書籍「ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野 圭吾著」ささやかな偶然を奇蹟ともいう

2012年05月03日(木) 23時07分
書籍「ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野 圭吾著」★★★☆
東野 圭吾著 ,
角川書店、2012/3/28
( 385ページ , 1,680 円)





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「悩み相談お任せください――。
時空を超えて交わされる、温かな手紙交換。
過去と現在が鮮やかに繋がったとき、
すべての真実が明らかになる。
すべての人に贈る、感動と驚愕の物語。 」
(角川書店HPより)



郊外のシャッターの下りた雑貨店、
そこはかつて経済成成長期には
周囲に新しい住宅が増え
多くのお客が来ていたが
大型ショッピングセンターの登場などで
人の流れはやがて変わっていき
経営者が亡くなると
息子は店を継がなかったため
今では取り壊すでもなく風雨にさらされている。


街は栄え、そして何かの理由でさびれていく
シャッターの下りた商店街を
時々目にすると
そこにはかつての繁栄は感じられない。



そんな閉店状態の店は、かつて
雑貨店の他にしていたことがあった、
店の主人が人の悩み相談に応えるというもので
シャッターの郵便受けと
店の裏の牛乳瓶入れが
悩みを受け入れ、解答を相手に渡すという
役割をしていた。


そんな前提も段々と分かってくるわけだが
「そんなことあり得ないよ」
そう思ってしまったら始まらない
時にはこんなささやかな奇跡なら
信じてもいいなと思った。



悩み相談の解答が示されるが
多くは具体的な事は書かれていない
それより毎日の過ごし方だったり
考え方を示唆するもので
これは受け手がどうとでも取れる、
そして結果的に本人が自分の意思で
その悩みを解決していくのだが
その時そっと背中を押してくれた
雑貨店の店主の解答に感謝するのだ。



自分のこれまでの選択に
全て自信を持っている人はいない、

それにその重要な選択をした時でさえ
そのことに気がつかないこともある
振り返ってみると、その時の選択が
今の重要な転機になっていることが分かったりする

そんなちょっとしたきっかけを
この小説では雑貨店の店主の返事という形で
それが時空を超えて
過去と未来がその雑貨店を「ドア」のように
通り抜けていくのだ。


そんな場所があれば
誰でも行ってみたくなる
そしてそんな場所が無いことを
誰でも知っている

いくつかのエピソードが次第に
どこかで重なり合い
ささやかな奇蹟に心が温かくなる、
今日、道ですれ違った人とも
実はどこかでつながっているかもしれない
それは偶然とも言えるが
それを「奇蹟」と呼べば
こんな小説になるのだろう、
かなりの厚みの本だったがすぐに読み終えた。



★100点満点で75点

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オリコンの本の総合ランキング(2012年04月29日)
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A東方求聞口授 〜 Symposium of Post−mysticism./ZUN
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B悲鳴伝/西尾維新
CDVD付き 樫木裕実カーヴィーダンスで楽やせ!/樫木裕実
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書籍「共喰い/田中慎弥著」著者の純文学の野心が息苦しい

2012年04月23日(月) 19時09分
書籍「共喰い/田中慎弥著」★★★☆
田中慎弥著 ,
集英社、2012/1/27
( 144ページ , 1,470円)



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第146回(平成23年度下半期) 芥川賞受賞


「本の内容より芥川賞受賞のスピーチが
話題として先行したちょっと可愛そうな本、
ネット書店のbk1に予約して
1月には読み終えていた作品、
最近、新刊で短編集が出たのでそちらを読んで
この本をもう一度読み返してみた」



最初にこの本を読んだ時
なんというか昭和の香りというか
まさに「文学」です!って調子の文章が
どうにも鼻について

なんか、作家の生真面目な心意気と
静かな野心みたいなものが
物語のそこここに散りばめられ
その圧倒的な熱量でラストまで引っ張り
最後は川の氾濫ときては、
歌の作り方みたいで
出だしは静かに、良い部分は繰り返し
最後はサビで強烈な印象を残すぞ!
そんな作りに感じてしまった。

