逢いたいD 

2005年08月06日(土) 17時41分
「あのさ、俺考えてみたんだけど…」
拓希がベッドサイドに寝転がって天井をみている
「ん〜?どうした??お前の考える事なんて猿以下なんだから……」
「ちょっと真剣に聞いてくれたっていいだろ??」
むっと拓希が眉を寄せる。拓希はバリバリのスポーツ派で、勉強は出来ないし、はっきり言って…たいしたイケメンでもない
でも真剣な拓希の顔はなぜか格好いいと思う
「ゴメン…で、なに??その猿以下の脳みそで考えた事って…」
「輪廻転生だよ」
ぴく、とはるが反応する。ゆっくりとベッドの上で身体を起こし、瞳にはまたあの妖しい光が宿っていた
「輪廻…転生…??」
「ホラ、あの〜…つまり、生まれ変わり…ってやつ??」
なにを言い出すんだ、こいつは「拓希…どういう…」
「だ・か・ら…昭二さんは他の誰かに生まれかわってんじゃないかってこと!!」
なるほど、おバカな拓希にしてはいい考えかもしれない
「でもさ、そんな『生まれ変わる』なんてことホントにあるわけ??」
わたしはベッドに腰掛けてはるをみる。はるはじっとわたしをみていた
「……はる??」
「あるよ。そんなこと」
はるはフッと笑う。いつもとちがう妖しい笑み
「凛、あなたはわたしの生まれ変わりじゃないの」
一瞬なにを言われたのかわからなかった。じわじわと言葉が脳にしみてきて…
「はぁ!?」
「あなたの身体はわたしの肉体 そのもの よ。あなたが生まれてくるとき、わたしは幽体離脱して『凛』の魂を身体にいれたの」
「ど、どういうことだ??」
拓希がガバッとはるをみる。バカは理解するのにも時間がかかるようだ
「凛、あなたはわたしの妹…文に『あなたは死んだわたしの姉さんにそっくりだ』と何回も言われてきたはず…だってそっくりにきまってるじゃない…
あなたは、わたしなんだから……」

こんなことって、ホントにあるのだろうか……

逢いたいC 

2005年08月06日(土) 17時39分
04.焦

「ただいまぁ ちゃんと掃除してくれた??」
部屋をみると、さっきまでの散らかりようが嘘のようだ
はるはベッドの上にうつ伏せに寝ころび、足をぷらぷらさせて雑誌をよんでいる
「おかえりなさい。ちゃあんと掃除しておいたよ」
「さすが、はる」
「わたしは花嫁修行してたんだから、このくらい当然!」
そっか、と笑ってみせた
はるは戦争が終わったら昭二さんと結婚するはずだったんだよね……
いまでは16歳で結婚なんてあんまり聞かないけど
「昭二……はやく逢いたいな……」
「なんかさ、昭和ヒト桁っていうと、すっごく厳しいイメージなんだけど…
昭二さんは厳しい人だった??」
「全っ然!!お父さんは厳しい人だったけどね。普通は『さん』付けしてなかったら『女のくせに!!』って殴り飛ばすのが男だったけど。昭二はある意味変わっていたね。優しくて、おもしろいひとだったんだよ」
昭二さんについて話し出すとはるはどこか遠い目をする
そして、のろけばっかりだ(ワラ)
「昭二、どこにいるのかな……わたしのこと、探してくれてるかな……」
昭二さんは空襲の後、遺体さえ見つからなかったそうだ
自分の恋人と死に別れるってどんな気分だろう
遠くに馳せたはるの瞳からは読み取れない何かがあった

ピンポーン…ピーンポーン……

「げ、誰か来た」
わたしは慌てて戸口へ向かった
ガチャ、と扉を開けると、そこには私のカレシ(一応)拓希が立っていた
「なんだ、拓希か」
「なんだとはなんだ。凛、今日の飯もヨロシク!」
はあ〜、と深い溜め息を吐く。いつもいつも、飯目当てに来るなよ!!
と、言いたいのをこらえて……
「どうぞ、上がって。今日はカレーにしようと思っていたんだ」
「おお、カレーか!久し振りに食べるな〜、カレー」
まるで子供みたいにはしゃぐ拓希をチラッとみて思わず笑みが零れる
きっと、はると昭二さんもこんなふうだったんだろうな……
「よう、はる。そのノースリ似合うじゃん?」
「拓希か、なぁーんだ」
「俺じゃなきゃ、誰がよかったんだよ」
拓希の冗談交じりの苦笑ははるの寂しげな、ある意味恐ろしい表情によって打ち砕かれた
「……そんなの、昭二に決まってるじゃない」

