モグラ町1丁目7番地
2010年10月17日(日) 3時19分
10/27(水)〜11月3日(水)まで、『モグラ町1丁目7番地』という芝居の楽団をします。熊坂義人とスパン子。
私が初めてお芝居を見たのは多分小学校の頃の観劇会とかだと思うが、とにかくあんまり得意ではなかった。大振りで大声の役者さんのテンションとは裏腹にどんどん冷めていく自分がいて、でも楽しい観劇会などと設定されているもんだから私はそれは楽しまねばならないと何か一生懸命努力して見ていたのだが、キンキンした声で「皆サーン」とか呼びかけられるといよいよどうしてよいかわからなかった。唯一小学校5年の時だったかな、その年の観劇会は狂言の『附子』で、それは本当に面白かった。何の力も入れずに最初から最後まで楽しめたのを覚えている。
そういう印象があったからか、あんまり進んでお芝居を見に行くということがなかった。
あ、一度あったな。ミュージカルだけど。劇団四季のオペラ座の怪人。その頃オペラにハマっていたから楽しみにしていったんだけど、日本語であなた〜とか真面目に歌っているのがおかしくておかしくて、うたもみんな日本人声楽家に多いキンキンした声だし、なんだかむずむずする。それで最後は頭が朦朧として来てしまって寝てしまった。そんな思い出。
その後HONZIに出会った頃、やはりお芝居の楽隊をやっているということで新宿に見に行ったのが近年初めてだったかもしれない。
そのお芝居がまたすごくて、何やらやくざもののストーリーで、最終的に殆どの人が死んじゃうみたいな話だった。ヒロインはなんだかあり得ない笑い声を立てるか泣きわめくか、とにかくヒステリックきわまりなく、男たちはみんな眉毛を綺麗に剃りそろえて眉間にしわを寄せ額に血管を浮き立たせて、「アニキ==」と声にドスを利かせるんだけど、どうしてもさわやかなのだ。役者さんの額に見える汗が、きっと時間に遅れることもなく、真面目に稽古を詰み、片付け掃除なんかもきちっとして、
そんな汗にしか見えなくて、バリバリ仁義もののミテクレと裏腹に伝わってくるさわやかな空気になんだかどうしてよいかわからなくなってしまった。その横で演奏している楽隊の方から、渡邊勝さんと、HONZIと、その他のメンバーだったのだけど、余程ヤニ臭くてドロドロした一筋縄ではいきそうにない空気が流れてくる。最後にオルガンを弾き語った勝さんからたくさんの味わいをもらった。そんな覚えがある。
そんなことを、モグラ町の稽古を初めて見た時に思い出した。
このお芝居、私がお芝居を見ては途方に暮れていたどうしたらいいだろうという気持ちにまったくならないのだ。
役者さんたちはボソボソと会話するし、人が集まればそれぞれが勝手に話をする。普通、日常ってそうだよなと気付く。それだって聞こえるものは聞こえるし、そうなってくるとこちらが聞こうとしてしまう。いつの間にかその会話の中に入り込んでいて、それでそれぞれの人柄といつの間にか触れて、まるで昔からの知り合いのような気持ちになってきてしまう。こういう役でこういう想いなんですみたいな気迫が全然ないから、じわじわと見えてくる人柄を、こちらは自由に抱きしめたり放ったりできる。
それでもああ、演劇だなあと思いそうになる部分を、作、演出の前川さんが、ビシバシとついていく。これが本当に見事なのだ。チョットした部分も見逃さずについていくから、どんどん立体的になっていく。彼女のひとことで、あっという間に膨らんだり消えたりしながら、お芝居はとことん私が途方に暮れないようにできあがっていく。モグラ町が現れてくる。
駄目男兄弟の駄目っぷりな話なんだが、最後は間違えてじわっときてしまい、駄目男たちが愛しくて仕方ない気持ちになってしまうそんな話なのだ。
例えば長い台詞に、人によっては必死になる、人によっては誤摩化しちゃう、それ自体が役柄になっていってしまう。例えば芳介だっこして歩くことになっても、それが楽団の個性になっていってしまう、モグラ町はそんな町なのだと思う。
こうなってくると私が途方に暮れてきたお芝居は根本的な表現の志が違うものだったのかもしれない。思えばみんな自分の表現をしようと渾身の想いだったのだろう。多分おそらく演出家も。だけどその渾身の想いを捨てて、見えてくるのがその人なのだ。そこにその人の表現が現れてくる。つまりつまり、やっぱり生き様そのものなんだよなと思うのだ。
さて、そんな風に稽古を見させて頂き、曲もたくさん出来ました。実際合わせてみるとばっちりはまるところもあればちぐはぐなところもあり、これからとことんそこを探っていく。来週は毎日通し稽古にどっぷりなので、しっくり来る点を見つけていくぞ。この作業は録音の作業とちょっと似ているな。物足りないと思って楽器を足すと大抵どんどん薄まっていくもんで、やっぱり寧ろ音を減らすことで骨太の音が浮かび上がってくるような、そんな風に仕上げていきたいなって思っている。
はっきりいってすんごい面白いお芝居だから観に来た方がよいです!