中学生くらいだったら
なんかとてつもなく大変な「文学」とやらに
触れてしまったよ、と
感じるかもしれないが

もうそんな読んだままを素直に感じらない
大人にとっては
これはちょっと青臭い感じだった。



大人のちょっと前
一人で生活できるわけでも無く、
どんな状況だろうと同じ場所に留まるしかなく
その閉塞感はこちらも
息苦しくさせる、

汚いもの、見てはいけないものと分かってて
何故か目が離せない事。


まだ何ものでもなく
何になれるかも分からない
そんな瞬間を描いているが
その設定はなんとも古臭く
そして納得させてくれない。


最新刊の短編はもっとヒドイことになっている、
だから再読して
何か見つけることが出来るかと思ったが
昭和63年の17歳の少年の心理を
なぞった気はするが
本質までは見せてくれてない、
どこか作り物の香りが立ち過ぎて
入り込めなかった。


ただし読み物としては面白かった。
それでいいのかな。


★100点満点で70点


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オリコンの本の総合ランキング(2012年04月15日)
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ACath Kidston SPECIAL BRITISH ISSUE Spring Summer 2012
Bsyunkonカフェごはん 2/山本ゆり
Cナミヤ雑貨店の奇蹟/東野圭吾
D大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ/中村仁一
E理系の人々 3/よしたに
FDVD付き 樫木裕実カーヴィーダンスで楽やせ!/樫木裕実
G日本人の知らない日本語(3)祝!卒業編/蛇蔵/海野凪子
HANNA SUI SPRING 2012 COLLECTION/宝島社
Iみきママのめちゃうま!おうちごはん/みきママ

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書籍「人質の朗読会/小川 洋子著」もう今はここに居ない人達のお話を読む

2012年04月12日(木) 0時36分
書書籍「人質の朗読会/小川 洋子著」★★★★
小川 洋子著 ,
中央公論新社、2011/02
( 247ページ , 1,470円)



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「隔絶された場所から、彼らの声は届いた。
紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。
祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは
人質たちと見張り役の犯人、
そして…しみじみと深く胸を打つ、
小川洋子ならではの小説世界。 」

(「BOOK」データベースより)


小川洋子の小説はすでにひとつの世界を持っている、
読み始めると、しんとした小説世界に
ストンと落ち込み
しばし現実から離れて
まるでその場所にいるように
息をひそめて読み進んで行く。



本書の舞台は地球の裏側
しかも人質に取られた人達が
せっかくの時間なので
ひとりずつ記憶の中の物語を
語り合おうというもので
そんなどこから設定を考えつくのだろうと思いながら
ひとりひとりの物語に
彼らと一緒に耳を澄ませるように
読み進める
頭の中にはその状況がほんやりと浮かぶ。



冒頭に彼ら人質は死んでしまった事実が
知らされるからか
彼らの確実に生きていた時の記憶が
なんとも残酷で無残な気持ちにさせる

彼らはその時確かに生きて
何気ない日常を送っていた
将来自分達は地球の反対側で
ちょっと考えられない状況で
死んでしまうことなんか知らずに。


人は必ず死んでしまう
そのことを考えだしたら何も手につかないが
どうしてだかそんな事実を
じつにうまくやり過ごして
自分達は毎日を平穏に過ごしている
その一分一秒が愛しく感じられる
そんな小説だった、
とても不思議で
だけどとても身近に感じた。



こんなふうに小説はひととき
自分をどこか別の場所に連れ去り
その時間全く異質な世界にひととき遊ぶ
そんな時間をくれる。
本を閉じた時
最後に「何か」一呼吸あるような小説
そんな小説を求めて
本を読み続けるのだろう、
この本にはそんな「何か」が感じられた。



★100点満点で80点


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オリコンの本の総合ランキング(2012/4/1)
@ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野圭吾
A天使たちの課外活動 2 ライジャの靴下/茅田砂胡
B大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ/中村仁一
C日本人の知らない日本語(3)祝!卒業編/蛇蔵/海野凪子
DDVD付き 樫木裕実カーヴィーダンスで楽やせ!/樫木裕実
Eモーターファン別冊・ニューモデル速報 トヨタ86のすべて
F心霊探偵八雲 9 救いの魂/(著)神永学/(イラスト)加藤アカツキ
Gムチャチャ←→あちゃちゅむ しんやまさこのつくる世界 2012 Spring&Summer
H三匹のおっさん ふたたび/有川浩
I前田敦子写真集 『不器用』/中村和孝/小学館

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書籍「ルーズヴェルト・ゲーム/池井戸 潤著」この作家の本は外れナシ・・・今のところ

