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王城記 (2010年06月05日)
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消えてみる / 2013年05月16日(木)
 消えてみることにした。
 いつもと変わらぬ朝食を終え、目覚めてすぐに淹れてもう冷めかけたコーヒーを半ばまで飲んでカップを置いてから、俺は消えた。
 開いて今朝のニュースを確認していたPCも、見もしないのに点けっぱなしのテレビのワイドショーもそのまま。
 時刻は午前8時32分。初夏。
 半分だけカーテンを開いた窓から差し込む陽射しはすでに強く、暑い日になりそうだった。
 もう一ヶ月近く続いている近所のビルの解体工事が今日もまた始まり、昨日とはまた違う破砕音が聞こえてくる。
 
   
Posted at 08:38/ この記事のURL
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結末 / 2012年09月28日(金)
 人類は滅亡した。
 空一面にスタッフロールが流れ始めた。
 
   
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王城記 / 2009年10月09日(金)
 初陣だった。
 
   
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英雄が多すぎる / 2009年04月07日(火)
 二週間ぶりに自宅に帰り着いてシャワーも浴びず食事もとらず懐かしき独り寝専用ベッドに倒れこんだ途端、鞄の中の携帯が鳴った。
 すでに半睡状態だったが、条件反射で、出た。
「よかった。まだ寝てなかったか」室長だった。「今すぐ戻ってくれ」
「うああ」明瞭な言語で応えることは出来なかった。
「動けるのはお前だけなんだ」切羽詰った声は続いた。「高田はまだ入院してる。遠山はトイレに篭ったきり出てこない。小此木と内村は2時間前に休憩に出たきり戻らない。あ。あいつらまさか。そうか、そうだったのか!」
 次第に声が遠ざかり、睡魔が戻ってくる。眠りたい。眠りたい。
「七星!七星!」彼方から呼ぶ声がする。「眠っちゃ駄目だ!」
 
   
Posted at 04:27/ この記事のURL
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沼童 / 2008年07月26日(土)
 ぽちゃん、と水音がした。
 振り返ると、背後の水面にゆっくりと広がっていく幾重もの同心円。その下に、ゆらりと深みへ消えていく魚の姿が見えたような気がした。
 大学構内の広場中央にある小さな噴水池。その縁に腰かけて、僕はひとり昼食のサンドイッチをぱくついていた。初夏の昼下がり、広場を行き交う学生たちの足取りもどこかゆったりとしている。
 ミックスサンドを咥えたまま、僕は静止していた。
 水面と同様に心に広がっていく波紋に、知らず捉われていた。その中心に、何かがある。いつの間にか忘れていた、しかし本当は忘れてはいけなかった、何か。
 そう、5年前だ。
「高瀬くん」
 僕を呼ぶ声がした。購買へ向かう1階の渡り廊下の途中で、足をとめる。声の主に心当たりはあったが、姿が見えない。
「こっち、こっち」
 2度目でやっとグランドのほうからだと気付き、僕は木陰に立つ並木里香の姿を捉えた。その両脇に、他2名。男なんか知るか。
「よ」
 僕は応え、渡り廊下から踏み出した。上履きのままだが芝生だから気にしない。同類がそこかしこにたむろしているし。
「連休、どうするのさ」
 小柄な里香は近づいた僕の顔を下から覗き込んで、そう訊いた。口元がにか、と笑っている。お付きの2人も同じ表情だ。こいつら、揃って何か企んでやがる。
「特に予定はないけど」
「そかそか」そっけなくしたつもりの僕の返事に、笑う口がさらに大きくなった。「そいつはけっこう」
 がし、と僕は里香の頭を真上からわしづかみにした。ためらいはない。
「こら。今度は何を見つけた」
 問い詰める僕に対して両脇2名が臨戦態勢をとるが、無視無視。
「えへへー」わしづかまれたまま里香は笑う。「あのね、カッパ」
 僕は脱力した。
「一応聞いておこう。どこ」
「加倉井沼」
「川じゃないじゃん」
「細かい」
「河童は川だろ」
「細かいって」
 確かに。
「まあ、聞くだけは聞こう」ちびすけの頭をぽんぽんと軽く叩いてから離し、僕は言った。「ソースは?」
「親戚のおっちゃん。ゆうべうちに遊びに来てたの」
「信頼性は?」
「かなり酔ってた」
「駄目じゃん」
「でも、嘘はつかないひとだよー」里香は慌てて言った。「証拠だって見せてもらったし」
 
