8.剛毅果断

June 03 [Sun], 2007, 23:09
人々が船出する少し前にそいつは現れた。
愁いを帯びた瞳は色香を漂わせ、見る者を魅了していることなど本人は全く気がついてはいないのだろう。
「どうかしたのか?」
おれは街に住む先輩だと威張りたかったのかもしれねェ。気付けば声を掛けていた。
とはいっても、車内からだったから聞こえるかは不安だった。聞こえてなければそれでもイイと思っていた。…が、
「……誰だ?アンタ。」
深い青が此方を向く。深夜にも関らずそいつの髪は輝いていた。かぐや姫が月から降りてきたのか、と唾を飲む。
「おれァ司狼。おめェこの街に来たばかりか?ンなとこふらついてたら危ねェぜ。」
云えば、そいつの瞳が揺らぐのが見えた。何か引っ掛かることでもあったんだろうか。
まさかおれも危ないうちの一人ですと名乗るわけにもいかず、只不器用に微笑んでいると(←十分怪しい)
そいつが口を開いた。
「レースに、負けちまったンだ…。」
それでココに居てたってわけか。
「最初のレースだったのに…」
あまりにも落ち込みっぷりが凄まじかったので、車内に引っ張り込み訳を訊く。
職が賭博師らしいそいつは、勝負と名のつくものにどうしても勝ちたかったらしい。
「まァ、元気出せよ。」
何を云ってやればイイのか分からなかったおれは、とりあえず客が忘れてった万華鏡を手渡した。
そいつは驚いた顔をしていたが、つき返されることはなかった。

[06/03] 蓮華サンジくんに万華鏡をプレゼントしました

次の日、同じ場所同じ時間にそいつは居た。
「おめェ…なにしてンだ…」
あまりの無防備さに溜息が零れる。一度痛い目に遭わねェと分からねェのかコイツは。
「……あ。」
そいつはおれと目が合えば嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ココに居たらまたアンタと会えるかと思ってよ。その通りだったな。賭博師の腕前も上がったかも。」
柔らかな笑顔に胸を打たれた。なんて顔しやがる…
「何故おれを…?」
疑問を口にすれば、そいつは目を瞬いた後とびきりの笑顔で
「レースに勝ったんだ。」
と云った。

その笑顔にトキめかねェヤツがいると思うか?
気付けば運転席の窓から手を伸ばし、そいつの腕を掴んで頬へ…口付けていた。

[06/03] 蓮華サンジくんにほっぺにチュをプレゼントしました

途端赤面する様子を可愛いな…と遠く思いながら、余裕ぶるように微笑んでやった。
「おれと付き合わねェか?」
逃がしはしねェと腕を掴んだまま訊ねると、首が縦に振られる。

その場では巧くやれたが、別れた後顔が火照っちまったってのァココだけの話だ。
次からはこのパターンでいこう。

[06/03] 蓮華サンジくんに恋してます
[06/03] 蓮華サンジくんに告白し恋人になりました



…と、ココまでは良かったが…

「最近デートがワンパターンね。」
久々のデートを愉しんでいた蒼似の顔が曇る。
「そ、そうか…?」
「ええ、なんていうか…デート代ケチってる?」
その言葉におれはうっと詰まる。蒼似の言葉は確かに当たっていた。
何せ恋人が4人になったんだ。遣り繰りするのも結構大変なんだよ…
おれァプレイボーイにゃ向いてねェなとつくづく思う。金を掛けなくたって巧ェデートプランなんかを作っちまうんだろうな。
そんなこんなでおれは蒼似の前から去っちまった。
やっぱり、あんなイイ女に釣り合うにゃァまだ早かったか。
少々残念だ…また気が向いたらいくかもしれねェ(ぽそ)

[06/03] 蒼以ナミちゃんとハサミの海底バスに乗りに行きました
[06/03] 蒼以ナミちゃんとハサミの海底バスに乗りに行きました

[06/03] 司狼パウリーくんは蒼以ナミちゃんの前から去りました

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