忘れられない日 

May 12 [Wed], 2010, 9:46
同じように夏近づき 秀は相変わらず私の隣にいる
気がつけば、私の周りには人も多くなっていた

秀の周りには常に人が集まってきていた
そんな状況でも
秀は気を使って私と2人になる時間は
絶対に携帯の電源を切ってくれてた

待ち合わせはあの公園
秀に心を許して
秀に好きと言えず

でも好きと言ってしまったら
今の関係が崩れる
いずれ壊れてしまう
恐怖感に襲われて言えずにいた

今日も夜10時に公園で
あのベンチに座って待つ

秀が迎えにくる車の音が近くに聞こえるたびに
私の胸は弾んだ

うっとおしい暑さも 蚊も気になるのは少しだけ
待ち合わせよりだいぶ早めに着いた公園で

ここでの秀と初めて話した日を
思い出していた

予定の10時になっても
秀の車の音が聞こえなかった

秀が遅れるなんて珍しい事もあるもんだ
最初はその程度だった

相変わらず暑く 肌に絡みつく

電話が鳴ったのは、それから30分以上経った頃
相変わらずベンチに座ったままでいた

秀の友人からだった
その声は不幸へ導く声 死神に聞こえた

「秀が事故った・・・」
「何を言ってるの?今、秀待っているんだけど」
「だから 秀が事故にあった!ちゃんと聞け」
「そんな嘘ついて驚かそうとしてるだけでしょ」
「今どこだ?」
「公園」
「そこで待ってろ」
携帯を耳に当てたまま
私は状況をつかめないでいた
秀は迎えにきてくれる
どこかでずっと思っていた

約束を破るなんて一度も無いから

それからどのくらいの時間を
公園のベンチで待っていただろ

友人数人が私を迎えにきていた

周りは私に色々話してる声はしてるが
何を言ってるのか、まったく聞こえない

着いた病院には
多くの友人が居た

秀の両親も泣きながら
病院の椅子に座ってる

周りも泣いている

私は静かな病院の廊下で
その異様な光景を見つめていた

何かの間違いだ
戻らなきゃ・・・
公園に戻って待たなきゃ・・・・

私の足は公園に向かおうとしてた

病院を出た所で
秀の友人に手を掴まれ
「顔くらいみてやれ 最後だぞ」
「やめて!公園に行かなきゃ!」
「もう秀は亡くなったんだ」
「なんでよ 私と約束してるのに
秀が嘘つくわけ無いじゃない」
私は気がおかしくなる程 取り乱していた

私が秀と会ったのは
それからかなり経った頃だった

霊安室のベットに
お線香の匂いが鼻につく
顔を見た瞬間 崩れ落ちた
秀だ・・・・
事実を受け止めるには
そんなに時間がいらなかった
顔見なきゃよかった・・・・
私は秀の手を触り
温かさを少しも感じない
その手を握り締めた

涙が出なかった
ご両親に一礼だけをして
外に出た

空を見上げ
あの日と同じ光景を見てた

あの日 出会わなければ
私は今こんなに泣き虫になったのだろうか

誰かに心を許して
素直に胸で泣いたりしたのだろうか

秀が残してくれた
大きなものと
簡単に大切なものは壊れ離れていくと
さらに実感する複雑な感情を抱え

あれから私はまた同じ心を許せる相手に出会えた
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