ウィーン留遊日記4 

April 28 [Sat], 2012, 5:04
26 April 2012 wieder schönes Wetter

恒例の朝食ドイツ語会話も少しずつ盛り上がりを見せてきました。ドイツの子どもの伝統的な歌を教えてほしいと言ったところ、どうもママのツボだったらしく、楽譜が山ほど出てきて、ママが大声で歌い始めたのでした。どれもシンプルで素敵な歌ばかりなので「この歌を自分の教えている合唱団の子どもたちに歌わせたいなー」とつぶやくと、ママはニヤリと笑って「この楽譜をプレゼントするわ」だって。ラッキー。
午後はメデア、二回目のコーチング。この二回のコーチングで感動していることは、彼が決して「レッスン」という言葉を使わないことです。こちらとしては世界の歌劇場で活躍する一流のコーチに教わる機会なんて…との態度で臨みますから、やはりレッスンを受けていると考えていました。しかし彼は「さあ、今日も一緒に仕事をしよう」「君との仕事はいい僕にとっても時間だった」と言うのです。いや、実際は発音から表現まで全て教わっているのですよ。でもそれが彼にとっての仕事であり、それに応えることが歌手の仕事でもあるのですね。
そして夕方は約束通り、ママの所属するアマチュア合唱団の稽古に参加しました。あたたかく歓迎してくださり、一緒に歌わせて頂いたのですが(合唱を歌うのは何年ぶりでしょう)、歌詞が見たことのないドイツ語ですぐには読めませんでした。曲は一つ一つが短く、シンプルな作品ばかり(民謡)。皆さん、無伴奏で楽しそうに歌っていました。
ドイツ歌曲を日本で指導されたり、もしくは批評されると、必ず「発音が…」となりますが、彼らの発音は日本での現状から考えるとかなりいい加減なものでした。「語尾のtが揃っていない」などという指導は全くありませんでした。もちろん訛りの問題やアマチュアであることも要因でしょうが、それでも彼らがその作品を愛している事実と、それをその作品として聴いて喜ぶお客様もいるわけで、改めて言葉と音楽の在り方について考えさせられました。いい発音ってどのような発音のことを言うのでしょうね。。



それにしても、今日も本当にいい天気でした。せっかくなので昼食は公園のベンチで食べました。
この青い空が世界中を一つに包んでいるなんて夢のようです。日本に戻ったら空を眺める余裕を持ちたい…ヨーロッパに来るといつもそう思います。





ウィーン留遊日記3 

April 28 [Sat], 2012, 5:02
25 April 2012 schönes Wetter

 気持ちまで軽くなるような青空。素晴らしい日になる予感…と言いたいところですが、十数年ぶりにこむら返り? 夜中に右足のふくらはぎが攣って、まだその痛みが少し残っていたので、足取りも軽くとはいきませんでした。
 昨日の興奮が残っているのか、はたまた時差ボケかは分かりませんが、ちょっと早起きしたのでドイツ語を勉強しました。その甲斐あってか、昨日よりも会話が弾んだ気がします。ママのお父さんがドイツの劇場勤務だったこと、ママがいかに芸術を愛しているかということ、ママが腰痛持ちだということ…たくさんたくさん。
 その後ママが早めに出かけたので、昨日の録音を聴きながらメデアの復習を。ドイツ語を話さなきゃと思いつつ、コーチがイタリア語も理解するので、イタリア語に頼る率がどうしても高くなるみたいですね。明日はドイツ語を多用してみましょう。
 今日は人に会ったり、楽器店を巡ったりと、よく歩きました。
ベートーヴェンが第九を書いた場所を発見しました。壁をナデナデしたので、今年の第九は一味違うかもしれません。
その近くにダ・ポンテ通りも見つけました。ダ・ポンテが住んでいたのでしょうね。同じく壁をナデナデしたので、今後のコシ、フィガロ、ジョヴァンニは二味違うかもしれません。
半分冗談ですが、半分本気です。きっと同じようなことを考える人、大勢いると思います。この街には、まるで魔法のような魅力がありますから。
夕方には足、治っていました。やはりたくさん歩くからでしょうか。今夜は攣りませんように。