   
Posted at 21:57/ この記事のURL
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空とキャラメル / 2008年07月02日(水)
「お疲れ様でしたー」
 次のシフトで入ってきたバイト仲間の声に送られて、俺は店を出た。
 伸びをしながら、空を仰ぐ。
 満天の星。田舎道に面したコンビニだから、遮るものはない。北斗七星がくっきりと見えた。
 店裏手に停めておいた愛車に跨り、県道を走り出す。
 真夏の夜。月は昇ってきたばかりだ。
 長い直線にさしかかり、速度を上げる。
 暑気をはらんだ風が耳元で鳴る。
 遥か前方で誰かが呼んでいるような気がする。
 その声に吸い込まれるように走り続ける。
 左への緩やかなカーブが迫ってくる。
 呼んでいる。呼んでいる。
 カーブの向こうには、夜空。
 俺はスピードを落とさなかった。
 ガードレールへ一直線。
 激突する。
 宙に飛ぶ。
 視界いっぱいに星空。
 星の間に、俺は溶けていく。溶けていく。
 空へ、空へ。
 さよなら。
 
   
Posted at 00:15/ この記事のURL
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鏡のない家 / 2008年04月19日(土)
 枯れ果てたなだらかな丘を登りきったところにその家はあり、そこにその男は住んでいる筈だった。
 斜面を這う小道を吹き荒ぶ北方からの風に晒されながらひた歩き、彼はその家へ向かっていた。灰色のロングコートの下には猟銃。一足進むごとに彼の心を代弁するかのように銃口を揺らしている。
 古びた家だった。近づくにつれ外観の詳細は荒廃の度を増していく。とても誰かが住んでいるようには見えなかった。
 だが、奴はいる。必ずいる。彼は自分に言い聞かせる。重くなろうとする自らの足取りを急かす。
 夜には窓辺に明かりが点る、丘の遥か下にある小さな町で確かにそう聞いた。低く顰めた宿の主人の声が耳によみがえる。
「あの家へ行くのか、あんた」年老いた目に怯えの色があった。あの男について誰かに尋ねるたびに見てきた色だ。「止めても無駄なんだろうな」
 答えずに彼は宿を後にしてそのまま丘の上を目指した。
 家の前に立ったとき、日はすでに落ちようとしていた。コートの上から猟銃の存在を確かめ、その手で彼はドアを叩いた。3回。
 応えが返ってくるまでの時間は、永劫であり刹那だった。
「……どなたかな」
 しわがれた、そして重々しさのある声。奴ではない。
 返事をせずドアを蹴り開け、彼は家へ踏み込んだ。足元で、腐りかけた床板が悲鳴をあげた。銃はすで取り出し、窓辺にある人影へ向けていた。
 揺り椅子に深く腰掛けた、老婆。度の強い眼鏡の奥から咎める目つきで、彼を見つめていた。
「奴はどこだ」
「これはまた物騒な客だ」彼の問いには答えず、老婆はゆっくりと手を伸ばして窓辺のランプに灯をともした。彼女の影がゆらり、と部屋全体を覆った。
「奴はどこだ」彼は繰り返す。
「おや、見えないのかい」老婆の声がからかいの色を帯びた。「その荒んだ目は飾りかね」
 彼は発砲した。
 老婆の姿が椅子ごと四散した。蝶の群れのようになった破片が部屋中へと広がってゆく。
「撃った」「撃ちよった」「撃ちやがった」宙に舞う破片のそれぞれが老婆の声を発した。「見えてない」「見えなかった」「見えてなかったんだ」
「貴様なのか」彼の声には驚きがあった。
「そうだよ」破片が一斉に彼の眼前に集まり、宙に浮く少年の形になった。「僕だよ」
 即座に撃った。
 飛び散る少年。欠片は再び集まり、床に胡坐をかく壮年の男になった。
「気の短いことだ」男は嘆息した。白いものの混ざった長い顎鬚を右手で撫でる。
「殺しに来たわけじゃない」銃を下ろして彼は言った。「そもそも、貴様は死なない」
「死ななくとも痛みはあるさ」
「心にもか?」
「心?」男の口元に笑みが浮かんだ。「さあな」
 その表情を見て彼は確信した。今、目の前にいるのが、奴だ。
 ついに見つけた。
 堪えきれず、笑いがこみ上げてきた。
「そうか。そんなに嬉しいか」男が言った。「自分の死が」
「ああ」彼は答える。「ずっと捜していた」
「では、望みのままに」
 男はうっそりと立ち上がり、彼に歩み寄った。
 右手を上げ、眼前にかざす。
 世界が暗転した。

