引っかかった。
ものすごくまずいお豆腐を1ダース買ってしまったのだ。
買うつもりはなかったそうだが、ネットでページを見ているうちに購入した事になっていたらしい。
問い合わせをしようと、例のページを見てみると、問い合わせボタンが購入ボタンになっている。危うくあと3ダース買ってしまうところだった。居てもたってもいられず、母と私は古いバンに乗って工場のある県まで向かった。
目的地付近になると、ナビが終了したので車を停めて歩くことにした。緩やかなカーブを超えると、トタン屋根の古い民家が建っていた。周囲に建物がなく、大きな民家だった為、すぐにここだと分かった。
「ごめんくださーい」と母が声を掛けたが、
「不良品売りつけやがってどういうつもりだ!」数百キロの道のりを経ても怒りの収まらない私は、先方の顔も拝まぬうちに暴言を吐いていた。
すると中から出てきたのは紛れもない私の祖母、母の母だった。
祖母はネギ入りの納豆を手でかき混ぜている。あのお豆腐に掛けるつもりだろう。
部屋の奥を覗くと、囲炉裏を囲んで従業員や親戚が朝食の支度をしている。
その中には、私が小6の時に亡くなった祖父もいた。なにか怒鳴っていた気がするが、目頭が熱くなった私には入ってこなかった。
それにしても祖母はつい最近まで隣同士で暮らしていたと思ったのに、いつの間にこんなところでお豆腐を作っていたのだろう。
「おばあちゃん、帰ろうよ。長野まですぐだよ。」そう言うと、なぜか祖母は長野市にランチに連れて行ってもらえると思い込んで、出かける支度を始めた。私と母はそのまま祖母をバンに乗せると、長野市には寄らず祖母の家まで連れ帰ってきたところで私は目を覚ました。寝る前はベッドの下にあったiPhoneが、枕元でけたたましく朝を告げていた。

02(Tue)魔法の図書館 

February 02 [Tue], 2016, 18:35
車の窓から流れる景色は中世のヨーロッパのようだった。舗装されたばかりの道を走るシルバーの車は特別大きいわけではないが、3人乗るには十分な広さだった。私は後部座席で揺られながら前の二人の会話をぼーっと聞いていた。
「ここからだとそう遠くはないし下道で行くか?」
「いや、早く帰ってきたいし上で行こう」
二人はこの後の段取りや道順について話していた。
そうこうしているうちに車は見慣れた景色の通りに出た。目的の建物が近づいてくる。私は右手を鞄に伸ばすと、左手をドアにかけた。建物の前に車が止まるとすぐにドアを開けて車を降りた。
「ありがとう」
そう二人に声を掛けると、
「夕方までには帰るから」
という助手席からの声を聞いてドアを閉めた。その場を離れる車に向かって左手を軽くあげ、小さくなってゆく車を背に、意気揚々と石階段を登った。
ここに来るのは久しぶりだ。最後に訪れたときから10年近く経っているが、ここは変わらずに私にとって特別な場所だった。
小さな頃から本が好きだった私は、暇さえあればこの図書館に通っていた。ここにはたくさんの魅力的な本が揃っていたし、木造の二階建ての建物は実家にいるような安心感があった。壁一面に天井まで本が並べられていて、棚にも所狭しと本が詰まっていた。
私のお気に入りの場所は、二階のミシミシと音を立てる床を過ぎた角に置いてある茶色いソファーで、そこに座って一日中本を読み耽る事なんてざらだった。
小学校6年生の夏休み、大好きな本に出会った私はいつも以上に本に没頭した。ソファーに埋もれて、目から入る文字を頭の中で鮮明に、細部に至るまで映像化した。
今でもこのシリーズより面白い本には出会っていないと思う。そのくらいの衝撃だった。
何度も何度も読み返し、さらに頭の中で本の世界を膨らませていたある日、本棚の隙間から自分が何度も夢見た例の本の世界へ行ける事を知った。それは自分が頭の中で描いた通りの世界で、あぁ、ここは魔法の図書館だったのか。と思った。
それからも幼かった私は魔法の図書館に通い、本を読んでは自分の頭の中の世界と繋がっていた。
しかし、高校生になった頃から図書館へ足を運ぶ回数が徐々に減って行った。部活にバイト、勉強に恋愛、やりたいことは無限大に増えて行った。車の免許も取った。図書館へ行かなくても自分の足でいろいろな所へ行き、新しい物を見られるようになった。
そして何時しか図書館へは、行かなくなった。

