「犬身」あの人の犬になりたい

2008年09月05日(金) 0時09分
「犬身」★★★★
松浦 理英子著、505ページ、2.100円



犬が好きというより、
犬になりたい。
できたら「梓」に飼われる犬になりたい。

昨年中に買っていながら、
やっと読破、厚い本を仕事への
行き帰りの地下鉄で
2週間かかった。

その2週間くらいの時間が
この小説のリズムと丁度合っていたような
気がする、
とりたてて急展開がある訳ではないが、
なにしろ人間が犬になるという
その部分をちゃんと納得させてもらわないと
その後が続かないだろうなと思いつつ、
そのあたりは割りとあっさりと
変身してしまうが、
この本の面白いところは
犬になった主人公の目線で
ひとつの家族を見ていくところにある。

犬って人の話が分かるんじゃないかと
思う時があるよ、

そんな話を犬を飼っている人から
何度か聞いている。

そのとき犬は
「人間って面倒くさい生き物だなー」とか
小首をかしげながら思っているのカモと
そんな空想を常にしながら、
小説世界に浸かることが出来た。

梓という陶芸家の犬になることを
夢想しているときの主人公と、
願いがかなって犬になってからの
梓を見る目に僅かな変化があるところなど、
物語の荒唐無稽さに比べて
細やかな配慮に満ちた
非常に濃密で、でも深刻な心理状態を
描きながらも
犬という状況のおかしさが
良いバランスでこの小説を一層面白くさせている。

犬になりたいなどと思ったことは
一度も無いが、
何かになれるとしたら何になりたいかなと
現在考え中。

★100点満点で75点

soramove
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