序章1

January 17 [Mon], 2011, 20:32
―――――遠い昔の記憶。

私は、暗い場所で泣いていた。

誰も居ない場所で、一人きりで。




―――――――――――――――――――――――――




―――――遠い昔の記憶。

俺は、一人っきりで泣いていた。

自分の嗚咽だけが響く、暗い場所で。





―――――――――――――――――――――――――

この辺りで有名な進学校、桜羽学園。

小・中・高一貫のエスカレーター式エリート校。




桜羽学園の制服を身にまとい、

スタスタと足早に早朝の道を歩む。




エリート校の桜羽学園。

その桜羽学園で、成績トップの一人の女が居た。
      
      みずたにゆりか
彼女の名は、水谷百合歌。

去年の春―――。

高校から入学した百合歌は、首席でこの学園に入学した。

高校一年の百合歌は、校内で一番頭が良かった。

しかし、彼女はどんなに良い結果が出ても、

決してにこりとも笑うことはなかった。



「アイツ、俺達に喧嘩でも売ってんのか?」

「いつも満点とってるくせに、何よ。あの不満そうな顔。」



成績優秀な彼女は、今までトップをとっていた人々に、嫌われた。

スポーツ万能な彼女は、運動部の人々に、悪口を言われた。

容姿端麗な彼女は、今までチヤホヤされていた女子達に、いじめられた。



「ここでもそう。私はどこに行っても。」



















―――――――――幸せを掴むことは許されない。













胸中で、そう呟いた。















―――――――――――――――――――――――――

この世界では有名な、鬼赤家。

約千年から続いている鬼の一族。

しかし、現在に至るまでに人間と交わった鬼が居た。

それからというもの、徐々に鬼の血は薄められていった。

そんな鬼赤家は、東西南北ある鬼の一族で一番規模が広い一族であった。
          
         きせきりょうえい
現在の鬼赤けの頭領は鬼赤  涼影。

一族の中で、一番血の濃い鬼。


いや、正確にいうと「一番血の濃い鬼だった」。

彼の子は三人。

皆男だ。



その末の子――――――

きせきまとら
鬼赤 誠虎は、父・涼影を上回るほど濃い鬼の血をひいていた。

次期頭領として、大切に育てられた誠虎は、兄達の妬みをかった。


「父さんも母さんも、誠虎ばかりにかまって…。」

「誠虎なんか生まれてこなければ良かったんだ。」






「ねぇ、父さん。僕は生まれてきちゃいけなかったの…?」

「僕は、いらない子なの?」


幼い我が子の問いに、涼影は答える術を見つけることは出来なかった。




無言を決め込む父に何を思ったか。

誠虎は鋭く眼光を光らせ、

幼子とは思えぬほど底冷えした声音で、こう呟いた。

「そうか。やっぱりそうだった。」

「この世界に俺はいらない。いらないいらないいらない。」

                 おまえ   
「俺も、兄さんも母さんも。そして、父さんもだ。」


―――――ああ、やはりそうだった。




心のどこかでは、違っていて欲しい、と願っていたのかもしれない。
                   ・ ・      ・ ・
しかし皮肉なことに、自らが予想していた真実は紛れもない真実だった。

いや、予想を上回るほど残酷な現実であった。




「…どうして、俺を鬼なんかに生んだの?」




薄暗い静寂に満ちた部屋で、幼き少年の呟きだけが響き渡った。

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