wikipediaオープンリール

October 06 [Thu], 2011, 5:57
オープンリールは、テープを巻いたリールが単体で存在する形態をいう。カートリッジにリールが内蔵され、直接リールに触らずに操作できる方式と対照して用いる。その種のテープを使って録音する型の記録再生装置をオープンリール式記録再生装置(オープンリール式テープレコーダ等)、またはそのテープメディアをオープンリール式テープという。機器、テープを含め略して「オープン」とだけ呼ばれることもある。なお、オープンリールは和製英語であり、英語圏ではリール・トゥ・リールと呼ぶ。概要 [編集]カートリッジ方式と異なり、リールが剥き出しになっており、記録・再生の際には利用者が直接リールを操作する。 埃の影響を受けやすく、音質を左右する事がままあった。リールに巻き取られたテープを記録装置に装着し、記録/再生用のヘッドやテープ送り機構(キャプスタンおよびピンチローラー)を経由して巻き取り側のリールに巻きつけてからでないと使えない。普通テープを取り外す時は、テープをすべて巻き戻してから取り外す。カセット型(オーディオ用だとコンパクトカセットやDATなど)やカートリッジ型(オーディオ用だと8トラック)に比べると扱いが面倒である。一方で、高速・大容量の記録ができるため音質・画質に優れ、コンピュータ用ではより多くのデータを扱うことができた。またオーディオ用アナログテープにおいては音源の頭出しがわかりやすく、テープを直接切って繋ぐ編集が容易であるなど操作性に優れていた。記録機器としては音声用(テープレコーダー)、映像用(ビデオテープレコーダ (VTR))、コンピュータ用データ(MT装置)、アナログ信号を記録するための計測用データレコーダ等がある音声、映像、コンピュータ用のいずれも、業務用を含め1990年代に入ると、カセット式やカートリッジ式のテープメディアに置き換えられ、2000年代に差し掛かる頃にはディスク装置の高密度化と価格低下(DAWによるハードディスク録音など)も加わり、現在ではほとんど使われなくなっている。なお、NHKの公開番組において、歌手が唄う際カラオケ用の音源として、2007年現在もオープンリールが使用されているケースがある。動作が見えてわかりやすいのでスタートの確認がしやすい、というのが一つの理由である(2007年9月12日深夜放送「ラジオ深夜便」(NHKラジオ第一放送・NHK-FM)にて宮川泰夫の発言より)。音声用 [編集]アナログ記録方式 [編集]2インチ幅のオープンリールテープ幅1/4インチ直径7インチのオープンリールテープと空リールテープレコーダーにセットしたところプロ仕様のオープンリールオーディオテープレコーダー(オタリ製)テープ幅には1/4インチ、1/2インチ、1インチ、2インチがある。テープは幅約6mm(1/4インチ=6.35mm)のものが家庭用でも業務用で一般的であり、業務用録音機はしばしば「6ミリ」と呼称される。1/2インチ幅以上のテープは主にマルチトラック録音用に使用されている。記録は固定ヘッドにより長手方向に行われる方式で、トラック数が複数存在した。トラック幅はNABあるいはDINにより規格化されている。2トラック:ステレオ録音を片方向で行う方式と、モノラル録音を往復(両面)で行う方式とがある。4トラック:ステレオ録音を往復で行う方式と、4チャンネル録音を片方向で行う方式とがある。ステレオ録音を往復で行なうときトラックは、隣り合わせのトラックでステレオ録音をするのではなく、1つ飛ばしたトラック(たとえば上から1、3番目)を使って録音する。その他、業務用途では、多チャンネルのマルチトラック録音機もあり、幅広テープを使用している。タイムコードトラック:音声信号以外に時間情報を記録するトラックを装備する物もある。タイムコードガメはSMPTEにより規格化されている。マルチトラック機種では音声トラックのうち1本をタイムコードトラックに割り当てるのが一般的である。2トラック機の場合は下記のパイロットトラックにタイムコードを記録できるような構成の物がある。パイロットトラック:タイミング情報を記録するために専用のトラックを装備した物。電源周波数から作成したパルス等を記録するが時間情報は含まれない。映画を含めた映像関係で利用された。テープの走行スピードが4.75cm/s(1.875インチ/s)、9.5cm/s(3.75インチ/s)、19cm/s(7.5インチ/s)、38cm/s(15インチ/s)、76cm/s(30インチ/s)と、コンパクトカセットのスピードよりも早く、またトラック幅も広いため、その分音質がよい。