大人になってから初めて訪れる図書館は、あの頃と何も変わっていなくて当時の思いや感覚が一気に蘇る。
小さなガラス窓のたくさん付いた深い緑色のドアに、装飾の施された金の取っ手。そのひんやりとした金属に手をかけるとゆっくりと押し開けた。
カランカランカラン
ドアに付いた鈴の音が鳴り止まぬうちにおばあさんが近づいてきた。
「いらっしゃいませ」
図書館は、本屋さんに変わっていた。内装も当時のままだし、置いてある物も本に違いはないが、あの頃のようにソファーに埋もれて1日中本を読むことが出来ないのかと思った途端に、私の中で魔法は消えた。
きっとあの頃本棚の隙間にみた本の世界は幼い頃の妄想だったのだ。そんな気さえしてきた。
私は本屋を出た。
そこで携帯電話を出そうと鞄を開けるが、入っていない。コートのポケットにも、どこにも見当たらない。あぁきっと車に忘れてきたのだと思ったが、私を乗せてきてくれたシルバーの車はもう何十キロも離れている。二人へ連絡を取る手段もない。途方に暮れているとそこに友人が通りかかって、電話を貸してくれた。しかし私はどちらの番号も覚えていなかった。また、途方に暮れる。すると、どこからか携帯のアラーム音が聞こえた。そうだ、今日は夕方にアラームをかけておいたのだ。この音に二人が気付いてくれれば…と考えながら違和感を覚えた。遥か遠くに居る車からのアラーム音など私に聞こえるはずがない。アラームは、私の近くで鳴っていた。音源を探すと、私の太ももだった。私の太ももに、携帯のケースに付いている磁石が埋まっていた。気付くのに時間が掛かったせいか、かなり深くまで埋まっていて、携帯をとると磁石型の穴がぽっかりと太ももにあいていた。アラーム音は止まらず、徐々に大きくなる。
目を開けると、携帯のアラームは枕元で鳴っていた。太ももをさすると、穴は無かった。安堵すると共に、また今日という一日が始まった。

01(Mon)両者の夢 

June 01 [Mon], 2015, 23:33
私が覚えているのは、昨夜起こった出来事のほんの一部で、全てを思い出すことは出来ないだろうが、断片的な記憶を辿ってみるとする。

絵の具で塗ったような紫の空に、絵本に出てくるような梟が妖艶な夜を演出する。森の中を進むと、巨大組織のアジトが電飾を纏いながら佇んでいた。
目的地を観取した私は本部から送られてきた地図の入った指令書を丸めると、インカムのボリュームを落とした。
私たちのチームは四人編成で、敵のアジトへはいつも通り難なく侵入できた。最短で任務を遂行する為に、今回は四方から侵入し、中枢部で落ち合う作戦だ。
私はすぐにシステム室に侵入する。巨大モニターには監視カメラから飛ばされてきた幾つもの映像が映し出されており、それを三人の男たちが事務的に眺めていた。私は彼らを少しの間天井から見ていたが、タイミングを見計らって三人ほぼ同時に仕留める事に成功した。
システム室を出ると、敵と接戦している仲間を見付けた。後ろ姿から川上だとすぐに分かった。川上は、戦闘で銃を使わない。私はその場から狙いを定めると、敵の腹部に銃弾をねじ込んだ。川上から体が離れた所で、もう一度引き金を引く。今度は左胸部に命中した。彼女は私を見据えたまま息を引き取った。私の心にまた一つ黒く、重いものが沈んだ気がしたが、立ち止まっている時間はない。川上を連れて先を急ぐ。
すると我が隊の増田が流血戦を繰り広げていた。だが、銃を使用した痕跡は見当たらなかった。両者共、発砲に抵抗があるようだった。私はすぐに応戦体制に入り、敵を仕留められる位置に着くと、引き金を引いた。弾はやはり敵の腹部に吸い込まれた。一度で急所に命中しないところが悪い癖のようだ。決して相手を苦しませたい訳ではないのに。そして、二度目の銃弾を送る。頭部を貫かれた女の子は、まだ20代前半だろうか。黒髪を靡かせて床に倒れた。彼女もまた、最期まで私から目を逸らすことはなかった。
彼女は自らの夢の為、この組織に属していた。いつかテレビか何かで見た、彼女を応援する者の姿、声援が自然と想起された。私は思ってはいけないことを思った。なぜ彼女の夢を絶たねばならなかったのかと。私はなぜこんなことをしているのかと。
私たちはお互い、上層部の命に従っていただけで、闘う理由も分からぬまま敵対していたのかもしれない。