2012年04月07日(土) 19時09分
書籍「ルーズヴェルト・ゲーム/池井戸 潤著」★★★★
池井戸 潤著 ,
講談社、2012/2/22
( 450ページ , 1,680円)






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「“「一番おもしろい試合は、8対7だ」
野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。”
これが本書のタイトルになっている、
帯には「廃部寸前ーこのチームには
社員の夢が詰まっていた」とあり
直木賞受賞の「下町ロケット」のような
じんわり感動モノを期待して読み始めた。」



製造業の中堅メーカー青島製作所の
野球部を舞台に
物語は進行していくが
母体となる会社の経営危機や
野球部の監督交代に伴う
部員の入れ替えなどで
会社もそして野球部も存続の危機に
直面することになる。

果たして野球部は
そして会社はこの危機を乗り切れるのか。



分かりやすい構図で
会社の構造や野球の知識が無くても
物語として充分楽しめる作品となっている、
ライバル会社の登場、
そしてそれは野球部のライバルでもあり
ついにはそのライバルから
「合併」の提案があり
株主を巻き込んで
最後まで「どうなる?」「どうなる?」と
まさに一気読み、
分厚い本を読む喜びを味わった。



会社という組織の中では
一個人はその歯車のひとつにすぎない
よく言われることだし
そういうことを実感する瞬間もある
けれど自分と言う個人は
機械の一部ではないし
モノを言い考えることもできる
だからこそ大きな動きに飲み込まれないように
自分自身でもしっかり立ち位置を見極め
発言できるようにならなかれば
自分と言う個人の存在意義は無い。



仕事で自己実現する、
これは社会人の掲げる目標として
真っ当であり、そうありたいとも思うが
やはりこれが一番難しい。



あれこれ考えつつも
どんどん緊迫感を増すストーリーに
久し振りに
本を読む時間をとって
残りのページを惜しみつつ読んだ。

次の作品も早く読みたい。




★100点満点で90点


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池井戸 潤著作品
果つる底なき(1998年9月 講談社 / 2001年6月 講談社文庫)
M1(2000年3月 講談社)
改題『架空通貨』(2003年3月 講談社文庫)
銀行狐(2001年9月 講談社 / 2004年8月 講談社文庫)
銀行総務特命(2002年8月 講談社 / 2005年8月 講談社文庫 / 2011年11月 講談社文庫新装版)
MIST(2002年11月 双葉社 / 2005年7月 双葉文庫)
仇敵(2003年1月 実業之日本社 / 2006年1月 講談社文庫)
BT '63(2003年6月 朝日新聞出版 / 2006年6月 講談社文庫)
最終退行(2004年2月 小学館 / 2007年5月 小学館文庫)
株価暴落(2004年3月 文藝春秋 / 2007年3月 文春文庫)
金融探偵(2004年6月 徳間書店 / 2007年7月 徳間文庫)
不祥事(2004年8月 実業之日本社 / 2007年8月 講談社文庫 / 2011年11月 講談社文庫新装版)
オレたちバブル入行組(2004年12月 文藝春秋 / 2007年12月 文春文庫)
銀行仕置人(2005年2月 双葉社 / 2008年1月 双葉文庫)
シャイロックの子供たち(2006年1月 文藝春秋 / 2008年11月 文春文庫)
空飛ぶタイヤ(2006年9月 実業之日本社 / 2008年8月 実業之日本社Jノベル / 2009年9月 講談社文庫)
2009年3月よりドラマWにてテレビドラマ化
オレたち花のバブル組(2008年6月 文藝春秋 / 2010年12月 文春文庫)
鉄の骨(2009年10月 講談社 / 2011年11月 講談社文庫)
第31回吉川英治文学新人賞受賞、2010年7月より土曜ドラマにてテレビドラマ化
民王(2010年4月 ポプラ社)
下町ロケット(2010年11月 小学館)
第145回直木賞受賞[1]、2011年8月ドラマWにてテレビドラマ化、2012年3月TBSラジオにてラジオドラマ化
かばん屋の相続(2011年4月 文春文庫/文庫オリジナル)
ルーズヴェルト・ゲーム(2012年2月 講談社)

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書籍「俺に似たひと/平川克美著」80歳になる父親を介護した記録