 永い時が過ぎた。
 枯れ果てたなだらかな丘を登りきったところにその家はあり、彼はそこに住んでいた。
 毎夜、窓辺に明かりを灯す。
 いつか訪れる、次の自分を迎えるために。
 
   
Posted at 21:34/ この記事のURL
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報告会議 / 2008年04月11日(金)
「一事が万事我々の思惑通りに進捗しております」
「計画の存在に、彼らはまったく気付いておりません」
「自分たちの意思によるものだと完全に思い込んでおります」
「百害あって一利なし、だそうです。ぷぷ」
「マナー違反が目に余る、だそうです。ぷぷ」
「とにかく嫌い、だそうです。ぷぷ」
「うむ、経過は良好であるな。よし、解散」
 黒幕たちは情報の海へと散っていく。
 
   
Posted at 21:49/ この記事のURL
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吉報 / 2008年02月25日(月)
「ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン」
 けたたましいドアチャイムの連打に俺は叩き起こされた。枕元の携帯を取って時刻を見ると午前2時。布団に入って寝付いてからまだ1時間ほどしか経っていなかった。
 誰だ誰だ。布団から出るべきか否か俺は迷った。
「ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン」
 迷っている間にもチャイムは鳴り続けた。仕方なく俺は起き出し、インターホンの受話器をとった。
「はい、どなたですかー」我ながらひどい寝ぼけ声だった。チャイム連打はそれでおさまったものの、返事がない。俺はもう一度言った。「どちらさまですかー」
 やはり返事はない。
 いまどきこんな時間にピンポンダッシュ、酔っ払いの仕業か。俺はうんざりしながらドアへ向かい、のぞき穴から外を見た。
 猫が立っていた。
 あ、巨大な直立二足歩行猫だ。
「ってかあれ着ぐるみだから」俺は自分に突っ込みを入れつつ、ドアにごん、と頭突きをした。
 のぞき穴から見えたのは、猫の扮装をした女の満面の笑みだった。ニコニコニコニコニコニコ。茶虎だったな。
「ってか意味わからない」もう一度、ドアにヘッドバットをかました。ごん。
「こんばんわー」返事が聞こえた。底抜けに明るい声だった。「こんばんわってばこんばんわー」
 俺はその場にうずくまって頭を抱えた。痛かったせいもある。
 なんなんだ、この状況。
 ロックを外し、ドアを開けた。ついかっとなってやってしまった。今では後悔している。
「間に合ってます」すかさずそう言ってみた。
 無駄だった。
「おめでとうございますー」猫女は俺の言葉など聞きもせず声を高々と張り上げた。あ、八重歯だ。じゃなくて。
「何が?」
「革命は成就しましたー」
 俺はドアを閉めた。付き合ってられるか。
「ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン」ああもう。
 布団まで駆け戻り、頭から潜り込んで両耳を押さえた。
「ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン」まだ聞こえる。耐えろ、耐えるんだ俺。
 声に出して素数を数え続けてみた。
 331まで来たところでようやく静かになった。
 俺は布団を出たが、ドアまで行って外を確認するのがいやなのでそちらへは向かわず、とりあえず音が欲しくてリモコンを取ってTVをつけた。
 猫が並んで映っていた。
「……繰り返します。昨夜午後10時過ぎ、にゃんこクーデター発生により政府は転覆し、にゃんこによる臨時政府が樹立されました」
 報道セット中央の口ひげおっさん猫が生真面目な表情と口調でアナウンスしていた。
 なんてこったい。
 俺は慌ててクローゼットから猫の着ぐるみ一式を取り出すとすばやく着用し、夜の街へと駆け出していった。
 