何か大事なものから目を背け、それでも任務遂行を目指す。
私たちは栗原のいる中枢部へ向かうのであった…。

14(Tue)覆面の男 

April 14 [Tue], 2015, 17:45
事件が起こる数週間前、一家で近所のショッピングモールを訪れた際に、駐車場で父の愛車が覆面を被った男に盗まれていた。
買い物を終えた一家が車に戻る途中で遠目に犯行は目撃していたのだが、その時は現場から走り去る車をただ見つめるしかなかった。
もちろんすぐに警察へ被害届けは出していたが、有力な情報は一切ないまま時間だけが過ぎていた。

そして事件当日。休日の昼下がりだった。ディーゼルの懐かしいエンジン音が庭に響いた。
運転席でハンドルを握る男は、初めて家族の前に現れた時と同じ、黒の覆面を被っていた。前回遠くから見た分には気付かなかったが、ニット生地で目の周りが赤く縁取られている。
「お父さん!お父さん!犯人が車を返しに来たよ!」
娘は声を張り上げた。
台所から母も駆け寄ってきて、皆で窓から外の様子を窺った。

男はエンジンをかけたまま車を降り、覆面に手をかけた。日の元に晒された男の顔は、以外な事に日本人ではなかった。
特別驚くことではないが、車を一家の住む小さなログハウスに返しに来たことから、顔見知りの線が濃厚かと推理した手前、見ず知らずのドイツ系アメリカ人の登場は予想外としか言いようがなかった。
そしてグリーンともブラウンともとれる瞳の持ち主は、上着の内ポケットから銃を取り出し、迷うことなく銃口を父に向けた。しかし、銃を向けられた当の本人はまるで仲の良い友人に”冗談はやめてくれよ”と促すかのように、首を横に振った。
次の瞬間、映画やドラマでしか聞いたことのない耳を劈く様な音と共に、銃弾が窓ガラスを突き破って父の座っていた椅子を射止めた。それは父の顔が置かれている場所からわずか数センチのところであった。
今更ながら、我が家のリビングに緊張感が走る。

娘は考えるより先に玄関へ向かって走り、鍵を閉め、ドアチェーンを掛けた。
にもかかわらず、男がノブに手をかけ取っ手を引くと扉は僅かな隙間を作った。中を覗き込んだ男と目が合う。怯みそうになったが、慌てて娘も中から取っ手を引っ張ると幸い扉はもう一度閉まった。
しかし油断は出来ないので左手で力強く取っ手を引き続けた。
怯える祖母を後ろ手に庇いながら弟が夜勤で不在であることに安堵していた。
息をつく間もないまま、父に警察への通報を、母に犯人を動画に収めるよう頼んだ。
しかしすぐに警察へ電話した父が、首を振る。どうやら、不審者が押しかけたというだけでは駆けつけることはできないと言っている。犯人は窃盗と発砲もしている、早く来てくださいと頼んでも、警察の答えは依然変わらなかった。
何のために税金を納めているのだ、と罵倒したい反面、一抹の不安がよぎる。
そう、警察もグルなのだと悟った。
その瞬間、言いようのない虚脱感に襲われた。
太刀打ちする術も思いつかないまま、脱衣所から鳴る洗濯の終わりを告げる機械音を聞いていた。