2012年04月02日(月) 19時09分
書籍「俺に似たひと」★★★
平川克美著 ,
医学書院、2012/1/20
( 242ページ , 1.680円)



<リンク:俺に似たひと>





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親父を、介護してみた。

このコピーが目に止まり
ネットで注文して読み始めた


「親父を、介護してみた。
昭和という時代に、町工場で油まみれになって働いていた父親。
そんな「俺に似たひと」のために、
仕事帰りにスーパーでとんかつを買い、
肛門から便を掻き出し、
「風呂はいいなあ」の言葉を聞きたくて入浴介助を続けた――。
透徹した視線で父親を発見し、老人を発見し、
さらには「衰退という価値」をも発見していく“俺”の物語。
看護師のためのwebマガジン「かんかん!」で
圧倒的な人気を誇った連載、待望の書籍化!」

医学書院HPの解説より


母を実家にひとり残している
自分にとっても他人事には思えない
人間は100%死んでしまう、
その最後をどう迎えるか
これは本人とっても
そして周囲にとっても
とても大切なことであり
覚悟のいることでもあるようだ。



本書は著者の母の急死と
ひとり残されたボケ始めた父親の介護
慌ただしく変化した日常に
戸惑いつつも
どこか腹をくくって
「介護」という現実を受け入れ
それを実践した記録だ。


フィクションでもノンフィクションでも
これは同じ様なものだろう
ここに書かれていることは
想像している範囲のことだけれど
だからこそすごく現実的に迫ってくる。


意識がはっきりしている時と
現在と過去を混濁してしまう時が
無秩序に現れて
介護する「俺」は最初戸惑うが
思うように動かない体を抱えて
意識のはっきりした時は
強烈な自己否定をしている姿を見ると
その後そのこともすぐに忘れてしまう姿に
「忘れることも悪い事じゃないな」と。



全体を通しては今の自分にも
色々考えさせられる内容だった、
ただし気になるのは最新のツールである
ネット上のツイッターのつぶやきだ。
父親と住み始めた頃からつぶやき始め
「荏原病院なう。父親が入院」
このつぶやきの記述を見て
物凄い違和感を覚えた。
この人は何をしたいのだろう?って。



60歳を過ぎた著者の位置が見えなくて
日記のようにつぶやいているのだろうが
そこには誰かの反応があるわけだし
さらにはこうして書籍化するという行為が
なんだか時折挟まれるツイッターのつぶやきで
心が冷えるというか
書かれてる内容と乖離して
何故このひとはこうして書かなければいけないのだろう
その事ばかりが気になった。



かくいう自分だって
こうしてあれこれ書いている
やはり誰かに見てもらいたいのだろう
でもだからって
ネット上の不特定多数の誰かに
その答えを聞きたいとは思わない。


参考になる部分も多く
考えさせられもしたが
どうにも著者の立ち位置が
自分には気持ち悪く感じた。


★100点満点で65点



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オリコンの本の総合ランキング(2012/3/25)
@日本人の知らない日本語(3)/蛇蔵/海野凪子
A寝るだけ!骨盤枕ダイエット/福辻鋭記
BDVD付き 樫木裕実カーヴィーダンスで楽やせ!/樫木裕実
C大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ/中村仁一
Dポケモン+ノブナガの野望 公式ガイド
EJILLSTUART 15th Anniversary Special Issue
F50歳を超えても30代に見える生き方 「人生100年計画」の行程表/南雲吉則
G【空腹」が人を健康にする 「一日一食」で20歳若返る!/南雲吉則
H悪ノ娘 青のプレファッチオ/悪ノP(mothy)
I前田敦子写真集 『不器用』/中村和孝


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書籍「道化師の蝶」小説ってなんだろう?って考える

2012年03月26日(月) 7時29分
書籍「道化師の蝶」★★★
円城塔著 ,
講談社、2012/1/27
( 178ページ , 1,575円)





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第146回(平成23年度下半期) 芥川賞受賞 、
発売日より前にネットで予約し
すぐに読んだが、やっと感想を書いた。


「正体不明&行方不明の作家、友幸友幸。
作家を捜す富豪、エイブラムス氏。
氏のエージェントで友幸友幸の翻訳者「わたし」。
小説内をすりぬける架空の蝶、通称「道化師」。
東京−シアトル−モロッコ−サンフランシスコと、
世界各地で繰り広げられる“追いかけっこ”と
“物語”はやがて、
“小説と言語”の謎を浮かび上がらせてゆく――。」

