こうの史代「ぼおるぺん古事記・地の巻」を読む

October 25 [Thu], 2012, 12:18
地の巻は、大国主垂して、大穴牟遅垂して、他にもいくつかの名を持つ、要するに、オホクニヌシが主人公になる。
オホクニヌシは、数々の試練を乗り越え、この地の王となり、各地のヒメたちと浮名を流し、高天原の吹Xに国を譲り、出奄祀られる。
このあたりは、まあ、誰でも知っていることだが、いざ、マンガとして描かれると、絵の強さによって印象がずいぶん異なる。
心優しいオホクニヌシがヒメたちにモテモテであるとき、言葉だけで読み流すと、オホクニヌシの魅力や威光という目線で見ることになるが、その背後に怒り、苦しみ、悲しむ女性たちの姿を描き込むと、オホクニヌシの節操のなさが印象付けられる。
また、国譲りの場面も、言葉では、偉大な高天原の吹Xにオホクニヌシが伏したと読めるが、絵にすると、繁栄しているオホクニヌシの国に突然やってきた高天原の勢力が武力で国を奪い取ったとしか見えない。
さらに、こうの史代の絵の力を感じさせるのは歌の場面だ。
オホクニヌシがヒメたちと歌を交わす場面は、突然、カラーになる。
といってもぼおるぺん古事記なので、使われるのは色つきボールペンのみだ。
しかも、赤青緑黄紫という限られた色しか使っていないにもかかわらず、そこから描き出される色彩が実に豊かなのだ。
線の間隔やかけあみの違いによって色の濃淡を変えてみたり、複数の色の線を重ねることや、隣に別の色を置くことで、色にも変化をつける。
これまでも、こうの史代についてはカメラの位置の自由さについて、つまり、どんな角度からでも人物やモを表現オークションちゃんねるする力があると言われていたが、色彩についても、限られた34色のボールペンの線だけで、色や明暗を的確に表現するだけの力を見せつけてくれたということだ。
そして、これだけの表現をするには、試作も含めて相当な苦労があるだろうとは思うのだが、実は、こうの史代は、手間のかかる仕事を丁寧に仕上げることに、無上の喜びを感じているのではないかなどとも思ってしまったのである。
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