24(Fri)天使と悪魔 

October 24 [Fri], 2014, 2:43
近所に県内でも有名な水子供養のお寺がある。
夏場は心霊スポットとしてもその名を馳せているのだが、夜も更けた頃、あろうことかそのお寺へ行かなければならなくなった。
森の中にある道とも言えぬ険阻な山道を登った所にある目的地を目指し、恐る恐る歩を進める。道に敷き詰められた落ち葉は湿っているようで、踏む度に足の裏に独特の弾力を感じた。
見渡す限り民家も街灯もなく、暗闇に慣れてきた目だけが頼りだった。
動物や野鳥、木々の気配までもが不気味に体に突き刺さる。
物音一つしない中、この時期にしては肌寒くも無く、薄気味悪さを纏った生ぬるい空気だけが辺りに充満していた。
記憶が正しければ、そろそろ山頂に辿り着くはずだが、お寺の屋根が見当たらない。
“迷子”という文字が脳裏を過ぎる。
と、その時同じようにお寺を目指しているであろうお爺さんの後ろ姿を見付けた。よく見るとその先にも何人か腰の曲がった老人が山頂を目指して歩いていた。
少し心強くなった私は、あと一息と思い彼らに着いて行く。
しかし、カーブの多くなった道で同士を見失ってしまった。
落胆の色を隠せなかったが、冷静になり、あることに気が付く。
思えば、同じようなところを先程からぐるぐるとしている気がするのだ。
そんな不信感を抱いていると、森の中に落ち葉が一層積もっている箇所が目に入った。
近付いてみると蔓で編まれた鳥籠のようなものが被せられている。それは大人ひとりがすっぽりと入るほどの大きさで、籠の中には人間の手や足がごろごろと落ちていた。
息を呑み、後ずさりしようとした時には既に遅く、バランスを崩した私は落ち葉の山に吸い込まれていった。
どうやら落とし穴が掘られており、落ち葉で目隠しをされていたようだ。
そんな事を考えるほど穴は深く深く、地球の反対側まで繋がっているのではないかと思えるほどであった。
電話で助けを呼ぼうにも、この時間に起きている人もおらず、呼び出し音だけが虚しく私の鼓膜を揺らした。
着地した場所はまたも落ち葉の上、なんと先刻足を滑らせた落とし穴のすぐ横だった。
立ち上がろうとするも、私の左足はいつの間にか足首からもがれている。
あの鳥籠の中に私の足も転がっているのだろうと思うと、悔しさと悲しみで胸が張り裂けそうだった。
零れそうになる涙を堪えようと空を仰ぐと、先程は気が付かなかったが鳥籠の上に誰か乗っている。
ぼやけた視界を拭い、焦点を合わせると、お寺の和尚が籠の上で歪んだ笑顔を見せながら獲物を待っていた。
衝撃を覚えながらも右足だけで近付いていくと、私と同じくらいの年の女性が今まさに手首をもがれようとしていた。
考えるよりも早く止めにかかると、女性と目が合った。目の下の隈が彼女の着ているドレスと同じくらい黒かったが、とても美しい人だった。
彼女は大きな目を細めて笑ったかと思うと、その目を見開いて私に襲い掛かってきた。
どうやら和尚とグルだったらしい。
私は右足も持っていかれる、とそう思った時、どこからか現れた女の人が和尚を一蹴して鳥籠から墜下させた。
落ち葉の上に転がった和尚はぴくりともしなくなった。
いきなり現れた救世主を見て仰天した。私の右足をもごうとしている女性と全く同じ顔をしていたからだ。
心底驚嘆したが、こちらの女の人は血色も良く清潔感で溢れていて、ドレスも白。まるで二人は天使と悪魔だった。
天使は魔法のようなものを使い、悪魔の足を鳥籠に固定してしまった。
自由に動けずに呻いている悪魔を見下ろしながら、天使が口を開いた。
二人は双子に生まれながらも別々の道を歩み、いつしか敵同士になってしまったと言う。
だがそれも今日で終わりにする、そう言うと私に悪魔を押さえつけておくように命じ、どこからかオペ道具を取り出した。
麻酔や消毒液と思しき液体を悪魔の右手首に線を引くように塗り、その上をなぞるように粉末状の硫酸で線を描く。
手際良くそこまでの作業をこなすと、ステーキナイフで手首の切断にかかった。
思わず目を伏せたが、彼女を押さえつけていた私の手を伝ってナイフの前後する振動が伝ってくる。
強く瞑った瞼の奥に、美しい顔を歪ませた悪魔の苦り切った表情が焼き付いていた。