(講談社の本の解説のHPより)


この本は講談社の解説を読んだだけだと
きっと買わなかった、
やはり芥川賞受賞作品がどんなものか
それが気になってネットで予約して
届いてすぐに読み始めた、
読んで行くうちに
今、読んでいる文章が
一体何を表しているのか
何を言いたいのか
そういうことを考えながら読むなら
全く意味をなさないことに気がついた。



この小説を読んでいる間じゅうずっと
「小説って何だろう?」ということと
「自分の読みたい『小説』ってどんなものだろう?」
そんなことを考えていた。



冒頭の語り手である「わたし」は
飛行機の中で隣に座った男と話し始める
彼は、「わたしの仕事はこうして着想を捕まえることだ」と言い
そのあたりから現実的じゃない物語が始まる、
人がボーッとしたとき
とりとめもなく非現実的なことを
あれこれ考えたものを
文章にしたらこうなりました、って感じ。


自分にとっての「大切な何か」の
ヒントになりそうなものが見つかったとして
それが形あるものならいいけれど

そうではなくて、たとえば
「今、この瞬間」なんていう
捉えどころのないものだとしたら
それを自分の感性の「捕捉網」で捕まえたとしても
その「今、この瞬間」ってものは
スルリと網から逃げ出してしまう。


その形のない、大切な「何か」を求めて
語り手や主人公がどんどん変わって
どこかでひとつのいびつなループになっている、
そんな小説だった、
ひどく不思議な体験だったけれど
自分は、いわゆる「何かが語られた」小説が好きなので
こういう小説は迷惑だ。



「終の住処」の磯崎 憲一郎のいくつかの作品を
読んだ時のような
「何だ?これ」って気分がつきまとう
だから「面白かったか」と聞かれたら
「面白くはない」と答える。

これも新しい小説の形のひとつなのか
でも50年も経ったら
読み継がれているかな、この本、
たぶんムリだろうな。


★100点満点で65点



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楽天ブックスの本の総合ランキング
@【予約】Cath Kidston(R) SPECIAL BRITISH ISSUE Spring Summer 2012
ADVD付き 樫木裕実カーヴィーダンスで楽やせ!/樫木裕実
B寝るだけ!骨盤枕ダイエット/福辻鋭記
C【バーゲン本】おいしくやせる!レシピ275/ムック版
D三匹のおっさん/有川浩
E幸福について/アルトゥル・ショーペンハウアー/橋本文夫
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G【入荷予約】絵本地獄/白仁成昭/宮次男
H前田敦子写真集 『不器用』/中村和孝
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書籍「舟を編む」好きこそものの上手なれ

2012年02月13日(月) 0時09分
書籍「舟を編む」★★★★オススメ
三浦 しをん著 ,
光文社、2011/9/17
( 259ページ , 1,575円)






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この作品は「2012年本屋大賞」にノミネートされた。


「玄武書房の新しい辞書『大渡海』の編纂メンバーとして
辞書編集部に迎えられた主人公が
いかにして新しい辞書を作り上げたか、
一年や二年で完成するものでなく、
長期的な視野に立っての仕事に立ちすくむが
完成の喜びは堪らないだろうな
これは想像するしかないが、
その喜びは伝わった、そして羨ましくもあった」



興味のある事には没入するが
それ以外は社会人としての常識も危うかったり
主人公の馬締の飄々とした感じが
とっつきにくい辞書を作り上げるという
なんとも終わりが見えない壮大な仕事に
立ち向かうこととの
ギャップを読者に強烈に印象づける
でもそのうち
「ああ、こんな人だから出来るのだろうな」と
納得させられてる。


辞書を作るようなことって
企業がやるより
国家がやるようなことかもしれない、

そんな「日本人」の根幹に関わるような事が
利益と結び付かなくては
完成までにこぎつけないという現実、
このままで完成出来るのか?
そんなちょっとしたスリリングな展開もありつつの
時間を超えた長い長いお話。


主人公を支える面々もそれぞれ個性的で
どこかに身近な誰かを見つけることが出来そう、
『大渡海』という名の辞書は
どんなふうに荒波の航海を進んでいくのか、
そしてちゃんとたどり着けるのか



