
58冊目 翼―cry for the moon(村山 由佳)
幼い頃に両親から受けた傷を抱えながらアメリカで生きる主人公・真冬。
様々な困難や悲しみに遭遇しながらも、夫リチャードとの出会いや、インディアンのブルースとの出会いを通じて少しずつ成長していく。
日本では居場所がなく、アメリカに来ても、やはりアメリカ人ではない真冬。
インディアンと白人のハーフとして生まれ、そのどちらでもない自分にとまどうブルース。
2つに引き裂かれた心の切なさや苦しみが痛いほど伝わってくる。
そしてそれを包みこむインディアンの言葉達。
読み終わった時、じーんと心に響く一冊でした。
パンチド・フェイスという犬のシーンはなんとも…せつなかったです。
俺たちはこの大地から生まれて、死ねばここに還り、別の命を育てる。ふだんはっきりと意識していようがいまいが、そういう思いは、俺たちインディアンが生きる希望さえ失った時の最後の支えになっている」
「多くの人々は、闇の中で一生を終わる。中にはまわりが闇であることに気付かない者もいる。いつか光が照らしてくれるのをただ待っている者もいる。だが……もちろん別のやり方もある。わしらは−そうしようと思えば−自分から光のほうへ向かって行くこともできるんじゃよ」
「子どもを育てるのは、大仕事じゃよ。大勢の大人の手が必要になる。できるだけたくさんの人から影響を受けたほうが、ものごとを拾い目で見られる人間になるからな。しかし、もっといいのは、大勢の子どもの中で育つことじゃ。大人が教える何倍ものことを、彼らは友人から教わる」