カギサガシ10 

2006年02月04日(土) 19時57分
沁みる 沁みる

滲み、広がる

透明な何かを覚えた


カギサガシ10


「おっどろきの事実でしょー?凄いよねっ」

唖然とする僕の視界の中、黒須が口を挟む。

「き、キキ様…あまりそのことを言わないで下さい。ちょっと……恥ずかしいです」
「いーじゃぁぁん!キキもかっくいーお兄ちゃん欲しいなぁ〜」

豪華でシックなソファーの上で、足をジタバタさせ、頬を膨らます黒須。
まるでお菓子屋の前で動かない駄々っ子だ。

「キキ様っ…説明の間は、静にしていて下さい……ね?」

そしてそれをあやす母親、ポルタ。

「……ぶぅ」

駄々っ子は、拗ねた。
ポルタはニコリ、と微笑み、僕に向き直った。

「ごめんなさい、説明を中断してしまいましたね」
「いや…慣れてるし」
「ふふっ、そうですね…では、説明を続けますね。
兄様と私の祖国――こちらでは、『異世界』とでも言うべきでしょうか?
――其処は、他の様々な国を従える、巨大な国なんです。
多いに栄え、幾千の都、幾万の人の住まう国でした…
しかし、それを支えていたたった一つの鍵――そう、お気付きのように、
兄様、そして私も探している鍵のことです――それが、ある日忽然と
消えてしまったのです」

酷く哀しげに、ポルタは俯く。

「父上――国王――は、直ちに鍵の行方を追い求めました。
ですが、一向に見つかる様子はありませんでした。
そして、遂に兄様が自ら探すことを申し出たのです。
一見それは、とても栄誉なことと見えました」

カギサガシ9 

2006年02月04日(土) 17時56分
真紅の瞳

誰かに似ている

済んだ青い瞳の彼に


カギサガシ9


「……ん?」

僕は、死んだんだろうか。
死んでも、思考能力は魂とやらに残るのかな?
でも、ちゃんと肉体がある(手首は縛られてるけど)。
とゆうか、此処は何処だ?
全体的に、黒を貴重とした無駄に大きな部屋。
そこに、ずらーっと人形やぬいぐるみが並んでいる。

沈黙の中、じっと動かず、僕を見つめる人形やぬいぐるみ達…
だんだん、気持ち悪くなってきた。

その時、一人の少女が部屋に入ってきた。
白いフリルの付いた、19世紀ヨーロッパのゴシックな服。
通称、ゴスロリと呼ばれる服装だ。
ツインテールの黒髪を、赤いリボンで留めた、幼い少女。
僕のクラスメイトの、お嬢様。

「目覚めたんだね!おはよ、煉君」

僕を「ドキドキ★告白大作戦」かと思いきや、逆に痛い目に
遭わせた張本人、黒須 綺姫(14)。
ってことは、あれか?此処は噂の黒須の家か?

「うん!あたしのお部屋だよっ。可愛いでしょー」

そう言って、ロリータ黒須はだだっ広い部屋を駆け回る。
いや、つーか駆け回る前に事情を説明してくれませんかね、
綺姫お嬢様。

「えー?キキ説明するの苦手なんだけどなぁ〜…ま、煉君ならキキ頑張るよ!」

煉君「なら」って…変な理由。

カギサガシ8 

2006年01月26日(木) 19時58分
終わる宴、薄らぐ色。

閉じる瞼、絶えた音。

もう幕は全て下りた。


カギサガシ8


「…ぇ……」

第一声が、それだった。
言葉よりも何よりも、疑問符もマトモに付いてやしない台詞だ。

「ちょぉーっと痛いけど、我慢してね〜」

子供に注射をする看護婦のように、黒須は更に微笑んだ。

「ポルタぁ〜」

聞きなれぬ単語を、黒須は呼んだ。
すると、水面がキラリと光り、水が渦を巻き立ち上った。
中から出てきたのは、一人の少女。

『――はい、キキ様』

水気を帯びた長い髪は陽射しを受けて銀色に輝き、
円らで睫毛の長い紅い瞳は伏せられている。
大人びた顔立ち、真っ白な肌、額には古びた包帯。

「この間言った通り、実行して!」
『――承知しました』

そして、ポルタという少女は、スルスルと額の包帯を解き始めた。

紅い…石……?

