桔梗の狗 3 

August 27 [Wed], 2014, 23:00

妖共が
咎人の頭をくわえ飛び
本殿へ戻ると
同じくして
幾多もの鳥居…地の極は
青年の眼前で
音も無く
夜に散った

「ふ…」
青年が溜め息をつき終わらぬうち

彼の左胸は
黒く鋭利な刃先に
貫かれ
彼の胸と唇からは
大量の血液が溢れる

「…けほっ
雛月ちゃん
僕を待っててくれたんだねぇ
やっと
狗としての自覚が出てきたかぁ
…偉い、偉い…」

「待ってましたよ
桔梗さんを殺す為
、ですが」

酷く冷たい鈴声は
先程まで
仕込み杖で
咎人の首という首を
撥ね飛ばしていた
少女であった


「でもね、
いまいち詰めが甘いんだよねぇ
そこが
雛月ちゃんの
可愛いところなんだけど」

千歳という少女に貫かれた躯は
数秒後、
左胸に穴のあいた
白紙となった後
朱い炎を纏い
チリチリと燃え落ちた


「…チッ」
雛月と呼ばれた少女は
舌打ちし
杖に刃を仕舞う

「せーっかく
凄い可愛いのに
舌打ちなんてしちゃ駄目でしょ!」
桔梗と呼ばれた青年は
樹の枝に腰掛け
満面の笑みを浮かべていた。
その容姿は
鉱石的な
人形的な美しさであった


「桔梗さんごときに可愛いか否かの
判断をされたくないですね」
そう言うと
雛月は
振袖の懐から
ロリポップを出し
舐め始め
早足で歩を進めた

青年の名は
桔梗と言う
但し、偽名

少女の名は
雛月と言う
無論、偽名

そして
桔梗の「狗」である
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