用事を済ませた後
友達との待ち合わせまでに予想以上に時間が空いた。
連絡を入れると どこにいる?という話になり
結局 その友達との待ち合わせ場所が
目印に告げた国道沿いの目の前のファミレスになった。
時間が遅いのにそれなりに人がいる。
22時がすぐそこなのに フォークを握って持つような小さい子供が
もぐもぐとハンバーグを食べていたりして へぇ と思う。
一番奥の席に案内された。
座りながらメニューを指してコーヒーを頼む。
そういえばここは適度に騒がしくて
適度に人がいて
適度に放っておかれる場所だったと思い出す。
仕事しようか 資料見ようか ただぼーっとしていようか考えていたら
斜め前に女の人がひとりで座っていた。
テーブルの上は食べ終えたらしい皿と食べかけらしい皿が数枚。
さっき通りすがりに見かけた子供みたいに もぐもぐと口が動いてる。
ずいぶん前に同じような光景を見たことがあって
一瞬 混乱。
同じ人なのかもしれない けどわからない。
運ばれてきたコーヒーを啜って
鞄の中から 真剣には目を通すつもりのない資料の束を出した。
女の人が食べ続けている。
華やかとはいえない服装の
華やかとはいえない女の人。
果物がたくさん乗ったデザートが運ばれてきても顔を上げず
黙々とフォークを口に運び続けている。
じっと見ているわけではないけど なんとなく気になる。
ほどなくして
じゅうじゅう煙をあげた肉の塊がワゴンで運ばれてきて
まさかなーとちょっと顔を上げたら彼女のテーブルに置かれた。
細くて長いスプーンを器用に使っていた手が
ナイフとフォークに伸びてキコキコと肉を切る。
口をもぐもぐ動かして 肉を口に運んだフォークが
今度はパスタをぐるぐると巻く。
そして口に運ばれる。
メニューを片っ端から注文したみたいに
それからも幾つかの料理がテーブルに運ばれていって
数枚の皿が片付けられ また空いた場所に皿が置かれる。
どう考えても尋常じゃない数の料理を
ひたすら食べ続ける女の人。
早くもなく遅くもなく ひたすら淡々と詰め込むように
メインもデザートも順番お構いなしにただただ食べ続けている。
確かに結構な量が入りそうな体ではあるけれど
いくらなんでももう満腹だろうと思った頃
山盛りのフライドポテトが僕の横を通り過ぎて行った。
ころんとした指がまた動き出す。
二杯目のコーヒーを頼もうかと思った頃に友達が「よぉ」と現れた。
僕らが店を出る時もその人はまだ食べていた。
目を伏せて
ただひたすら黙々と次々と皿の上の料理を。
ひとりで食べなきゃ意味がないのかもしれない。
自宅じゃなく人前で食べる意味も本人にしかわからない。
だけど 楽しい食事にはどうしても見えなくて
全身から漂ってくる頑なな雰囲気が苦しげで
感じていないはずはない好奇の目に晒される事も
まるでひとつの目的みたいに見えて
俺 この人の友達だったらよかったのになと思った。
実際友達だったところで何か出来るわけじゃないんだけど
でも
なんとなく。
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