   
Posted at 23:38/ この記事のURL
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通りすがり / 2008年01月01日(火)
 あの扉の向こうには何があるんだろう。
 散歩道の途中にある駐車場の奥の、高い塀の隅に作られた古びたドア。普段使用されている様子はまったくない。鉄製らしいそれは、すでにさび付いてしまっているがゆえの赤色なのかも知れない。
 日々の散歩にこの道を使うようになってからの歳月を考えるとすでに何百回となく通り過ぎてきたその場所で、今日、私は立ち止まった。
 わずかに開いているように見える。
 光の加減のせいだろうか、しばし目を凝らす。間違いない、手前に向かって数センチ、開いている。陰になっていてその隙間の向こう側の様子までは見ることはできない。
 扉を見つめたまま、午後早い住宅街の路上に佇む。晴れ渡った空の下、人通りのない町並みは真昼の静けさに包まれている。妨げるものは何もない、私はまっすぐに誘われている。
 ほとんど無意識に、私は扉へ向かう一歩を踏み出した。駐車場に敷かれた砂利が足の下で小さな音を立てる。
 月極スペースに停められている二台の乗用車の前を通り過ぎた。ちらりと視線をやったが無論誰も乗っていない。この時間、10数台停められる駐車場の埋まり具合はいつもこんなものだ。
 近づいてみると、奇妙な塀だった。
 コンクリートブロックを積み上げたもので、高さは3メートルほどある。地上から2メートルあたりまではかなり古びてくすんだねずみ色だ。その上にさらに1メートル、こちらはそれほど時を経ていない真新しさのあるブロックが重ねられている。遠目で見ていたこれまでは装飾的なものだろうと思っていたのだが違うようだ。いつ頃、どういう事情が塀を高くさせたのだろう。
 扉へ向かう私の足取りは知らず慎重なものになっていた。
 ゆっくりと近づきつつ、隙間に目を凝らす。
 塀と扉の間に出来た細長い空間には、暗闇しか見えなかった。
 湧き起こるためらいに抗いながら、赤錆に覆われたドアに手をかけ、好奇心に任せて引いた。予想していたような軋み音は一切せず、ドアはすんなりと開いた。
 眼前に広がった光景に、私は唖然とした。
 そんな馬鹿な。ここは閑静な住宅街の只中ではなかったのか。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
 予期せぬ歓迎の言葉を次々に浴びせられながら、私は扉の向こうにあらわれた景色に目を奪われたまま立ち尽くしていた。
 そこはまさしくパーティ会場だった。
 きらびやかな正装を身にまとった沢山の人々。豪勢な食事を盛り付けられたテーブルの数々。一面芝生に覆われた広大な敷地がそれらでひしめき合っている。
 客たちはそれぞれに歓談しているようだが、会場全体を満たしているムード音楽のせいで低いさざめきにしか聞こえない。高い塀は、外界にそれらの音が洩れるのを防いでいるのだろう。
 私のすぐ前に、ボーイ姿の男たちが立ち並んでいた。まるで私を待ち構えていたかのようだ。全員が、まだ塀のこちら側にいる私をにこやかに見つめている。
 私は困惑した。扉の向こうに踏み入るべきか、早々に立ち去るべきか。
「あなた様をお待ちしておりました。どうぞ、お入りください」
 責任者らしき男がすばやく目の前にやってきて、言った。
 その言葉に突き動かされ、私は扉の向こうに足を踏み入れていた。
 低いさざめきが、止んだ。
 会場中の数多の視線が、私に降り注いだ。
 私は、知った。
 パーティの主賓は、私だったのだ。
 ながねん野良猫をやっていると、こういうこともある。
 
   
Posted at 23:54/ この記事のURL
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