書籍「燃焼のための習作/堀江 敏幸著」雨が降り続く間の3人のおしゃべりの行方

2012年11月07日(水) 0時09分
書籍「燃焼のための習作」★★★
堀江 敏幸著 ,
講談社、2012/5/24
( 226ページ , 1.575円)






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「8月に読んでからずっと感想を書けなかった、
なんとも捕え所のない小説だった、
流行っていなさそうな探偵事務所が舞台で
事務所の所長と依頼人
そして事務所の助手の3人が
降り続く雨を肴にあれこれ話し
雨がやんだ頃
なんとなく家路に着く様な小説」



探偵事務所と聞けば
なにやら胡散臭い雰囲気を感じるが
この事務所は依頼人が
お茶飲みがてらあれこれ
他愛もない話を延々と続けるような雰囲気、
どこか事件の核心に迫るのかと思うと
助手の郷子さんがクリーニング屋から戻り
また話は振り出しに戻る。



かとおもえば
「折り畳み傘をうまく元のように
畳めない」と手の郷子さんが言えば
その話を引き取りわけでもなく、
枕木所長は「荷物の多い日に限って雨に降られる人と
雨が降る時に限って荷物が多い人」の
運命の違いを話しだす始末。


この話はどこに向かうんだろうと
思いながら読んでいると
何処も行かずに3人の誰かが
また別の方向に話をもっていく、

思えば自分達の日常も似たような事を
繰り返している、
話に決着が付く事はむしろ少数で
ほとんどは話しては放り出され
空中に漂い
その言葉を見上げながら
また新しい話が空中に放たれるみたいに。



自分はこういう小説は苦手だと思っていた、
やはり起承転結
この話はどこに着地するのか

その持って行き方や
その結末に納得出来るか
それが意外であったり
新しい解釈だったりすると
良いものを読んだなと感じるが
この小説はそういう今までの範疇からすると
読みにくい部類だった。


でも実際、読みにくくは無かった
まるで舞台劇のように
そこに展開する3人の話を
楽しんで読み進んで行った、

内容が誰もが感じる様なことだったからかもしれないし、
探偵事務所でありながら
一体この依頼人は
本当に探す気持ちがあるんだろうか?と
脱線しがちなというか
脱線しまくりな状況でも
誰もが結論を急がず
降り続く雨を時折
「振りますなぁ」
「振りますねぇ」と


雨の音を聞きながら
時間つぶししてるだけという
なんとも不思議な時間を体験して
それでもこの依頼人はここに来た甲斐が充分あったと
最後はちょっとした幸せな気分も味わった。


なんとも不思議な小説だったし
不思議な時間の流れた小説だった。



★100点満点で70点

soramove
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堀江 敏幸 作品一覧
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おぱらばん(1998)
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書かれる手(2000)
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魔法の石版−ジョルジュ・ペロスのほうへ(2003)
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