左の額には、文字通り、紅い石が埋め込まれていた。
石の周りを、血脈のようなものが流れている。
その異様で、綺麗な容姿とは正反対のグロテスクさに、
僕の意識は完全にビジー状態と化した。
ポルタは、僕の前にひたひたと歩み出て、何やら唱え始めた。

『終わる宴、薄らぐ色。
 閉じる瞼、絶えた音。
 もう幕は全て下りた。
 光と共に果に堕ち、 
 闇と共に梦を見よ。』


――プツッ…


「……っあぁぁっ!!!」

頭が割れそうな程の頭痛が襲ってきた。
何だ…何なんだよ……っ!!?

『…ごめんなさい……』

遠退いてゆく意識の中、最後に目に映ったのは、
大粒の涙を流して顔を伏せるポルタと、相変わらず哂い続ける
黒須の影だった。

********

何か怖くなっちまいました(苦笑
ポルタちゃんは、唯一(?)この小説の中で気が弱いのですbb
ふぁいつ

カギサガシ7 

2006年01月25日(水) 18時36分
彼女は哂った。

いつもと同じ笑顔。

揺れる水面が、光った。


カギサガシ7


きょぅのほぅヵご、プールでまっててネ♪

by キキ


最近の女子が書くような丸っこい字で、それは書かれていた。
読みにくい…何で「う」や「か」を小文字にする必要があるんだ…?

しかも

放課後に…プール?
「ドキドキ★告白大作戦」とかだったら、校舎裏だろ、普通。
でも黒須みたいな悪く言えば変人だったら、あり得るかも……
入ってる場所も場所だ。下駄箱なんて…ベタなラブレターじゃないか。
でもそれはただの紙切れで、ハートのシールの付いた封筒には
入ってなかった。

「はよー煉。お?何だそれ?」

突然、僕の背後に響がやって来た。
ヤバイ!見つかったら、響の全然怖くないけど人一倍恨みがましい目で
日がな一日睨まれる羽目になりそうだ。

「あーこれは…テストだよテスト。やっべー点数だし、見せられない」
「何だよー。女子からのラブレターとかだったら俺放課後の校舎裏を温かく見守ってやったのにぃ」
「いいよ、女子に気付かれて逆に逃げられそうだ」
「酷っ!!?」

結局その日は一日中、授業が手に付かなかった。
幾ら黒須とは言え、女子だ。結構可愛いし。
…って、何を考えているんだ僕は。
漫画のヘタレ主人公みたいに、告白だと思い込んでたら
好きな人の恋愛お悩み相談でそれが自分じゃないことを知る
可哀想な奴みたいじゃないか。

――そうか…これが男の性というものか。

僕は何かに一歩近付いたような気がした。

カギサガシ6 

2006年01月17日(火) 21時23分
物言わぬ口

物言わぬ今。

けれどその目は――


カギサガシ6


メッゾは、見る間にクラスに打ち解けていった。
女子には人気があるし、スポーツも慣れればお手の物なので、男子にも人気だ。
そう、メッゾは見る間に人気者になった。

一方、僕とメッゾは何も変わっていない。
あの日から、ずっと。
隣の席にいても、話はしない。
お互いただ黙って、それを保ち続けているんだ。

「あーあ…金建は大人気だな……」

ふぅ、と響は呟いた。
僕等は漫画の中であるように、屋上のフェンスに寄りかかって座り、空を見上げている。
目が覚めるようなスカイブルーと、鈍く流れる巨大な白。
僕が無言でいると、響は勝手に喋りだした。

「女子からは黄色い声。男子からはスポーツやら勉強やらで引っ張り凧…はぁぁ、諭吉さんは大嘘吐きだよなぁ」
「『天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず』だったけ」
「うん。金建が『人の上』で、俺等が『人の下』」
「…何で『俺等』になってる訳?」
「え?だってそうだろ?」
「………」

確かに、僕がモテるなんてことは、有り得ない。
このルックスは、例え極限まで磨いたとしても、所詮中の上か上の下が限界だろう。
ちなみに、メッゾがルックスを磨けば、もうそれはオウジサマではなくカミサマに近い域となると思う。
ぼやぼやと頭の中だけで喋っていると、僕の名を呼ぶ声がした。

