アーキタイプ<1> 

2005年12月18日(日) 3時46分



誰もいない道。

辺りは薄暗くて、何も無い。


「歩かなきゃ」


何処に?

行くあてなんか、何処にもない。
此処が何処なのかすら、わからないのに。
でも、行かなきゃならないんだ。

ぬかるみの中を
水たまりを
獣道を


必死で歩いた。
足の皮が剥けて、血が出て、感覚が無くなって
足があるのかどうかもわからなくなってるのに

物凄く、足だけが重いんだ。



そう思って
足を止めようとすると

自分以外の足音に気付く。


とても小さくて、頼りなく
今にも消えそうな足音。



振り返ると、小さな女の子があとから付いてきて
私が見てる事に気付くと

睨むみたいに、私を見つめた。

顔ははっきり見えないけど、あの目には見覚えがある気がする。




そして私がまた歩き出すと
後ろから小さな足音も、ついてくる。

近寄るでも、離れるでもなく

一定のリズムを刻む、二つの足音だけが響く。


私が、また立ち止まると、足音も止まり、襲われそうな静寂がやってきて
何故か急に、小さい頃を思い出した。

母にかまって貰えず
部屋の隅で、母を見つめる私がいた。




そうだ。

あの少女の目は
あの時の私の目。

いや

あの少女が、あの時の私だ。


そう思って、振り返ると、少女はもういなかった。



もういない…

誰もいない。

また独り。


また?


独りは慣れてるのに。



何故だか、そんな事を考えたら
涙が溢れて止まらない。

そう。

あの子は私を待ってた。
あの子は私の手を待ってたんだ。

そんな事にも気付かないで
私は何処に向かってたんだろう?



大事なモノを、いつも自分から手放してたんだ。私。

「そばにいて」


この一言が言えなくて
ずっと独りだった。



無くしたモノは戻らないけど
これから見付けられたら

手を繋いで。
手を繋いで。
寄り添って、離れない。


そう決めた。




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