daydream believer 

2006年10月27日(金) 1時13分
私が本を閉じた時
勇者は 魔女や竜との
戦いを止め 剣を下ろす。

私が本を開く時
彼はまた 正義の下で
名誉を守る。

私が本を手に取る時
魔女は呪文を唱え
にやりと笑う。

誰かが本を書いた時
名前が付され
有らゆる物に命が宿る。

誰かがペンを置いた時
其処に在るのは
daydream 自由の世界。

大いなる自然の営みと、神様の選択。 

2006年10月27日(金) 1時12分
シーラカンスが
『生きた化石』と
言われるのならば

パンダは
モノクロの時代のまま
生きる動物だろう

カメラがかつて
白黒やセピアだったように
パンダもまた、モノクロのまま

神様は
パンダを
中国に創った

人々は
パンダの白黒を
神の象徴として

水墨画を描く
白と黒

神様の選択
そして、大地の力

歴史が紡がれ続ける

まんまる ぽっかり 

2006年10月27日(金) 1時11分
朝起きたら、おなかにぽっかりと大きな穴があいていた。
まんまるの穴が、ぽっかりとあいていた。

ためしに金魚ばちを入れてみた。
たぷんたぷん。僕も金魚もおどろいた。

ためしに目覚まし時計を入れてみた。
じりじりじりじり。うるさくて眠れない。

ためしにボールを入れてみた。
わーいわーい。子どもが僕からはなれない。

ためしにネコを入れてみた。
こしょこしょこしょ。くすぐったい。

ためしに地球を入れてみた。
ぽかぽか。あたたかい。

しばらく、地球を入れていた。

ある日、おなかが痛くなった。
おなかの地球が泣いている。
争い、貧困、別れ、悲しみ。

みんな、泣いている。

僕も、泣く。

そしておなかに手をそえる。
あたたまるように。

いつか、またあたたかい世界が訪れるように。

JOKER 

2006年10月27日(金) 1時10分
 A joker in the pack.
  ―将来の影響は予測しにくい―

 昔、ジョーカーと名付けられた男がいた。彼は、どちらかといえば頭脳明晰な性格の持ち主だった。ただし、彼が自分で思う「頭の良さ」と、実際の「頭の良さ」は違っていた。
 彼は成長し、大人になった。だんだん彼の中の微妙なズレは蓄積されて、大人になる頃には、大きな隔たりが感じられるようになった。
 でも、ジョーカーは必死で取り繕った。辻褄の合うように、必死で努力した。
 帳尻を合わせるためには、少しの嘘と巧みな話術が必要だった。彼は、少しずつ少しずつ、嘘を重ねていった。そういう日々が、彼にとっての日常になった。
 
 嘘をつく。
 冗談を言う。
 道化になる。
 彼自身の言動は、彼自身を蝕み続けた。彼は自分自身に疑心暗鬼になり、なにをするにも緊張するようになった。
 しかし、彼の虚勢は止まらなかった。
 
 嘘をつき続ける。
 冗談を言い続ける。
 道化になり続ける。
 
 ジョーカーは、殻に閉じこもった。トランプの中へ。トランプの中は安全だった。色々な意味で、彼は特別な存在になった。

 もう涙も出ない。なにも感じない。なにも考えなくていい。
 ジョーカーは、そんな生き方を選んだ。

 イギリスの諺…“A joker in the pack.(将来の影響は予測しにくい。)”。この言葉は、ジョーカーの悲しい人生を語った言葉である。

コブタのぶー 

2006年10月27日(金) 1時09分
 あるところにコブタが一匹いた。名前は、『ぶー』。

 ぶーが散歩をしていると、バイクの『モーター』に会った。「こんにちは、モーター君。」「やぁ、ぶー。君はいつもトロトロ歩いてるね。そんなんじゃ日が暮れちゃうよ。ボクはこの自慢のエンジンで、どこでも行けるんだよ。まぁ、君には関係ないことだけどね。」そんなことを言われても、ぶーはただ一言。「へぇ、すごいね。」
 しばらく歩くと、おしゃべり好きのコマドリの『ロビン』に会った。「こんにちは、ロビンさん。」「こんにちは、ぶーちゃん。今日はいい天気ね。ホントいい天気だわ。いい天気よね?あら、今散歩してるの?どこへ行くの?なんで一言もしゃべらないの?こんなに話しかけているのに。つまらないブタね。これだからブタっていやねぇ。あー忙しい忙しい。」ロビンは一気にまくし立てた。でもぶーは一言、言うだけ。「ロビンさん、体に気をつけて。」
 ある時ぶーがベンチで休んでいると、宝石の『ダイヤ』に会った。「こんにちは、ダイヤさん。」「あら、誰かと思えば、ブタのぶーじゃない。気安く話しかけないでくれる?あたしは宝石よ?価値が違うの。あんたみたいなその辺にいるただのブタじゃないの。分かる?」そんなダイヤの態度にも、ぶーはただ一言。「そうだね、ダイヤさんキレイだもんね。」

