そんなキズも僕が包むから 

July 27 [Fri], 2007, 10:00
「はぁ…」

溜息を吐いてから、まずったと眉をしかめた。
「何だ、」
「いや、別になにも」

別になんて強がっても仕方ないのに。
こんなうじうじ悩んで、素直になれなくて、自分のことちゃんとできない自分が嫌いだ。
おまけに運動音痴で成績も芳しくない。
人見知りが激しくて、外はあんまり好きじゃなくて、喋るのも実は苦手。

こんな欠点だらけの人間にはもったいないほどの人間…跡部景吾。

「何も…なぁ」
「ただの自己嫌悪だから、あんま気にしないで」

景吾に心配かけるのも嫌だ。

やだやだ、ばっかだな。

自嘲して、何気なさを装いながら景吾の肩に頭をおく。
こんな大胆なこともドキドキしながらしてるってこと、景吾は知ってんのかな。

「一回しか言わねぇから、よく聞け」
「え?」
「俺はな…素直じゃなくて、運動神経悪くてバカで、人見知りのするインドア派…そんな奴がどうしようもなく好きなんだよ」

わかったか、バーカ。
景吾がぶにっと俺のほっぺをむにむにする。
「へひご…ひはっ」

「もっと、きちんと寄り掛かれよ」
「ふ…」

この胸に飛び込んでもいいのかな。
重荷じゃないのかな。

「…迷うな。傷つく」
そんなに頼れないかと言外に含ませられては、もう思い切り身を任せるしかない。

「…けいごっ!」
ばっと体重をかけて抱きつくと、あたたかな胸に包まれた。
大きな手。同い年なのに、骨張ったそれはなんだか愛しい。

「景吾…」
知ってる?
俺がもうどうしようもないくらい俺様な男に骨の髄まで惚れてしまっていること。

やたらエロい流し目にドキドキしながら、心の底でありがとうと呟いた。
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