「終の住処」過ぎた時間は一瞬に思えても、確実に時間は経過している

2009年08月15日(土) 0時09分
「終の住処」★★★☆
磯崎憲一郎著、142ページ、2009/7/25初版


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「芥川賞受賞!という本の帯の下に、
人生とは、流れていく時間、そのものなのだ。
そんな見出しが切り取られている、
ひとりの男の20年あまりを111ページで
淡々と描いた作品、
分かるようで分かりはしないだろう何かは感じる」


自分で結婚を決めながら
相手の顔さえまともに見られないような
夫婦の20年余り、
特に11年お互い口をきかない時間も
二人の間には流れたが、家を建て
子育てを終えた二人は、残された時間を
その家で二人で過ごすことになるのだ。

比喩的な部分がいくつもある、
それらを深読みするのか、
見たままを感じるのか、それは読者の自由だけれど、
何か自分的な解釈を加えないと
この短い小説はあっさりと終わってしまい、
「何が言いたかったの?」となってしまう、
もちろん押しつけがましい内容は好きじゃないが、
この無機質な感じはなんだろう。


この作者の他の作品でも感じたが
日常の些細な出来事の積み重ねで
10年、20年と過ぎていく、
そのことは後からはっきりとわかるのだ、
これから始まる向こう10年なんて分からないが、
今までの10年なんてもしかしたらピョーンと
飛び越えても今は変わらずにここにありそう。


時の経過って確実に過ぎているけれど、
人間の感覚としては
なんだか曖昧にさえ思える。



でもこの深みにはまって出られないだろうという
嫌な予感は小説全体に流れていて
こんな投げやりな感じで生きてたら
つまらないだろうなとも思った、
もちろん、どんな心構えで生きようと
結果は同じだよと言ってるのかもしれないが。

芥川賞選考委員が絶賛ということだったが、
この小説を読んで、「ここではない、どこかへ」
小説が連れて行ってくれたかといえば、
それは無かったな、逆に何か色々しようと
「ここにしか居られない」という軽い強迫的なものが
迫って苦しい。

「何かとんでもないものを見てしまった」
そんな小説を待ち望んでいるが、
この小説にはそういうものは感じられなかった、

低く渋い声の誰かが、ゆっくりと読んでくれた文章を
頭の中で必死に理解しようとしてるみたいな
おかしな時間を過ごした。

★100点満点で70点

何気ない時間の積み重ねこそが人の一生なら
どこかにグッと濃密な時間も綴りたい。
  • URL:http://yaplog.jp/sora2001/archive/1339
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小説「終の住処」を読みました。

著書は 磯崎 憲一郎

第141回芥川賞受賞作

やはり 純文学は難しいというか
全部 つかみ取れなかった感じがしますね

妻との生活、不倫、子ども・・・

最後まで読めましたし
終わりも良かったなぁとも思いましたが・・・

ストーリーは...
笑う社会人の生活  2012年05月19日(土) 19時05分
本の表紙の写真とタイトルから面白そう?と期待満々で読み始めたのですが・・・。
最初からとっつき難い文章だなあ・・・という印象。
ポコアポコヤ  2009年09月10日(木) 20時34分
雑誌「文藝春秋」で読みました。 選評や著者のインタビューも掲載されていて、日本を代表する企業で活躍している著者のしっかりしたコメントが印象的です。 受賞作そのものは、たんたんと「彼」の生活が綴られていて、拍子抜けするほど平らな印象です。虚構の世界観..
雪になあれ  2009年08月18日(火) 22時36分
第141回(平成21年度上半期)芥川賞受賞作は、磯崎憲一郎の「終の住処」、ということは新聞報道でご存じでしょうし、このブログでもたびたび取り上げました。選考委員会は7月15日午後5時から東京・築地の「新喜楽」で開かれ、その日のうちに(直木三十五賞と併せて)受賞作
とんとん・にっき  2009年08月16日(日) 11時06分
第141回芥川賞受賞作、磯崎憲一郎の「終の住処」を読みました。初出は「新潮2009年6月号」です。書き下ろしの僅か29ページの「ペナント」という作品と合わせて、2009年7月25日に単行本「終の住処」(新潮社、定価:本体1200円税別)として発売されました。さっそく購入して
とんとん・にっき  2009年08月16日(日) 11時06分
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