ささやかな報復 

2006年05月18日(木) 16時38分
「不二、ちょうど良かった」

廊下で擦れ違った時そう言って呼び止められた。
昼休みの中盤、丁度昼食を食べ終わった頃。

「今日委員会があって部活に出られるか分からないんだ。
もし部活が先に終わったら帰るように英二に言ってもらえるか?」

朝のHRで委員会の連絡を聞いた時から、それは何となく予想はついていたけど。
一度下らない喧嘩に巻き込まれてから、正直大石の伝言を預かるのは気が引ける。
すぐに返事をしなかったからか、大石が戸惑っている。

「ま、いいよ」

多少伝言を捻っても、大石に文句は言えない。




采配 

2006年05月09日(火) 0時48分
期末テストで赤点を取ってしまうと、補習だ再試だで大会に出場出来なくなる。
その為今ここで躓かれると非常に困るのだが…。

「分かんねぇス…」

うちのエースは泣きそうになりながら見事に躓てくれた。
必死に教科書を睨む姿勢は買うが、これ以上詰め込んでも実りの薄い事は明らかだ。

「少し休憩しましょう」

少しの休憩は効率を上げるのに必要なのだ。
机に突っ伏す頭をくちゃくちゃに掻き混ぜてやる。
休憩が終わるまで、たった数分。
ほんの少し優しくしてあげるくらい、罪にはならない。




キスの音 

2006年05月08日(月) 14時43分
ちゅ、と音を立てて唇を離すと目に見えて顔が赤くなっている。
視覚や聴覚に訴えられる羞恥に真田は弱い。
それを知りながらやっているのだから、人が悪いと言われて否定出来るはずがない。
普段乾いている真田の唇がほんのりと湿っているのがいやらしく、つい口の端が上がってしまう。

「…なにがおかしい」

凄まれても怖くはない。
強ばった肩に引いた顎、そして微かに濡れた唇。これを可愛いと言わずして何が可愛いと言うのか。

「気にしなさんな」

尚も喋ろうとする唇を再び塞ぐ。

それだけで、
降参したように真田は黙る。

続く想い 

2006年05月07日(日) 22時25分
例えば二人で並んで座っている時、勝手バラバラに好きな本を読んでいるその時間が好き。

汗をかいた後の項を拭く仕草を見ているのも好き。

眼鏡の弦が緩んで煩わしそうに押し上げるのも。

疲れている君に迫った時に見せる困った顔も。

たまにしか見せないとろけきった表情も。


僕は

君の全てが

好きで

好きで


どうしようもなく

惹かれている



まるで

終りのない

この恋


一度知ったら



止まらない。





夢のころ 

2006年05月06日(土) 0時50分
敷地の端に建つ教会の中から、荘厳なメロディが流れだす。
体の奥に直接伝わる振動が心地良い。
フツリと音が切れて顔をあげると、呆れたような目と視線がかち合った。

「弾かないの?」

催促すると先程とは違う優しい音がゆったりと響く。

「さっきのは?」

何で曲目を変えたかなんて、絶対に言わないだろうと分かっていながら問いかける。
案の定答えを得られないまま再び目を閉じた。
ゆっくりと撫でられているような。
水の中にいるような感覚。
洗練された指の動きを想像しながら、
そこは半分、夢の中。





しゅんかんに 

2006年05月05日(金) 0時52分
時計の短針と長針がぴったりと重なった瞬間

携帯電話が賑やかに鳴りだす

まくらに埋まっていた顔をあげてメールをひらくのと同時に

振動と一緒にまた陽気な音楽

表示された名前に口元がゆるむ

ふかふかのクッションを抱いて

浮き上がりそうな気持ちを抑えながら通話ボタンをおす

「…、起きてた!」

さっきのメールはまだ見てないけど、一年のうちでこの携帯がいちばん活躍する時間だから

話の内容は分かっているけど

「ありがと!」

それでも嬉しい

みんなからの

おめでとう






2006年05月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
最新コメント
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:small-tactice
読者になる
Yapme!一覧
読者になる