07(Tue)池の主 

October 07 [Tue], 2014, 18:18
最寄り駅を一つ北へ行った所に
世界でも有数の列車密着駅に指定されたO駅がある
そこに設置された巨大モニターが得意げに観光客向けのVTRを繰り返し映し出していた
上り列車と下り列車のすれ違う様がアニメーションで分かりやすく説明されていて
気付くと私も見入ってしまっていた
列車同士がぶつからないよう計算され尽くした勾配について画面の中で電車のキャラクターが説明している途中で
直に入ってくるであろう車両を迎え入れる作業に追われる駅員さんに目をとられた
何やら懸命に確認作業をし
丁寧に線路の整備をしている
その先に目線を投げると
一帯が池になっており線路が池に埋もれていた
どうやら水の中を列車が走る様になっているらしい
さらによく見るとそこには大きな鯉が悠々と泳いでおり
黒地に赤のまだら模様のもの、金一色のもの、鮮やかな朱色、目を凝らせばそれは無数にいるのではないかと思うほど何匹も確認できた
その中にはウツボも混ざっており
時折池から顔を出してはこちらの様子を伺っていた

するとそこへちょうど下り列車が入るとのアナウンスが流れ定刻通りに列車が水しぶきをあげながらホーム目掛けて入ってきた
残念ながらダイヤの関係で名物の近距離でのすれ違いは見られなかったが水の中を進む列車はどこか神秘的だと思った
暫くすると笛の音を聞いた列車が再び水を掻き分けて北上して行き
踏み切りが上がると同時に水上で放り出された乗客達がこちらへ向かって歩いてくる
私は誰を待つわけでもなくそこへ佇んでいた

先ほど見かけたウツボが何かを察知したのか
小さな音を立てて水中へ戻って行く
そこに大きな水柱を立てて現れたのは間違いなくこの池の主であるワニだった
私はその主に恐怖を感じるより早く違和感を覚えた
少しして違和感の正体は側面ではなく正面に並んで付いた円らな目だということに気が付いた
その二つの瞳は間違いなく私を捉えていたし
目測で200キロはあるだろう巨体を俊敏に動かし迷うことなくこちらへ突進してくる
私に逃げる隙を与えずに勢いをつけて何度もこちらへ向かってくるので
私の体を貫くのも時間の問題だと諦めかけた時
池の主と視線が交わる
ぎらつく二つの瞳孔に映る小さな自分の姿が見えた

30(Wed)ロアッソ熊本戦 

July 30 [Wed], 2014, 23:10

仕事帰りに美香ちゃんと待ち合わせてアルウィンへ
今回はシャトルバスを利用させてもらいました
渋滞気味だった為キックオフには間に合いませんでしたが
先に到着していた真弓先生のお陰で事なきを得ました

前半2-1と盛り上がりを見せ
ハーフタイムで登場したくまモンはさすがの人気でした
後半は点の動きは無かったものの好プレーが見られて面白かったです

興奮冷めやらぬまま帰宅

30(Wed)甘豆 

July 30 [Wed], 2014, 12:15
とある国の軍隊に入隊した隊見習い十数名が合宿へと赴いたのは
文字通り白い砂浜に煌く海が見渡す限り広がる美しい南国だった
バスから降りた女性隊員も普段の訓練服ではなく麦藁帽子を被った女の子らしい格好をしていた

「一ヶ月トイレには行けないからな、そのつもりで」
と着いて早々注意事項を掻い摘んで話す長官
勿論それは普段使っているようなトイレには行けないという意味で
ここにはトイレはおろかお風呂も水道すらも無かった