「煉くーんっ、そこで何してるのー?」

紅いリボンの付いた黒髪ツインテール。
ブリッコ気味なその口調、声。
階段下で手を振るのは、この町の実権を握る権力者のご令嬢。

「くっ、くくく黒…須っ!!?」

カギサガシ5 

2006年01月16日(月) 19時15分
変わらぬいつもが

動きだした。

きしきしと鈍く唸りながら。


カギサガシ5

クラスにざわめきが起こる。
数人の女子は、「カッコイイー」なんて、キャーキャー騒いでいる。そりゃあ、オウジサマだもんな。
僕はと言うと、何も変わらぬ表情のまま、固まっていた。

「おー今回はデカイなー。じゃっ、簡単な自己紹介でもして貰おうか」
「ええっと…父の仕事の都合で、こちらに来ることとなりました。関東は初めてなので、慣れない所も沢山あると思うけど、どうぞ仲良くしてね」

昨日までメチャクチャだった日本語が、ウザイ位に修正されている。
「仲良くしてね」の所は、語尾に「★」が付いていた。そこで再びニコッ…眩しい。そして、黄色い声。

「冴えないこの教室に、爽やかな空気が溢れることを期待するぞ、金建」
「ええ、頑張ります」

ニコリ、キラキラン…いやいや、そこは笑顔で「頑張ります」じゃないぞメッゾ。

「えーっと、金建の席は…安心院の隣だな」

ゲッ……僕の隣…確かに、こないだ引っ越した奴の席は、丁度僕の隣だったから、嫌な予感はしていたんだ。
僕の隣に座る時、メッゾはウィンクをしてきた。キマッてる…気色悪い。

「じゃっ、皆金建と仲良くしろよっ!ホームルーム終了〜」

その声を合図に、飢えた女子達が、一斉にメッゾの机に集まった。
メッゾは相変わらずニコニコとしている。慣れてるんだろうな…ウザイ。

「ねぇねぇ、金建君って雑誌とかのモデルぅ〜?」
「前は、関西のどこに住んでたのぉ〜?」
「メアド教えてぇ〜」…etc…

「あーあ…遂に来ちゃったよ……」

僕の傍でぼやくのは、僕の数少ない友人、弦間 響だ。
頑張って毎朝立てているという短い髪と、くりっとした目。
最近、元々多かったそばかすが増えてしまったらしい。

「何が?」
「…美男君。もう俺らの出番はないってことさ」
「ふ〜ん」

吐き捨てるように響は言う。
安心しろ、アイツのナルシスな本性は、確実に引くから。

「ほら見ろよ〜、黒須も女子の中にいるしさー…」

黒須というのは、響が好きな女子。本名、黒須 綺姫。
黒髪ツインテールのロリータちゃん。
凄いのは家柄で、地元の実権を握る黒須家のご令嬢。
けれど口調が「〜ですわ」だったり、黒塗りのリムジンに乗ってきたり、常に黒ずくめのSPが一緒な訳でもない。
至ってフツーの女子中学生だ。

プロローグにしたかったモノ 

2006年01月15日(日) 17時00分
この世界は、淀んでる。
そう感じ始めたのは、そう遅くはない。
もしかしたら、本能がそう云っているのかもしれないけど。
どちらにしろ、この世界は淀んでいるんだ。
そんな奴らは世の中に蔓延してて、それに耐え切れなくて凶器を手にする奴もいる。

でも、僕等は傍観者だ。
この現状に嫌気がさしつつ、かといって変革しようという正義感も失せて、ただテクノロジーの海へ潜ってそれを紛らわしているだけ。

だが、上はそれを放っておいてはくれなかった。
無駄な議論と争いを繰り返し、多くの制度を取り入れて、最終的には目的を失った。

そう
僕等は傍観者だ。

*********

「カギサガシ」のプロローグにしたかったブツ((
でも初っ端からこんな捻くれたの乗っけたら、ただでさえ
出来はしないであろう読者が本当に0人になっちゃうかも
しれない…ということで、載せませんですた
こんな捻くれた小説ですが、暇つぶしに読んでくれると
ありがたいです^^

詩コンも、近々開催しようかな〜と思っています。
どうかしら?(ぇ

カギサガシ4 

2006年01月15日(日) 16時52分
平凡な今日。

きっと明日も平凡。

けれどそこに現れたのは――


カギサガシ4


窓の外の夏が、だるそうに揺らぐ。
月曜日――自殺発生率が最も多いとされる気だるい日――
入学当初元気のあった男子諸君も、2年生の夏はグウタラグウタラ。
特に、登校からホームルームまでの約15分は、眠いのと暑いのでひたすらグウタラグウタラ。

