2012 

2012年01月03日(火) 20時12分
お正月のリース


お正月の花


大変よくさぼるこのブログですが、今年もどうぞよろしくお願い致します。

失われた時のカフェで 

2011年09月21日(水) 2時27分
「失われた時のカフェで」
パトリック・モディアノ
平中悠一(訳)

今はもうないパリのカフェ、ル・コンデに通っていた若い女性ルキ。その輪郭があやふやでミステリアスなルキについて、四人の男達が語る物語り。

ここではないどこかに行きたいという気持ちを常に心に抱えて生きる人間の儚さと、儚く散った人間が生き残った人々に与えた喪失感とが、モノクロな印象のパリを舞台に描かれています。

自殺を題材にした作品の多くは、エゴの香りが強いように感じてしまい、それが苦手で心に響かないのだけど、この物語は少し突き放した位置から繊細にひとりの人間を描き出したとても好きなタイプの小説でした。

自分について語る、自分に対して語る言葉は、慎重に選び、安易に抽象的な言葉で自己満足しない、というスタンスがエゴから自由になれるのだなぁとここのところ感じていたことを改めて考えさせられた小説で、言葉のプロが書いた本を読めた満足感が味わえました。

ル・ベスべ花物語 

2011年09月07日(水) 0時14分
「ル・ベスべ花物語」
橋郁代
文藝春秋

南青山にル・ベスべというとても素敵なお花屋さんがあって、この本はそのお花屋さんをやっている橋郁代さんが綴ったエッセイ集。

子供の頃の思い出や、お花屋さんで働き始めた頃のこと、お客様との関わりや、お花屋さんの専門的な話しまで、いろいろな話題すべてに植物を愛する気持ちが溢れているエッセイ集です。

巻頭に載せてある作品の写真はとにかく素敵です。

食べて、祈って、恋をして 

2011年08月25日(木) 0時10分
「食べて、祈って、恋をして」
エリザベス・ギルバート
那波かおり 訳
RHブックス

評判の良かったエリザベス・ギルバートのTEDの講演を見て、素敵な人だなと興味を持って読んで見た本。

自分の体験を元に書かれた本で、一年間イタリア、インド、バリと四ヶ月ずつ暮らし、自分を立て直していく過程を綴った物語り。

ユーモアに溢れていて、忘れていたような大切な言葉にもたくさん出会えます。インドに行かなくても、いろいろなことが吹っ切れる本でした。

気になる部分 

2011年08月13日(土) 14時42分
「気になる部分」
岸本佐知子
白水社

いろいろなことが起こって、まだまだいろいろなことが解決していなくて。そういう情報を追ったり、それらについて頭が悪いなりに考えてみたりしているのだけど。ぐるぐると考えた挙句にいつもふらふらと辿りついてしまうのは、もしかして、あらゆる立派な諸々を差し置いて一番大切なのはユーモアなのかもという結論で。とは言ってもユーモアって案外難しいものなので、結局しょうもないことばかりインターネットに書き残してしまいます。若い頃は、しょうもないことばかり言っている大人をどこか小馬鹿にしていたけれど、最近は、あんな大人たちもいろいろ考え悩んだ結果だったのかもなぁと思うようになって、歳を積み重ねる悲哀みたいなものをほんのちょっぴり感じたりします。

で、この岸本佐知子さんの書くエッセイのユーモアは絶品です。げらげらと笑いながら、シュールさに心の中の静かな闇を感じながら、このセンスはすごいなぁと唸ることしばしばです。

スティル・ライフ 

2011年08月10日(水) 22時39分
「スティル・ライフ」
池澤夏樹
中公文庫

最初の2ページの吸引力がすごく、あっという間に登場人物の心の中の世界に入り込んで読み進めた本。

若者の、自分と社会との折り合いの付け方について、芯の強い思想を軸に、宇宙を感じさせる静謐さで描いた作品。

手に負えないような社会の矛盾、社会に対する違和感を前にした、静かで清澄な青年の心が表現されていて、透明な美しさと、そしてほんの少しの物悲しさを感じます。

ビブリア古書堂の事件手帖 

2011年08月04日(木) 23時34分
「ビブリア古書堂の事件手帖」
三上延
メディアワークス文庫

本を読みたいという気持ちはあるものの、体質的に読むことのできない大輔は、ひょんなことからビブリア古書堂で働くことになる。そこで大輔は、密かに思いを寄せるビブリア古書堂の店主・栞子と共に古本に纏わる事件を解決していくお話し。

一冊の本からはじまる人と人との交流や、本を愛する人間の悲喜交々が描かれていて、本好きな人は特に楽しく読める本かと思います。

ねにもつタイプ 

2011年07月31日(日) 17時26分
「ねにもつタイプ」
岸本佐知子
ちくま文庫

翻訳家・岸本佐知子さんのエッセイ集。
とにかくおもしろかったです。

ふと目に入ったもの、思い付いたことから、みるみるうちに空想が膨らんで、膨らんだまま終わる物語なようなエッセイやら、膨らん空想を辛口にばさりと切って終わるエッセイやら。

笑えるところたくさんなので、外で読む時は注意です。

ふわふわ 

2011年07月27日(水) 23時25分
「ふわふわ」
村上春樹・文
安西水丸・絵
講談社文庫

「ぼくは世界じゅうのたいていの猫が好きだけれど、この地上に生きているあらゆる種類の猫たちのなかで、年老いたおおきな雌猫がいちばん好きだ」という文章から始まる絵本。

年老いた猫にくっついて、その猫に流れる時間に寄り添う時にふと、命ってこういうことか、幸せってこういうことか、と感覚的に分かる瞬間があったのだけのだけど、そんな感覚が素敵な比喩で表現されていて、なんだか胸がいっぱいになる本でした。

犬が星見た 

2011年07月24日(日) 23時23分
「犬が星見た」
武田百合子
中央公論社

昭和44年に武田百合子さんが、夫の武田泰淳さん、友人の竹内好さんと共に出掛けたロシア旅行の記録です。

淡々と書かれる移動の様子や食事の記録に、当時ロシアを旅行するということはこういうことだったのだなぁと感慨深い本です。

終始一貫して、日記風な文体で書かれていますが、人間の描写はユーモアと深みがあっておもしろいです。当時のロシアの田舎に住む人々が素直に表す、見慣れぬ日本人に見せる好奇心や、文明の利器に対する恐怖心。そんな描写を読んでいると、今の世の中で、新しい物に飛びついたり最先端のものに怖さを感じたりしている自分の心の様子と重なり、なんだかしんみりします。しんみりしたかと思うと、この旅行のグループ一番の高齢で、ことあるごとに、「ロッシャはたいした国じゃ。わしゃ、よう知っとった」と言う、マイペースな銭高老人の言動に、あーこういうおじいちゃんいるいる!と楽しい気持ちになります。

そして何と言っても特筆すべきは、この人たちのお酒の飲みっぷりです。淡々と食事の記録に紛れていたりするので、最初は気のせいかな?と思うのですが、まぁそれはそれはせっせとお飲みになります。たまに飲み過ぎで、観光しないでホテルで休んでいたりします。そんなところに注目して読むと、ちょっぴり愉快な本でもあります。
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