そして棒に糸が付いた程度の釣竿を渡され
隊員達は海に入れられる
二列に列を成して膝程まで海水に浸るのを確認すると長官は
「なんでもいいから魚が釣れるまでは戻ってくるな」
そう言ってバスに乗り込むと今ほど来た道を戻って行った

小さくなったバスから透き通る海へと視線を向ける
浅瀬には一匹も魚の姿が見当たらない
「あんた、もう少し沖へ行きなさいよ」
女性隊員が先頭に立っていた男子隊員へ半ば命令口調で言った
おずおずと前へ出る男子隊員
しかしお腹まで海水に浸ると彼の体に痺れる程度の電流が走った

海中に目をやると50センチ程もあるピラニアのような魚が海草の合間に身を隠し
海への侵入者を自身の体から放つ電流によって食い止めていた
ここで隊員達は自らに課せられた指令の難易度を思い知らされる
照りつける太陽の下で海に浸っていない半身から水分が噴出していく
魚のいない浅瀬でエサも付いていない糸を垂らして獲物を待つ

少しでも沖へ出れば先ほどの放電するピラニアが待ち構えている
彼らは海中に潜みひたすら人の気配に神経を尖らせていた
そうしてじゃれつくように海中に垂らされた糸に勢い良く喰いつく
女隊員に強く引かれるが勿論釣られてやる気はない
糸を食い千切ると再び海草の隙間へと戻って行った

その時背後から現れた女隊員の父親がざばざばと海へ入ってきた
彼はイルカの姿をしていて
黒々とした魚体からは人間の足が生えており
ヒレには甘豆と書かれている
そしてどこかの女芸人を彷彿とさせる
「まめよ〜あまあめっ」
というフレーズを繰り返し口にしていた

12(Sat)天皇杯vsカマタマーレ讃岐 

July 12 [Sat], 2014, 23:43
東バックスタンド
A席

1-0

蛍を見に行ってから
サンダル型の日焼けをお土産に帰宅しました

24(Tue)星磨き 

June 24 [Tue], 2014, 20:46
少年は苦学生であった
昼間はじめっとした匂いのする茶色い建物で大勢の学生に混じって筆を動かした
その光景はなんだか色褪せていて紙っぺらのようだった
そこにいる人は皆ぜんまいで動いているのではないかと錯覚を起こすほど規則正しい時間が流れていた
少年は早起きできた日や日の長い夏場など
時間のある時には油脂と靴墨をかばんに詰めて駅前に出ると靴磨きをして小銭を稼いだ
少年の腕前は特別下手な訳ではなかったが大して上手い訳でもなかった
それでも少年に足元を預けた人々はコインを置いて行ってくれた
彼らが革靴を足台に置いた時から立ち去るまで無表情でも気にした事はない
というか寧ろ彼らは笑わない人種とさえ思っていたほどだ
日が暮れ始めると少年は折りたたみ椅子を抱えて帰路に着く
その頭上をカラスが夕陽の海に向かって少年の何倍もの速さで過ぎていった

そして少年は夜になると星磨きのアルバイトに出掛ける
まず程よい大きさの惑星に腰掛けると
その周りに浮かぶ星たちを大きい歯ブラシのようなもので磨いていく
歌を口ずさむのも忘れずに

靴磨きの時とは違い
少年には星磨きの才能があった

少年が生み出す旋律はどんな高価な靴墨よりも星をピカピカに磨き上げた
ブラシを握る手には力を入れすぎず弱すぎず
歯磨きの要領と同じだ
だから少年はその行為を”ほみがき”と呼んだりもした
そうやって磨かれた星は水を得た魚のように煌々と輝き少年の周りをシューシューと流れて喜びを表現した

そう
少年にとって星磨きの報酬は星々の明るいダンスだった

柔らかく 煌びやかな星の光を浴びると
この上なく幸せな気持ちになれた
何よりも大きな宇宙で誰よりも自由になれた






そして目を覚ました少年は
今日も電車に乗って人ごみに紛れる
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