「お前等ー席に着けー」

そのグウタラをダンッと扉を開けて打ち破ったのは、担任の綾川 凛。
男勝り――とゆうか、既に打ち勝っているとでもいい――な最強女教師だ。
見た目は名前の通り、凛と整った顔立ちをしていて、艶やかな黒髪は高く結ってある。
28、という年齢は、あまり感じさせないが、若い女性のようなキャピキャピとした印象も受けない。
何かに例えろ、と聞かれれば、「若竹」とでも言えば良いのか。

「今日も此処は気だるいなー。暑い暑い」

ツカツカと教卓の前まで来た綾川先生は、手で顔を仰ぐ。

「暑ぃー暑ぃー…って、冷房付けてないからか?」

いやいや先生、冷房ちゃんと付いてますから。
我が校も今更「エコロジー」を喚きだし、常に冷房温度は28度以上となっているのだ。

「お、付いてる付いてる」

温度設定の表示してあるリモコン部分を見た綾川先生は、今度は絶句した。

「はぁ!!?28度なんてありえねぇっ、道理で暑いのか!」
「あのー……先生」

一生徒が、恐る恐る挙手する。

「ん?何だ?」
「今年の夏から、この学校の冷房は全て、28度以上にしなければならないらしくt
「んなもん関係あるかっ」

哀れな一生徒の正しい意見も、綾川先生にかかれば、粉々だ。

「エコロジーだ何だの前に、教師及び生徒が学習しやすい環境を提供し、教育するのが学校だろうが!こんな蒸し暑い教室で我慢できるのかよ?少なくとも、私は出来ないからなっ」

ご立派な理論を言いたいだけ言って、満足気に綾川先生はリモコンで温度を設定する。
どちらにしろ、このクラスの男子女子共で、幕を開けたばかりだってのにあり得ないほど暑い今夏の教室の設定温度を下げられて嬉しくないとんでもないエコロジーな生徒は、いないだろう。

カギサガシ3 

2006年01月14日(土) 20時10分
この世に満ち満ちている理不尽は

廻り廻って此処を通る。

僕はそれに触れてしまったんだ。


カギサガシ3


「はぁ?」

何寝ぼけてるんだこの男。
オウジサマ?そんなものお伽噺の中だけの理想の男性像だ。
でもコイツの自信満々の顔を見てると、事実に思えてくる…

「もー最近のオコチャマは口が悪いね。『はぁ?』ぢゃなくて『おお、何と素敵なオウジサマでしょう!』って言うんだよ。知ってた?」

大げさな身振り。「おお」の部分は、どちらかというと「oh」って感じだ。

「知らない知る筈ない知りたくない」
「ひゃーっ、本当に冷たいよ此処の現代っ子は」
「アンタが厚かましいだけだ」
「違うよ少年。『親しみやすい』と言ってくれない?」

チラッと見せる白い歯…何故かカッコ良くキマってるし。

「悪いけどアンタと話して『親しみやすい』と思うのはよっぽど優しい人だと思うよ」
「ぢゃあ君はとっても意地悪な餓鬼なんだね」

その整った顔を殴りたくて堪らないと震える拳を必死で抑える僕は、とても優しい人だと思う。

「ともかく、俺はオウジサマなの!」
「オウジサマだか殿様だか知らないけど、誰なのさ?アンタ」
「おっと、言い忘れていたね。俺の名前はメッゾ・オーロ・キアーヴェ。メッゾ様って読んでくれ給へ」

長い…昔の王族じゃあるまいし…あ、自称・王族だっけ。

「やだね。普通にメッゾって呼ぶよ」
「え――――っ」
「何?変態とか呼ばれても良い訳?」
「メッゾで十分でございますハイ」
「……で、自称・親しみやすいオウジサマのメッゾが何の用?」
「ふふっ…ようやく本文に近付いたよ。いいかい、よく聞いてくれよ、レン君」

真面目な顔をして人差し指を立てるというダサイっちゃ
ダサイポーズをしても、キマってる…。ってか、何でメッゾは
いつのまにか僕の名前を知っているんだ?

解釈不能な感覚 

2006年01月10日(火) 22時04分
何が哀しいの?

分かったら戸惑わないよ。

これが哀しいというのかさえ分からない。

でも足りない。何かが足りない。

いつもは楽しい。今日も楽しい。

物事は少しずつ明るくなっているのに

暗闇の中で消え入りそうな感覚。

教えて、何が―――
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