短期的な決断や結果が多く求められる昨今、
果たして自分はこんな壮大な仕事に
立ち向かえるだろうか、
そんなことを絶えず考えながら読んだ、
単純に「好きだから」では出来ることじゃないが
「好き」でなければ出来ないことだ。



以前、地図を見るのが好きだという人と
話したことがあるが
彼は地図の上に実際の山並みを見たり
海岸線と海の境を
想像して時間を忘れて地図を眺めることがあると
話してくれたが
そんなふうに自分が夢中になれるものさえ
自信をもって言えそうになく
それでは「好き」なことを仕事にするのも
やはり難しいことなのだと実感する。


ラストは完成を見届けることが出来
爽やかな読後感あり
とにかく清冽な風のように
心に気持ちいい読書体験だった



★100点満点で85点


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三浦しをん著書
『格闘する者に○』(草思社、2000年。新潮文庫 ISBN 4101167516)
『月魚』(角川書店、2001年。角川文庫 ISBN 4043736029)
『白蛇島』(角川書店、2001年。『白いへび眠る島』と改題。角川文庫 ISBN 4043736037)
『秘密の花園』(マガジンハウス、2002年。新潮文庫 ISBN 4101167540)
『ロマンス小説の七日間』(角川文庫、2003年11月。ISBN 4043736010)
『私が語りはじめた彼は』(新潮社、2004年5月。新潮文庫 ISBN 9784101167558)
『むかしのはなし』(幻冬舎、2005年2月。幻冬舎文庫 ISBN 9784344410954)
『まほろ駅前多田便利軒』(文藝春秋、2006年3月。文春文庫 ISBN 9784167761011)
『風が強く吹いている』(新潮社、2006年9月。新潮文庫 ISBN 9784101167589)
『きみはポラリス』(新潮社、2007年5月。新潮文庫 ISBN 9784101167602)
『仏果を得ず』(双葉社、2007年11月。双葉文庫 ISBN 9784575514445)
『光』(集英社、2008年11月 ISBN 9784087712728)
『純白のライン』2008年12月(アシックスのWEBサイトで公開[1] 。『シティ・マラソンズ』所収。文藝春秋、2010年10月 ISBN 9784163291109)
『神去なあなあ日常』(徳間書店、2009年5月 ISBN 9784198627317)
『星間商事株式会社社史編纂室』(筑摩書房、2009年7月 ISBN 9784480804204)
『まほろ駅前番外地』(文藝春秋、2009年10月 ISBN 9784163286006)
『天国旅行』(新潮社、2010年3月 ISBN 9784104541065)
『木暮荘物語』(祥伝社、2010年10月 ISBN 9784396633462)
『舟を編む』(光文社、2011年9月 ISBN 9784334927769)

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書籍「変死体(上・下」信じたいものを信じて真相に迫る

2012年01月11日(水) 7時50分
書籍「変死体(上・下」★★★☆
パトリシア・コーンウェル著 ,
講談社 、2011/12/15
( 384ページ /360ページ , 各900円)









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18作目となる「検屍官」シリーズ
全部読んでるのでとりあえず、楽しみに読んだ。


「スカーペッタが責任者に就任した
法病理学センターがある街で
連続殺人と思われる事件が発生した、
容疑者はスカーペッタの“副官”ジャック・フィールディングで
彼は行方不明となっており疑いは深まるが
スカーペッタは事件の深層に
別の何かがあるのではないかと
真相に迫っていく、今回は上下巻の手ごたえ」




バージニア州で検屍局長をしていた頃の
いかにも地に足がついた様子の
安定感のある雰囲気が最近はなかなか感じられない、

バージニアを離れたあたりから
物語自体ももうひとつ輝きを失くしてしまった、
残念だなと思いつつも
新作が出たら他の読みかけの本を一旦止めて
こっちを読み始めるのだから
期待は高いのは言うまでもない。


今回は連続殺人かと思われる事件の容疑者に
スカーペッタの指導の下
一緒に働いていたジャック・フィールディングが浮かびあがり
彼は失踪し、その後自宅で死体となって発見される。


単純な事件に思えたが
スカーペッタが死体にメスを入れると
物語は一気に動き出す、
この感じはいつもながら良い、
けれど死体と向き合い
声にならない声を聞いていた頃の
あの親密な時間は今回も感じられない、

