コラム:行為と行動
2011.02.24 [Thu] 12:54

命題「行為とはなにか?行動とはなにか?」

 「行為」はしばしば、社会学の中心的な主題のひとつに挙がります。
行為(action)は行動(behavior)の一つの形態です。つまり、さまざまな「行動」の中に「行為」がある…ということになります。

 ではそもそも「行為」と「行動」はどうちがうのでしょうか?それは「象徴(symbol)」と「信号(signal)」という二つの言葉を使って説明できます。

 1.象徴と信号
  行動は、人間と人間以外の動物が行う活動全般に該当するもので、たとえば猫が庭先を歩き回っている様子も、犬が不審者に吠え回っている様子も、馬が疾走するのも、鳥が空遊するのも、人が会話するのも、全部行動です。ただし、最後の「人の会話」に関しては「行為」といいます。そしてこの「行為」が、社会学の考察対象になります。

 僕が友達に電話したりするのは「象徴」のやり取りです。つまり言葉は「象徴」です。さらに、メールも、手紙も、ファッション、デザイン、ユニフォームなんかも象徴です。この象徴をやり取りできる存在、高度に操作できる存在は、いまのところ「人間」しかいないと言われています(チンパンジーなどで、象徴のやり取りが出来る奴がいますが、あくまでも個体なので…)。つまり「メッセージ」を送ったり、受け取ったりすること?と思われがちですが、メッセージを送ったり受け取ったりするだけなら、犬でもできますよね?

 たとえば、番犬は主人以外の人間、又は主人と良く顔を合わせている(親密な)関係の人以外には吠えたりします。これは主人を守る為に、相手に対して「近づくな!」とか、主人に対して「知らない奴がいるぞ!」というメッセージな訳です。でも犬からすれば、吠えている相手、つまり玄関先に立った人物が「誰」なのかは定かではない訳です。

 犬が吠えるのは「信号(signal)」です。つまり、玄関先に人が立っているという「信号」を受けて、吠えるという「信号」を返している…反応している、というだけなのです。だから、その玄関先の人が「宅配便のおじさん」だったりしても、それが「親戚のこども」だったりしても、ましてや「泥棒」だったりしても、吠えることに変わりはないわけですね。

 ここでは玄関先に立った人が「宅配便のおじさん」だったとしましょう。そして犬が吠え回っています。主人は「誰か来たみたいだな」と、玄関に立ちます。


2.スタディー・ケース「宅配便のおじさん、犬、主人、の行動と行為」
犬「ワンワン」(信号)
 玄関に人が立っていることに反応して、信号を返す。
主「どちらさまですかー?」(象徴)
 犬の信号を受け取り「誰か来た」と解釈し、所在を確かめる。
宅「こんにちはー、宅配便でーす。」(象徴)
 宅配便のおじさんが来ているユニフォームは、誰が見ても「宅配便の人」と解るので、これも象徴。不審者でなければ、大抵の人は「こんにちはー」とあいさつをする。これも象徴。
主「御苦労さまです。」 (象徴)
犬「ワンワン」(信号)
主「サインで良いですか?」(象徴)
主「(サインする)」(象徴)
 サインする行動も、象徴。サインは「確かに受け取りましたよ」という証明になる。だから「ただの文字」ではなく、意味が込められているので象徴といえる。
宅「こちらお客様の控証です。」(象徴)
主「どーも」(象徴)
犬「ワンワン」(信号)
宅「それでは、失礼します」(象徴)

 おわかりかと思いますが、象徴には「意味」がひとつ以上含まれています。そして、象徴は結果を求めます。その意味ではあくびとか、咳とかは象徴ではありません。イライラして部屋の中を歩き回るのも象徴ではありません。

 ただし!咳をすることで何か伝えようと試みているならそれは象徴ですし、歩き回って「俺はイライラしているんだ!」ということを示したいなら象徴です。

 人間の行為には、この象徴が含まれます。そして人間はこの象徴というものを巧みに操り、利用し、作り出します。

 さっきの咳の話から、ファッションを考えます。たとえば、「寒いから着込む」とか「熱いから脱ぐ」だけなら単なる行動ですが、「自分はこういう人間なのだ」ということをアピールする為に「アルマーニのスーツ」とか着るなら象徴(行為)ということになるでしょう。そういうのを誇示的消費とか言います。

 
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