 ぶーは家に帰り、温かいココアを飲んで、空を見上げた。ふうっと一言。「ボクはボク。それでいいんだ。」
 その夜ぶーは、ふかふかなふとんにくるまって眠り、幸せな夢を見た。

 その後の話。バイクのモーターは、スピードの出しすぎで事故を起こし、二度と走れなくなった。コマドリのロビンはしゃべりすぎがたたって狩人に撃たれた。宝石のダイヤは、その輝きと傲慢さゆえ人々を魅了し、金が飛び交い、奪い合い、血が流れ、ダイヤにも一生ぬぐいとれない血のシミがついた。

 あなたは、この話をどう思いますか?
 あなたは、どんな生き方をしていますか?
 あなたは、どんな生き方を望みますか?

東京 

2006年10月27日(金) 1時08分
さみしいよるには、商店街で林檎を買う。
地元産の、真っ赤な林檎。
店が閉まる前に、少し小走りで買いに行く。
コートを着ないで、手に取るのは、がまぐちとマフラーだけ。
走る。サンダルの音が響く。

せつないよるには、ひとつだけ林檎を買った。
地元のにおいがする果実。
シャッターが半分閉まる、少し焦って駆け込んだ。
ふくろはいらない。ポケットに、赤い林檎。
帰る。はく息が白くなる。

袖できゅっと林檎をみがく。
がりっとかじると、ひろがる、あまい味。
流れる涙は、林檎の果汁。
それでも、また明日から東京で暮らす。

seasons 

2006年10月27日(金) 1時07分
一月生まれはイチゴがすき。
二月生まれと虹を見る。
三月生まれの賛美歌を聴く。
四月生まれと勝負をする。

五月生まれにごあいさつ。
六月生まれと六時に会う。
七月生まれの七五三。
八月生まれが住むのは八王子。

九月生まれはクイズが得意。
十月生まれの獣医さん。
十一月生まれが拝む十一面観世音。
十二月生まれは自由に生きる。

一年三百六十五日、なにかがすきで、どこかで生きる。

ボクは王様 

2006年10月27日(金) 1時05分
ボクは王様、あいうえ王
かきくけ国の王様だ
 
さしすせ草を食べて元気をつけて
たちつて島へ、いざ向かえ!
なにぬね野原をひとっ跳び

はひふへ洞穴見つけたぞ
まみむめ森をぬけた場所
やいゆえよよよと泣き姿。そこには
らりるれ牢屋に入ったお姫さま

わたしはあなたを助けに来ました
をんをんうなるドラゴン倒し助け出す
 
あなたをむかえにまいりました
かえりましょう、お姫さま
さあさあ、温かいスープを召し上がれ
たいへん疲れているでしょう
なぜドラゴンにつかまっていたのですか

はい、私は悪い魔女に
まほうをかけられ
やむなくあちらへ
 閉じ込められていたのです
らいおんのごとく気高き勇者が来なければ
わたしは一生牢屋に入っていました
 
あいうえ王様
ありがとう
あなたは
あたしの勇者です

もうひとつの話 

2006年10月27日(金) 1時04分
 げき−りん【逆鱗】(名)
   帝王の怒り。
 「韓非子(かんぴし)」の故事による。竜(りゅう)ののどの下に逆さに向いた鱗(うろこ)があり、人がこれに触れるとたちまち怒ってその人を殺すという。天子を竜にたとえて言ったもの。
…広辞苑より抜粋。


 昔、まだ人々が文字を持たず、言葉だけで意思を伝達していた頃の話。
人々が生活を営む場所から、かなり離れた切り立った崖ばかりの山があった。そこに、ひっそりと一匹の竜がいた。人々は竜を恐れ敬い、祠を建て、祭った。時には邑の実りを、時には武運を、祈っていた。
 竜は、何もしなかった。いや、正直に言えば、毎日邑を見守っていた。竜は邑を襲うことはないし、実りの神へ邑の幸福を願うことはなかった。なぜなら、竜は内に秘められた三つの力を使うことしかできなかったからだ。三つの力は、一生に三度しか使えない。三度目の力を使った瞬間、永遠を約束されていた竜の命は尽き果てるのだ。
 だから、竜は祈った。邑の幸福を、人々の幸せを。そして、世界の平和を…。
 幸い邑は平和で、竜は長い間秘密の力を使うことはなかった。