周囲が複雑になり過ぎ
語り口は洗練されて
整理されているんだけど
その整理され過ぎ具合が
自分達を突き放してるような感じがして
却ってクリアに胸に響かないのだ。


あの可愛かったルーシーは
ますます不可解な存在になり
マリーノは付き合いが長すぎて
今の身近な存在には
首をかしげざるを得ない、
ただこの長い長い物語は
いつかシリーズが終わるときまで見届けたい
そんな気分なんで
今後もシリーズ新作が出たら買って読むだろうな。



検視することで初めて分かる事実から
当初考えられた事件の内容が
全く別の意味を示すという驚きが
最近の作品からは感じられないのが致命的だ

密室からの新たな発見は
やはり手詰まりなのかもしれないが
それでも新しい何かを期待したい。


アンジェリーナ・ジョリー主演で映画化されるらしいが
それも楽しみだ、
今後は現在の場所に落ち着いて
彼女らしい視点から
事件解決はもちろん
事件を起こしてしまう人間ってものへの
優しいまなざしと深い洞察力を読ませて欲しい



また一年待つんだろうな。



★100点満点で75点★


soramove
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検屍官ケイ・スカーペッタ シリーズ
検屍官 Postmortem (1990年 / 1992年1月、ISBN 4-06-185069-5)
証拠死体 Body of Evidence (1991年 / 1992年7月、ISBN 4-06-185188-8)
遺留品 All that Remains (1992年 / 1993年1月、ISBN 4-06-185313-9)
真犯人 Cruel and Unusual (1993年 / 1993年12月、ISBN 4-06-185570-0)
死体農場 The Body Farm (1994年 / 1994年12月、ISBN 4-06-185836-X)
私刑 From Potter's Field (1995年 / 1995年12月、ISBN 4-06-263121-0)
死因 Cause of Death (1996年 / 1996年12月、ISBN 4-06-263393-0)
接触 Unnatural Exposure (1997年 / 1997年12月、ISBN 4-06-263659-X)
業火 Point of Origin (1998年 / 1998年12月、ISBN 4-06-263937-8)
警告 Black Notice (1999年 / 1999年12月、ISBN 4-06-264736-2)
審問 The Last Precinct (2000年 / 2000年12月、[上] ISBN 4-06-273045-6、[下] ISBN 4-06-273046-4)
黒蝿 Blow Fly (2003年 / 2003年12月、[上] ISBN 4-06-273907-0、[下] ISBN 4-06-273908-9)
痕跡 Trace (2004年 / 2004年12月、[上] ISBN 4-06-274947-5、[下] ISBN 4-06-274948-3)
神の手 Predator (2005年 / 2005年12月、[上] ISBN 4-06-275267-0、[下] ISBN 4-06-275268-9)
異邦人 Book of the Dead (2007年 / 2007年12月、[上] ISBN 978-4-06-275915-1、[下] ISBN 978-4-06-275936-6)
スカーペッタ Scarpetta (2008年 / 2009年12月、[上] ISBN 978-4-06-276530-5、[下] ISBN 978-4-06-276531-2 池田真紀子 訳)
スカーペッタ 核心 The Scarpetta Factor (2009年 / 2010年12月、[上] ISBN 978-4-06-276837-5、[下] ISBN 978-4-06-276838-2 池田真紀子 訳)

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書籍「闇に薔薇」この先どうなるのか、ページをめくるのがもどかしいこの感覚

2011年12月30日(金) 0時09分
書籍「闇に薔薇」この先どうなるのか、ページをめくるのがもどかしいこの感覚
「闇に薔薇」★★★★
ジェームズ・パターソン 著 ,
講談社 、2005/4/12、1版
(456ページ ,940 円)





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「綿密に練られた銀行強盗が発生し
わずかな時間の遅れのために
人質が無残にも殺されてしまった、
同様の事件が続けて発生し
このシリーズの主人公アレックス・クロスに
FBIから協力の要請があり
容疑者さえ浮かばない何事件に取り組むことになる」



2つの銀行強盗成功のあと
「闇将軍」と呼ばれる男は
バスジャックを計画し、まんまと3千万ドルの
身代金を手に入れてしまう、
上からの圧力と同僚の無理解
家族にも問題を抱えて
重苦しい雰囲気の中
それでもクロスは事件に全精力を注ぐ。