拓希もわたしも、どう答えていいかわからなかった……
……はるはいつもいつも、昭二さんを待っているのだ

逢いたいB 

2005年08月06日(土) 17時38分
03.凛

いま、わたしは霊と暮らしています
江戸口凛
どこにでもいそうな高校生だ
居候の名前は江戸口はる…ルームシェア1年目です

「ねえ、凛。烏龍茶きれてるんじゃない??買ってきてよ」
「あら、そう。じゃあ、部屋の掃除しておいて」
「了解」にこやかに笑ってはるはわたしに手を振る。
「いってらっしゃい」
「大人しくしてなさいよ すぐ帰ってくるから」
幽霊と暮らすのもいろいろとたいへんだ
だって、幽霊でも立派にご飯は食べるんだから… 
はるは昭和ヒト桁生まれだっていうのに、古くさい考え方じゃないし、むしろ新しいことに興味津々だからおもしろい
よく考えればはるのほうが年上なのにわたしのほうが姉みたいだ
マンションの目の前にあるコンビニで烏龍茶とWATERING KISSMINTを買ってコンビニを出た
夕焼けの空がきれいだ ふとはると出会った日のことを思い出した
彼女と会ったのは1年前(わたしが見えるようになったのか?)
彼女の最初の言葉が忘れられない

凛、わたしと一緒に昭二を探して……

逢いたいA 

2005年08月06日(土) 17時37分
02.空

1945年3月9日

配給所の裏をすこし行くと小さな空き地があった

そこがはると昭二の待ち合わせ場所

「昭二、こっちよ」
日陰になったところに石垣があって、はるはそこに座っていた
「遅くなった、ごめん…」
口元を上げて笑う顔はいつもより元気がない
「どうしたの…昭二…?」
「…また友達が死んでさ、ああ〜もう何人目かな…」
昭二はどかっと石垣に腰を下ろす
木漏れ日が彼の顔にかかって風とともに揺れた
「戦争なんて、早く終わってしまえばいいのよ」
「じきに終わるさ、もう日本の負けだ」
昭二の声は少し苛立っているようだった
ほとんどの人は日本が負けるなんて考えていないから、昭二のような考え方は珍しい
昭二は近くに落ちていた木の枝で「はる」と丁寧に書いた
はるはその枝を手にとって「昭二」と自分の名前の隣りに書く
少しでも彼の不安を消してあげたかったから
「はるは字が上手いな」
「そうかしら、昭二に褒められるの、嬉しい」
くすくすとお互いに笑い合う
昭二に笑顔がもどってよかった
こんな他愛もないお喋りが今は一番幸せ…
「あ、おい。俺のオヤジの前では『さん』付けしてくれねぇかな…
うるさいんだ、うちのオヤジ」
「わかったわ。お父さん厳しい方だもんね」
昭二はやんわりと笑うはるを可愛いと思った
戦争が終わったらずっとはると一緒だ……そう思うと胸が高鳴った

…空が青かった……

雲の間に明日への希望が見える気がした
戦後のはるとの生活を青い空に描きたかった……


逢いたい@ 

2005年08月06日(土) 17時34分
01.死

1945年 3月10日
わたしは東京の空襲で命を落としました
頭上にはB-29が飛び交い、家は炎に包まれ、道には焼け焦げた死体が転がっています
わたしは小さい妹の手を引いていましたが、途中ではぐれてしまいました
やっとの思いで近くの川に辿り着き、人混みを掻き分けて川に飛び込みました
流木にしがみつき、夜が明けるのを待ちました 3月の寒い気温と川の冷水で足が麻痺しています…
わたしが次の朝を迎えることは二度とありませんでした
わたしの遺体は次の朝、川の底で発見されました

わたしが最後に逢いたかった人もこの東京大空襲で亡くなったそうです

わたしはいまでもその人を探しています…60年経ったいまでも………

祝NOVELサイト開設 

2005年08月06日(土) 17時30分
那豊で御座います!!
このたびNOVELをサイト開設いたしました
主に恋愛系を書きたいと思います
宜しくお願いします(≧∪≦)
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