あるとき、竜が棲む洞窟のそばに、人間の赤ん坊が麻で編まれた籠に入れられていた。赤ん坊が泣いている。山に棲む、ほかの動物達も泣き声につられて集まってきた。子がいる鹿が言った。「この児、捨て子よ。」布に包まれた赤ん坊の胸には魔除けのお札があった。「きっと何かの事情で育てられなくなって、竜の祠にきたのね。」
 竜は怒りを全身に感じた。親は児を捨てるのか。竜には親がいなかった。いや、竜は竜であり、ほかの動物のように“誰かから生まれる”ということはなかった。だが、長い間邑の営みを見守り、千里眼で人々を見守り、山の動物達の生きている姿をみていた竜は、命の尊さを知っていた。
 「私がこの児を育てる。みんな、協力してくれるね。」竜は言った。
 動物達は、代わる代わる赤ん坊の世話をした。子のいる動物は赤ん坊にミルクを与え、力もちの動物は寝床代わりになる、あたたかい木の葉をたくさん集め、動きの俊敏な動物は児が泣き出したら一生懸命あやした。その結果、赤ん坊は順調に育った。

 竜は、一つ目の力を使うことに決心した。『悪魔を除ける力』。竜は赤ん坊の顔に、そっとやさしく息吹をかけた。「世の中には人を惑わす悪魔が多い。私はこの児を悪魔から守る。」竜は誓った。
 ある日、赤ん坊がよちよち歩きで洞窟の周りで遊んでいた時。悪魔が近づいた。「人間の児だ。取って食ってやろう。」悪魔は児に魔法をかけた。しかし、魔法は赤ん坊に反射して、悪魔自身に降りかかった。竜の息吹は、児を悪魔から守った。
 竜は、二つ目の力を使うことにした。『どんな困難にも立ち向かう勇気』。竜は赤ん坊の眼を見た。とても澄んだ、綺麗な瞳。その瞳をじっと見つめ、その眼に竜の涙をひと粒、落とした。「この力は、この児が育ち、青年になった時に大いに役立つだろう。」竜は児の将来を想い、祈った。
 
 その内、赤ん坊が病気になった。うかつだった。人間の子どもは、山の動物よりもずっと弱く、脆い。赤ん坊は高熱と激しい震えに襲われた。何日も、何日も、竜は眠らずに看病した。その大きくてゴツゴツした手で小さな布を水にひたし、赤ん坊の額に乗せた。薬草も煎じて飲ませた。
 だが、児はいっこうに回復しなかった。
 竜は、最後の力を使うことにした。『竜の命を与えること』。「私はこれで死んでしまう。だが、この児には生きてほしい。たとえ悪魔が惑わせようが、困難に立ちはだかろうが、きっとこの児は生きていける。生きて、世界を見てほしい。」竜は、自らの咽喉もとにある、一枚だけ逆さに生えた鱗をはがし、児の体に触れさせた。鱗はまぶしい光を放ちながら、児の体と同化した。
 竜はドスンと大きな音を立てて倒れた。周りにいた動物達が駆け寄る。「あなた達に、最後の願いがある。この児を、邑に送り届けてほしい。そして、児が成長するのをあなた達で見守ってほしい。児が、再び捨て子にならず、立派に育つ事を祈ってほしい。」

 竜は、死んだ。
 動物達は、竜の言った通り、児を邑に送り届けた。子どものいない、優しい夫婦のもとへ。
 竜が死ぬとき、竜が倒れた衝撃で、山崩れが起きた。地面に深い爪あとを残し、死の苦しみにもがく振動が、地を揺らした。
 人々は、竜の祠が崩れ、竜の死体に鱗がないのを見て、「竜は自分の命と引き換えに、児を守った。言い伝えにある、三つの力を児のために使ったのだ。」と言った。竜の死を嘆く人、命の尊さを知った人、様々だった。

 児は、成長し、立派な青年になり、邑の長になった。邑は豊かであり、平和だった。青年は、忘れない。竜から譲り受けた、この命を。

 時間は流れ、青年は大国の王となった。素晴らしい治世だった。竜のごとく、勇敢であり、誰にも平等で、誰よりも平和を祈る、素晴らしい王だった。
 竜と児の伝説は語り継がれる内に【逆鱗】という言葉で文字に著された。
 