やはりこういうミステリーは主人公の
パーソナリティが重要だ、
人間らしい一面を見せ
戸惑いながらもその一方で仕事にも情熱を燃やす
だからこそ読者は彼がなんとかして
事件を解決することを心から応援し
残虐な犯人を犯行自体を憎むのだ。



時折、犯人側からも描かれ
クロス刑事に触れるほど近くにいたという
スリルの瞬間をどこか楽しんでいるのも
恐ろしい描写だ、
自分の方が優れている
捕まえられるものなら捕まえてみろ
そんな尊大なところも
余計にクロスを応援したくなる




ラストは慌しく真実が語られ
そして裏切られ
未整理のまま最後のページになってしまう、

だからラスト数ページは何度か読み返した、
そしてあとがきでこの事件は
次の作品へと続いていくことを知ることになる。


この作品だけで完結したとしても
納得できる作品となっているが
やはりちゃんと決着をつけてもらわないと、


ということで続編が楽しみだ、
ここまで主人公を奈落の底に突き落として、
いったいどんな幸せな結末が訪れるのだろう、
そうでなくては何だか不公平だ。



そんなふうにまさに自分に置き換えたような
主人公の境遇の変化を
やはり読者としては
こんなに困難なことがたくさんあったのだから
せめて何かおおきく頷けるような結末を期待したい。



★100点満点で75点



soramove
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山田詠美の新作は実家で読むため、荷物に詰め込んだ。


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書籍「007 白紙委任状」期待値高過ぎ、やや消化不良

2011年12月24日(土) 9時58分
「007 白紙委任状」★★★★
ジェフリー・ディーヴァー 著 ,
早川書房 、2011/10/13、1版
(456ページ , 2,499 円)






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世界最高のサスペンス作家が、世界最高のヒーローを描いた。


「この組み合わせの新作の知らせをネットで見て
早速注文し、4日程で読み終えたが
感想はなかなか書かなかった、
あのディーヴァーが「007」を、そしてボンドを
いかに描くか、すごく興味を持って読んだが
ディーヴァーとしても「007」としても
及第点はクリアしてるが
だからと言って物凄く面白かった!ところまでは
全く到達していなかった、
やはり「007」という古典とも言うべき原作に縛られ
自由に発想できなかったのか」



イギリス政府通信本部が傍受した
死傷者は数千にも上ると見られる計画、
阻止すべくイギリス政府から緊急指令が
ジェームズ・ボンド、暗号名007にくだされた、
ミッション達成のためにはいかなる手段も容認される
「白紙委任状」が彼に渡された。



ワインに精通し洗練された身のこなしで
かつてのジェームス・ボンドを彷彿とさせるが
最近の映画のボンドはぐっと身近な存在でもあり
過去の恋を引きずり
巧みなガンさばきというより
拳と拳の肉弾戦も厭わない、
そんな映画のボンドとどうしても比べてしまうが
今度のボンドはその中間あたり、
人間味も感じるが
生い立ちを含めもうひとつ迫ってこない。



最新ガジェットも楽しみのひとつだけれど
今回はめぼしいところで特殊スマートフォンくらい
もっと近未来を予想させ、かつ
そんなのあり得ないだろって先進の技術で
遊びも欲しかった、
全てがソツなく予定調和気味で
職業作家が厳しい制約の中で
これまでの大筋と外れない「007」を作り出した
そんな印象を受けた。



ディーヴァーだから期待しすぎた部分もあるが
これが映画になったらまた違うのだろうな

最近の「007」映画はシャープな映像と
肉体を駆使したアクション、
そして細部まで手を抜かない所に
シリーズとしての心意気を十二分に感じられ
それだけで満足だったので
これで原作がもっとスゴかったら?と
欲張った期待もしたが
それは映像になるまで楽しみとしておこう。


やはり映像と文章は違うのだ、
当然のことを確認したのかもしれない、
やはりディーヴァーは彼独自の世界で
自分達に読ませて欲しい

ジェームズ・ボンドじゃなく
普通のサスペンス小説として読めば
ダイナミックで次の展開が気になる
面白い小説と言えるし、完成度も高い
だから入り口を間違えたって感じだ。


★100点満点で75点


soramove
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パトリシア・コーンウェルの新作が出たので早速注文し
昨日届いた、これは実家で正月休みに読もう。

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