世界はきっと君を愛してる   坂田

August 31 [Tue], 2010, 14:41
先輩の細い腕を包んでるブラウスの上の腕章が、今年になって俺に引き継がれた。
先輩が毎日ずっとつけてた赤い生徒会長の腕章は、俺が生徒会長に入った時からの憧れだった。
もともと、俺が生徒会に入るなんてガラな事じゃないし生徒のために何かできるほどの力も脳もない人間なのに、
俺は、俺より一つ年上の生徒会長がすきだったから、生徒会に入り副会長に就任した。



先輩はとても優しくて頭のいい人だったから、よく生徒会を訪れる人に告白なんてされていた。
先輩は美人だし、学校一のモテっぷりで。でも先輩の隣を歩く男は生徒会で一緒に仕事をする俺しかいなかった。
俺はそれが嬉しくてうれしくて仕方が無かったんだ。先輩を独り占めにできるなんて、幸せだったんだ。
でもよ、でも先輩が俺みたいに誰かのことを好きなんて言うんだったら俺はどうすればいいんだろうか?





やけに夕焼けがきれいで生徒会室の窓から入る下校時刻前の景色と先輩と2人きりの密室で、俺の心臓がバクバクして、シャーペンを持つ手が震えてて、顔がやけに熱くて、目の前の用紙の字が霞んで見えなくなっていた事。
先輩の声がきれいで透き通っていて俺の耳にはもったいない美声がつららかと生徒会室を埋めてゆく。
幸せそうな顔をしてる先輩の顔を見るのが俺の幸せで、先輩の泣いてる顔を見るのが俺の悲しみになる、
「坂田君、」先輩が俺を呼んでくれた。嬉しくて声が震えたけど はい とちゃんと返事が返せた。
俺の返事を聞いてから先輩はにっこりと口角を上げてから、両眉をへの字に下げて涙を流したんだ。
持っていたシャーペンはするりと俺の指から滑り落ちて音も無く床に落ちる。先輩が泣いた、泣いた。
急いで先輩の背中に手をやり、ゆっくりさすってあげるとしくしくと哀しい泣き声が、俺のすぐ隣で聞こえる、
ポケットからハンカチを出して先輩に差し出すと ありがと と涙ぐんだ声が耳に届く、






「わたしね、恋してるの」






誰にですか?って聞くのが怖くてそうなんですかと俺の悲しい声音と心臓あたりが痛くて苦痛な思いが揺れる、
先輩が幸せそうな顔したり、今こんなに泣いたりしてるのは全部その人の力なんだなあと思うと羨ましくて恨めしくて。
その人が居るから、今までいろんな人に告白されてもごめんなさいと頭を下げてたんだなと、きづく。



「ありがとう、坂田君。」




先輩が大粒の涙をこぼしながら、さっきのようにニッコリと笑う。俺はにっこりとは笑えなかったけど、笑った。













「わたしの腕章も気持ちも全部、君に受け継いでもらう」


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