近距離恋愛:高校三年生夏

July 20 [Mon], 2015, 20:20

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近距離恋愛:高校三年生夏
思いつきネタ。
暑い夏が始まる @

宮代 昴 と 一ノ瀬 朔

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梅雨入りしても今年は日中の降水量は少ない様子でじわじわと照りつけるアスファルトからの熱気が練習後の自主トレの足に響いてくる。暑い…でもまだ本番ではない…。
春季大会を無事終えて最後の夏に向けて抜かりはないし手を緩めるつもりもないがそれでもどこのチームも最後の夏に向けて照準を合わせてくるのだから自分たちだけ怠けるわけには行かない。かつて最高と言われた世代をも上回る勢いのある今年はメディアもこぞって取材に来るから気が休まる部分はどこにもない。…自主トレですらゴール地点には今日午後から来ている民放のカメラが居るはずだ。それを避けるためにも何時もならゴール地点でタオルとドリンクを渡してくれるマネジャーも最近は目につかない所にしてもらっている…。(ちょっとむず痒い)
カメラが着いているのは俺だけではない。エースピッチャー然り、その恋女房役のキャッチャー然り。瞬足が売りのサード然り。全くもって普通に少し毛が生えたぐらいなのになんでこぞってそこまで取材したがるのか?だいたい聞いてくることは「今年のチームの出来は?」 とか「キャプテンとして気を付けていることは?」なんていうありきたりな質問ばかり。お決まりのように同じことを返答するのも何回目か忘れるぐらいだ。普段から高校野球が好きな記者さんが来れば話も弾むものの、たいてい撮影に来るカメラさんとそのアシスタントさん?は野球に興味の無い人だったりする。
硬球がどれだけ重いのか、なんてのも多分わからないのだと思う。(アシスタントさんが持つカメラ三脚も重そうだけど負けてないだろうと思う。)見えてきたゴールにはしっかりとレンズを構えたカメラマンとその横に立つ人たちが見えて予想通りの展開に思わず苦笑いがこぼれそうになった。

「お疲れさまー」
「っス…あ、てか皆さん炎天下で暑くないですか?」
「暑いけど仕事だからねぇー」
「そっすね」

ははは、なんて笑いながらちらりとアシスタントさんを見やれば今日は女性だった。(いまどき珍しくはないけど)元々肌は白いのだと思う。こんな取材ばっかだったらきっとすぐに真っ黒になるんじゃなかろうか?と、ふとマネジャーを思い起こしてそういえば彼女もそんなに真っ黒ではなかったような…とぼんやり考える。日焼け止めをしっかり塗ってるからだろうか?それとも、小さい頃から炎天下で走っていたのもあって焼けることに抵抗がなくなっているのだろうか?それにしても少し休んだ方がいいと思う。流石に水分を取らないとここで倒れられても困るのは取材を受けている俺たちだ。

「インタビューがてら、少し涼みましょ?倒れたら元も子もないし…絵的に…って言うのであれば今答えますが…」
「いや、大丈夫だよ。そしたらお言葉に甘えて、日陰行こうかな」

そう言って後ろを向いた記者さん越しにほっとしたような表情で三脚を抱えたアシスタントさんが見えて自然と俺自身も笑みがこぼれた。彼女もカメラマンさんもおそらく限界だろう。異を唱える人はいなかった。

「普段はどれぐらい走ってるの?」
「ここの所追い込みで少し量増やしてます。普段は15ぐらいかな…?」
「練習後だとキツくない?
「いえ。寧ろ練習後の方がアドレナリン出てるせいで力が出ますね」
「なるほどね…普段は誰かサポートしてくれてるの?」
「あー…一応。マネジャーが。」
「今日は?」
「マネジャーの仕事もあるので…。そっちを優先してもらってます。取材って事もあって。」
「あんまり表舞台には出ないんだ?」

言葉に詰まる質問ばかりだなぁなんて思いつつまぁ、はい。と返答を返す。
本当は出たがりだし取材、なんていえば張り切り始めるのが朔の良いところと悪いところだ。張り切るあまり映っていることを意識する。でも張り切っているからこそ仕事が早くなる。出来る女だと褒めてやれば図に乗ってしまうので言わないようにしているものの、それもいつまで持つか…。
なんとなく流しながらも質問に答えたあと、放送日等の連絡を受けて撮影に来ていた人たちを見送った瞬間、後ろから突然「ニヤニヤしてた。」と声をかけられた。

「びっ、くりした…してねぇよ?」
「いや。してた。私にはわかる。すーくんあーゆー頑張ってる女の子好みだもん。」
「このっ…いやー。ないない。」
「嘘だね!」
「んー…なんにもしないよりかは好感は確かに持てるけど…好みとはまた別の話だろ?」
「そーゆんもん?」
「うん。」

そう言うとふぅーん。と言いながら冷えたタオルを手渡してくれるので毎度ながら本当に容量のいいマネジャーで助かるなぁと思いつつ。頭を軽くポンポンと叩いてご飯へと促す。そんな簡単なことですんなりと機嫌を直して鼻歌を歌いながらこつんと寄りかかってくるから思わず微笑みながら今日は何かなぁ…とつぶやけば春巻きだよーという返答が返ってきていつもの様に食堂に向かう背中にシャワーだけ浴びてくるわ、と声をかけて一旦自室へと戻った。

(20150720)
P R
プロフィール
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  • ニックネーム:一ノ瀬
  • 誕生日:7月5日
  • 血液型:A型
  • 現住所:長野県
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成人済み夢書き。でも、腐もイケる口。
設定置き場として活用させてもらうつもりで作りました。
お絵かきしたりコスしたり。
邦ロック好きです。