もうチケットあとわずかみたいです!急いで!
詳細はこちら
私が初めてお芝居を見たのは多分小学校の頃の観劇会とかだと思うが、とにかくあんまり得意ではなかった。大振りで大声の役者さんのテンションとは裏腹にどんどん冷めていく自分がいて、でも楽しい観劇会などと設定されているもんだから私はそれは楽しまねばならないと何か一生懸命努力して見ていたのだが、キンキンした声で「皆サーン」とか呼びかけられるといよいよどうしてよいかわからなかった。唯一小学校5年の時だったかな、その年の観劇会は狂言の『附子』で、それは本当に面白かった。何の力も入れずに最初から最後まで楽しめたのを覚えている。
そういう印象があったからか、あんまり進んでお芝居を見に行くということがなかった。
あ、一度あったな。ミュージカルだけど。劇団四季のオペラ座の怪人。その頃オペラにハマっていたから楽しみにしていったんだけど、日本語であなた〜とか真面目に歌っているのがおかしくておかしくて、うたもみんな日本人声楽家に多いキンキンした声だし、なんだかむずむずする。それで最後は頭が朦朧として来てしまって寝てしまった。そんな思い出。
その後HONZIに出会った頃、やはりお芝居の楽隊をやっているということで新宿に見に行ったのが近年初めてだったかもしれない。
そのお芝居がまたすごくて、何やらやくざもののストーリーで、最終的に殆どの人が死んじゃうみたいな話だった。ヒロインはなんだかあり得ない笑い声を立てるか泣きわめくか、とにかくヒステリックきわまりなく、男たちはみんな眉毛を綺麗に剃りそろえて眉間にしわを寄せ額に血管を浮き立たせて、「アニキ==」と声にドスを利かせるんだけど、どうしてもさわやかなのだ。役者さんの額に見える汗が、きっと時間に遅れることもなく、真面目に稽古を詰み、片付け掃除なんかもきちっとして、
そんな汗にしか見えなくて、バリバリ仁義もののミテクレと裏腹に伝わってくるさわやかな空気になんだかどうしてよいかわからなくなってしまった。その横で演奏している楽隊の方から、渡邊勝さんと、HONZIと、その他のメンバーだったのだけど、余程ヤニ臭くてドロドロした一筋縄ではいきそうにない空気が流れてくる。最後にオルガンを弾き語った勝さんからたくさんの味わいをもらった。そんな覚えがある。
そんなことを、モグラ町の稽古を初めて見た時に思い出した。
このお芝居、私がお芝居を見ては途方に暮れていたどうしたらいいだろうという気持ちにまったくならないのだ。
役者さんたちはボソボソと会話するし、人が集まればそれぞれが勝手に話をする。普通、日常ってそうだよなと気付く。それだって聞こえるものは聞こえるし、そうなってくるとこちらが聞こうとしてしまう。いつの間にかその会話の中に入り込んでいて、それでそれぞれの人柄といつの間にか触れて、まるで昔からの知り合いのような気持ちになってきてしまう。こういう役でこういう想いなんですみたいな気迫が全然ないから、じわじわと見えてくる人柄を、こちらは自由に抱きしめたり放ったりできる。
それでもああ、演劇だなあと思いそうになる部分を、作、演出の前川さんが、ビシバシとついていく。これが本当に見事なのだ。チョットした部分も見逃さずについていくから、どんどん立体的になっていく。彼女のひとことで、あっという間に膨らんだり消えたりしながら、お芝居はとことん私が途方に暮れないようにできあがっていく。モグラ町が現れてくる。
駄目男兄弟の駄目っぷりな話なんだが、最後は間違えてじわっときてしまい、駄目男たちが愛しくて仕方ない気持ちになってしまうそんな話なのだ。
例えば長い台詞に、人によっては必死になる、人によっては誤摩化しちゃう、それ自体が役柄になっていってしまう。例えば芳介だっこして歩くことになっても、それが楽団の個性になっていってしまう、モグラ町はそんな町なのだと思う。
こうなってくると私が途方に暮れてきたお芝居は根本的な表現の志が違うものだったのかもしれない。思えばみんな自分の表現をしようと渾身の想いだったのだろう。多分おそらく演出家も。だけどその渾身の想いを捨てて、見えてくるのがその人なのだ。そこにその人の表現が現れてくる。つまりつまり、やっぱり生き様そのものなんだよなと思うのだ。
さて、そんな風に稽古を見させて頂き、曲もたくさん出来ました。実際合わせてみるとばっちりはまるところもあればちぐはぐなところもあり、これからとことんそこを探っていく。来週は毎日通し稽古にどっぷりなので、しっくり来る点を見つけていくぞ。この作業は録音の作業とちょっと似ているな。物足りないと思って楽器を足すと大抵どんどん薄まっていくもんで、やっぱり寧ろ音を減らすことで骨太の音が浮かび上がってくるような、そんな風に仕上げていきたいなって思っている。
はっきりいってすんごい面白いお芝居だから観に来た方がよいです!
もうチケットあとわずかみたいです!急いで!
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