ウィーン留遊日記2 

April 25 [Wed], 2012, 23:34
24 April 2012 trüber Himmel

昨晩約束した通り、今日は朝九時からママと朝食。お手製のパンはパサパサしていて食べにくいなーと思っていたのが顔に出たのか、これまた自家製のジャムを出してくれました。あとはハムとチーズ。イタリアを思い出しました。しかし食べながらだと辞書も使いづらく、頭フル回転の朝食となりました。
今日は今回のウィーン留遊、最大の目的である、オペラの稽古日です。
実は今年、ライマンという作曲家のオペラ「メデア」に出演しますが(11月・日生劇場)、この作品は2010年にウィーン国立歌劇場で初演されたもので、初演時のコーチに教わるのが最善であろうとこの留遊を思い立ったというわけです。
興奮のあまり約束の三十分前から約束の場所に立っていましたが、高揚感と緊張で時間があっという間に過ぎました。そういえば高校生の頃も、レッスン時間よりも前に先生のお宅に着き、時間になるまで玄関でじっと待っていたっけ…。
コーチはウィーン国立歌劇場のピアニストで、彼自身の部屋が歌劇場の中にあり、そこでコーチングを受けることとなりました。「ここはあなた専用の部屋ですか?」と尋ねたら、「そうなんだけど、響きはあまり良くなくて…」と答えるコーチ。いえいえ、僕にとっては、この場所で歌えること、稽古できることだけでも感動なのです。
 あの難曲が彼の手にかかると、「音楽」としてそこに存在していました。自分の演奏はまだまだですが、いい歌をうたいたいという欲求が湧き、またこの作品の面白さを教えて頂いた気がします。
 コーチはスウェーデンのご出身。語学が得意なアタクシ、スウェーデン語を三つだけ覚えていましたので別れ際にコーチに披露。コンニチハ、アリガトウ、サヨウナラ。とっても喜んでくださいました。
 家に帰るとママがクロスワードパズルをしていたので、ドイツ語レッスンを兼ねて僕も参戦。もちろん今日がいかに素晴らしい日だったかを説明しながら。


レッスン室

ウィーン留遊日記1 

April 25 [Wed], 2012, 23:31
23,April 2012 heiterer Tag

四年前、初めてイタリアに行ったのも四月末の月曜日でした。「イタリア留遊」と銘打ったあの刺激的な三か月、自分を大きく変えたあの日々のことは今でも鮮明に覚えています。特に着いた日のこと。建物の美しさに見惚れ、新しい挑戦にワクワクしたのも束の間、ホームステイ先のママが話すイタリア語の洗礼に頭がクラクラし、興奮と不安が自分の内側でゴウゴウと音を立てるのでした。
今回の旅もまさにそのイタリア留遊の再来でした。ホームステイ先のママのドイツ語が瞬時に理解できず、にもかかわらずお構いなしに話しかけてくるママの優しさが嬉しいようなしんどいような。しかしここでめげては意味がないと、僕もありったけの知識を駆使して果敢に会話に挑みました。携帯電話のドイツ語辞書アプリがフル活用されたことは言うまでもありません。
ママは僕のおふくろさんと同い年でした。自分の入っている合唱団の話を嬉しそうに話してくれました。木曜日、稽古があるので一緒に行こうとのこと。楽譜を見せてもらったら方言と思しきドイツ語の歌詞が…。どうなることやら。
そうそう、ヨーロッパと日本の往復はあれから毎年続けていますが、あのロングフライトにもずいぶん慣れてきた気がします。今回が一番短く感じました。
さて明日からどんな日々が待ち受けていることでしょう。二週間という短い滞在ですが、存分に学び、そして楽しみたいと思います。


二週間お世話になる部屋


祈る 

April 20 [Fri], 2012, 22:53
ほとんどの劇場には神棚があって、公演のたびに主催団体や、オーケストラ、または個人が神棚に一升瓶をドンと捧げています。公演終了後、あの一升瓶はどこに消えるのか…そんなことはどうでもいいのだけど、僕は今まで一度も劇場の神棚に手を合わせたことはないし、今後もしないでしょう。
これは僕と逆の立場の人を否定しているのではありません。やりたい人はやればよろしい、そういう考えです。
では祈っていないのかと言われると、いいえ、違いますよ。
舞台の成功も、ケガがないことも、神棚に手を合わせる人と同じように僕は祈っています。

そうです。祈っているのです。

以前、こんな話(神棚には手を合わせない話)をしたとき、「では君は一体何に祈るのか?」との質問を受け、「祈りとは何かに対しておこなう行為なのか?」と疑問を持ったわけです。
僕の中では、祈りとは「○○に…」のような対象を必要としていなかったのです。
息を吐くのが自分で完結するように、祈りも自分の動きの一つにすぎなかったのです。
「何に息を吐くのか?」と質問されたら返事に困るのと同じです。「光合成推進の為です」とは言わないでしょう?

先日、アリンコが一生懸命、自分の何十倍もの大きさの虫を巣に運んでいました。
その行列のすぐ横では、少年たちがサッカーをしています。
ボールや少年たちのゆくえ次第で、アリンコたちの努力は(もしくは生涯すら)一瞬にして消滅します。

でも、きっとアリンコは巣に神棚なんてかまえていませんし、死すら恐れていません。
自分たちの行動に疑問も持っていないでしょう。

実はそんなシンプルな生き方こそが祈りそのものとは言えまいか。
だって、祈りは「こうあってほしい」ということを求めたり、願ったりする行為でしょう?
そう考えると、アリンコに限らず、虫も花も、自分たちの生き様を常に成し遂げているのですから。

何か祈りを捧げる相手が必要な場合は、それは両親に祈ります。
祈りを求める自分を生み、育んだのは両親だからです。

前向きになるために 

April 20 [Fri], 2012, 0:38
最近、これまでになく忙しかったので(今もだけど)、なかなかここに登場できませんでした。
気分転換に最近のことを綴ろうと思います。

演奏会は3日のガラコンサート以降、2回ありました。

まずは8日に個人のお宅でのサロンコンサート。久しぶりだったので緊張しました。
若いころは(今も若いけど)こんなコンサートをしばしばやっていたので、初心を思い出しましたし、お客様とお友達感覚で楽しめるのが良いですね。目玉は「チョコマ茶漬け」の試食会でした。お客様全員に召し上がっていただきました。
続いて15日には津田ホールで津山恵さんのリサイタルに賛助出演させていただきました。

大好きなモーツァルトをたくさん歌わせていただきましたし、何より僕の訳詞した「奥様は女中」を取り上げてくださったことは、とっても有難いことでした。何人かのお客様に「津山さんとチューしたでしょう!!」と言われましたが、さて、実際はどうだったのでしょうか。分かるヒトー!