 でもそれは、間違っている。
 竜はとても優しく、気高かった。
 人を殺すことはなく、素晴らしい命を生かした。
 
 今では、誰が知っているのだろう。この真実を。

彩―いろどり― 

2006年10月27日(金) 1時02分
 昔、鳥が一羽、ある森に舞い降りた。
 その森には、ほかにもたくさんの鳥や動物が住んでいた。新参者の鳥は、おそるおそる、他の鳥の群れに近づいた。「こ…、こんにちは」群れのリーダーらしき鳥が、応えた。「こんにちは、新入りさん。お名前は?」鳥は、元気を振り絞って言った。「私の名前は、クロハネです。どうぞよろしく。」鳥たちは、一斉に笑った。「クロハネ!?なにそれ、変な名前ね。」「そうか、あんた黒い羽だから、そうなんだ。」「あんたがくるちょっと前にいたルリさんは、とてもキレイな羽だったわね。」「そういえば、ルリさんは新しい土地でも元気にしているかなぁ。」群れは、クロハネをそっちのけで、クロハネの知らない話題で盛り上がった。
 クロハネは、頑張って群れに馴染もうとした。面白い小噺や、新しい話題、大げさな身振り、振る舞いをした。群れは、だんだん、クロハネを受け入れた。

 クロハネは、いつも一人だった。群れにいるときでさえ、一人だった。笑っているときでさえ、群れに馴染むのに必死で、疲れ、孤独を感じた。寝る前には必ず、「明日こそ、本当の自分らしく振舞うんだ。」そう誓って、眠った。しかし、また朝になれば、群れの前で、おどけ、笑わせた。

 「おい、クロハネ。」群れで自分の名前を呼ばれるのは、とても嬉しかった。自分の話に笑ってくれる鳥がいると、嬉しかった。

 クロハネは、自分の翼の色がとても嫌いだった。黒。黒。黒。他の鳥は、黄、赤、ピンク、青、水色、銀、翡翠色…。とてもキレイだった。いつもうらやましかった。憧れていた。

 
 群れでの生活が、数年たった。クロハネはもはや新参者ではなく、完全に群れに同化した。クロハネの後に群れにやってきた鳥は、何羽もいた。みんな、クロハネがかつて『よそ者』であったことを、すっかり忘れていた。あまりにも、クロハネが馴染んでいたから。
 ある日、クロハネは仲間の鳥にこう言われた。「私、クロハネの翼の色、とても素敵だと思う。とってもいい黒だね。」クロハネは、とても嬉しかった。初めて、自分の翼の色をほめてもらえた。たとえお世辞だとしても。クロハネは、自分を少しだけ好きになれた。
 でも、クロハネの心の中にはいまだ消えない、自分が『よそ者』である気持ちがあった。自分は、いつも元気でいなくてはならなかった。いつも面白い話をしなくてはいけなかった。眠る前の誓いと祈りは、天に届かず、また実現されなかった。だから、今日、仲間にほめられた翼のことも、「なんだ、よく見れば汚い黒じゃないか。なんだよあいつ。お世辞なんか言っちゃってさ。」という気持ちが強くなり、自分を否定した。クロハネは、もっともっと自分が嫌いになった。

 クロハネは、たまらない気持ちになって、空を飛び続けた。疲れても疲れても、その黒い羽を休めることなく、飛び続けた。

 羽を痛めた。翼は汚れ、自由に動かなくなった。

 クロハネは、とぼとぼと巣に帰った。家には、仲間がいた。「どうしたの?どこへ行っていたの?心配したんだよ?」仲間は、泣きながらクロハネに抱きついた。クロハネも泣いた。翼が痛いんじゃない。自分のことを心配してくれる仲間がいたことが嬉しかった。今まで気付かなかった自分を嘆いた。自分も、仲間を心から好きだと思った。クロハネは、また泣いた。声が枯れて、頭が痛くなっても、泣き続けた。

 声が枯れて、ちゃんと聞こえたかどうかは分からないけど、クロハネは仲間に言った。

 “ごめんね、ありがとう”

 クロハネは一人じゃなくなった。仲間がいる。友達がいる。
 たまに不安になることは、たくさんあるけれども。
 それでもクロハネは、幸せだった。友達がいたから。
 
 クロハネはわかった。自分は特別じゃない。全体の一部なのだと。そして、自分がどんな自分であっても、受け入れてくれる友達がいるということを。

 
 ある森の、鳥の群れには、たくさんの羽の色がある。黄、赤、ピンク、青、水色、銀、翡翠色…そして黒。
★コメントさん★
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:sometime-asami
読者になる
Yapme!一覧
読者になる