また、テープ長が長いため、走行スピードを落とせば、かなりの長時間録音が可能である。 しかし、テープの大きさ(リールの直径)が5インチ、7インチ、10インチ、12インチ、14インチと記録時間に比例して大きくなる。また、テープの厚みによっても最大録音時間が変わる。厚み50μmが「標準」で、35μmでは録音時間が1.5倍(ロングと称する)、25μmでは2倍(ダブル)、18μmでは3倍となる。 テープのベースフィルム材質が改良された後は35μmテープが実用上十分な強度を持つようになり、タフさが求められるプロ用途では50μmテープが好んで用いられるが、民生用では35μmテープが標準的に用いられ、25μmおよび18μmは特に長時間録音が必要な用途に用いられる。1970年代初期まで50μmテープには独特の臭いを発するアセテートが使われていた。薄いテープは、同じサイズのリールで長いテープ長を巻くことができる長所があるが、その反面機械的強度が弱く(切れやすい、伸びやすい)、手切り編集での作業性が良くない、転写が大きい、などという短所がある。また、薄いテープでは磁性体層の厚みも薄くなるので、中低音域での感度および最大出力が低下する。一方、高音域は磁性体表面近くにしか記録されないので磁性体層の厚みの影響を受けにくく、薄いテープでは周波数特性が高音域で相対的に上昇する傾向がある。デジタル記録方式 [編集]PCMデジタル録音が開発・普及されるまでは、レコード用の音源録音は基本的にアナログオープンリール方式で行われた。ちなみに、初期のデジタル録音(日本コロムビア/デンオン)ではオープンリールの2インチビデオテープレコーダが用いられた。デジタル記録固定ヘッドオープンリール方式ではPD方式(三菱電機、オタリ (Otari))DASH方式(ソニー、Studer、ティアック (TASCAM)、松下電器産業、オタリ (Otari) ※オタリはライセンスを取得していたが製造はわなかった)3M方式 (3M)などがある。最近では家庭ではほとんど使われておらず、業務用も過去の録音素材を再生する用途が主体である。映像用 [編集]ソニー 1インチVTR BVH-2000放送用VTRとしては、初期の4ヘッドVTR (2インチVTR) から、1980年代から使われた1インチCフォーマットVTR等がある。家庭用には、1960年代後半から70年代前半にかけて1/2インチのものが存在した(アカイからは1/4インチのものが発売されていた)が、高価だった(第1号の製品は19万8000円だった)ことなどから一部の富裕層や放送関係者などが利用しただけで、一般家庭にはほとんど普及せず、工業用、あるいは学校等の教育現場用として利用された。家庭用には、のちにカセット方式のVTRが普及することになる。また、初期のハイビジョン (HDTV) 用VTRも1インチオープンリール型である。コンピュータ用 [編集]コンピュータ用オープンテープ装置1/2インチ9トラック(データ8ビット+パリティビットをマルチトラックヘッドで記録)の「磁気テープ記録装置」(MTあるいはMT装置とも。なお"MT"は業界用語で「エムティー」ではなく「エムテー」と称されることが多かった)がメインフレームやミニコンピュータの標準的な補助記憶装置として、1960年代から1990年頃まで用いられた。2007年現在でも一部メーカによってオープンテープ装置、オープンMT共に製造されている。テープの長さとしては、最大の2400フィート(リール直径40センチ程度)をはじめ、1200フィート(リール直径25センチ程度)、600フィート(リール直径15センチ程度)があり、記録密度として、800BPI、1600BPI、6250BPI等があった(BPIはBit Per InchLUXE)。大型の装置はオートスレッディング(テープを供給リールから巻き取りリールに空気を利用して自動的に装填する)機構を備え、運用性を改善していた。オープンリールが印象的な映像作品 [編集]『スパイ大作戦』では、任務が様々な方法で伝達されるがそのうちの一つがオープンリールのテープによるもので、指示を聞き終わるとテープが白煙を上げ、消滅するというものであった。おもに1960年代から1970年代にかけてのSF映像作品では、巨大なオープンリールのデータレコーダが科学力を象徴するアクセサリーとして用いられることが多い。これは、オープンリールのテープが当時におけるコンピュータの主要な外部記憶装置であったことによる。