最近、うまくいかないことが続いて、そんなときは自分と向き合うのですが、自分に向かいすぎると周りが見えていないということに気がつきました。一人では生きられない自分のクセに、周りをほったらかしにして自分が成り立つものでしょうか。

体調にだけは気をつけて、次の演奏会に万全の体制でのぞみたいと思います!!

二期会創立60周年記念ガラ・コンサート 

April 07 [Sat], 2012, 0:25
二期会創立60周年記念ガラ・コンサート、無事終了。
司会のために改めて二期会の歴史を勉強したが、その歴史の厚さ、深さには驚くばかり。

かつて30周年記念誌に、創立メンバーの柴田先生が「二期会、わたしはこの三文字に感動する」と書かれているのを見たとき、司会をお引き受けしたことが早計であったと激しく後悔した。今回の一夜のコンサート、その向こうに、膨大な過去と未来が見えたからだ。
先人の想い、二期会を愛してこられたお客様の想い、二期会会員を誇りとする人たちの想い、たくさんの想いを想像するだけで、言葉を探すことがとたんに困難になった。

でもあんな嵐にもかかわらずいらしてくださった大勢のお客様と、皆でキラリキラリと盛り上がり、確かに感じたこと。
二期会という言葉に感動している自分!

パーピョーパーピョー!! 

March 30 [Fri], 2012, 0:01
先日、とあるところでボエームを歌ってきました。
僕が所属している会よりも、もしかしたらゴージャスなキャストでした。
合唱はいないのですが、僕が指導している初音の杜ジュニアコーラスが参加したのです。
この団、6年生が一人いますけれど、あとは年長さん、1年生〜3年生までと、平均年齢が低い!!
楽譜などは一切見せずに、僕たち指導者が歌って聞かせ、丸暗記させました。
それで出来るんだから子供ってすごい!!
とっても好評でしたが、先生としてはカーナーリー緊張しました!!

8年… 

March 26 [Mon], 2012, 23:17
この子たちとこのままずっと歌っていたい
そんなことを感じながら音の流れに浮かんでいました

一つの曲はまるで人生そのものです
起承転結があって、真剣に向かいあった分輝いて、そして必ず終わります
終わった後に何かを残すことまで同じです

ただ一つ違うとすれば、終わり方が確実に決まっていることでしょうか

昨日の僕は「このままずっと歌っていたい」と思いながら
一音ごとに美しい音を連ねていく君たちの歩みに抵抗することが出来ませんでした
終わりたくないのに、この先にもっとイイ音が待っている…
そんな気がして指揮をやめることが出来ませんでした

気がつくと、あんなに終わりたくないと思っていたのに
最後の1音をあたたかな気持ちで閉じていました

かけがえのない思い出が、また増えました
どんなにありがとうを言っても言い足りないほどです

僕は君たちを尊敬しています

指揮者ー!!! 

March 10 [Sat], 2012, 2:09
3月4日は羽村市で東京都交響楽団のプレミアムコンサートに出演してきた。

指揮は梅ちゃんこと梅田俊明さん
なんと楽屋まで一緒で、本番前の指揮者とご一緒なんて緊張するかなーと思っていたら、ここでは到底言えない話で盛り上がりまくった

東京都交響楽団さんとは最近、年に数回共演させていただいているけれど、音がキラッキラしていて、それでいて押し付けがましくなく、どうやったらこんなアンサンブルができるんだろう…と、ワクワクさせてくれるオーケストラである。

今回はモーツァルトプログラムということで何曲か歌ったんだけど、歌い終わったあとに指揮者体験コーナーなるものがあって、お客様が東京都交響楽団を指揮できる…という、なんともナイスな企画が用意されていたのだ。
俺はよっぽどそれを羨ましそうに見ていたのだろうか。。。
スタッフの人に舞台に連れ出され、お客様に混じって指揮させていただくという、これまた有難いような恥ずかしいような目にあってしまったのだ。
思いがけず、憧れのプロ・オーケストラを、しかもお客様の前で、いいホールで演奏させていただけるなんて!!

最近のコンサートの中で、最も緊張したー!!

俺はいたって真面目に指揮したつもりだったが、オケの皆さんも、客席も笑っていました
有難うございます。一生忘れません。

今後、プロフィールに「指揮者として東京都交響楽団を指揮してデビュー」と書かせていただきます。


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