コメニウス『世界図絵』

2008年10月31日(金) 20時43分


"Orbis Pictus" (Noribergae, 1746-1754) より

Joan. Amos. Comenii Orbis pictus, Renovatus et emendatus

筑波大学図書館が公開している『世界図絵』の彩色図版バージョンです。

まず著者について。ヨハネス・アモス・コメニウス(Johannes Amos Comenius、1592-1670年)はチェコ生まれの教育学者。モラヴィアのラテン語学校を経て現在のドイツのヘルボルン、ハイデルベルクの大学で神学などを学び、国に戻って教師となります。しかしプロテスタントとカトリックとの対立から火を噴いた三十年戦争によりプロテスタントであった彼は国を追われ、以後終生ヨーロッパを流浪しました。


コメニウスの思想の軸はスコラ哲学に由来する汎知論です。神、自然、そして人と人の営為に至る森羅万象のすべてには一定の理がながれており、この理の追求によって完全なる知が得られるという。さらに彼はその知が国を超えて人々にあまねく浸透することで、彼から妻子を奪ったあの忌まわしい戦争のない社会が実現できると考えます。


コメニウス自身も出たラテン語学校は、ばらばらの社会階層出身のばらばらの年齢の少数の子供たちが、片や教師の講義を聞き、片やテキストを暗誦し、また片や詩篇を歌いだすといった具合で、大勢の子供を教授するという面からは効率が良いとは言えないものでした。そこで彼は同年齢の子供が同時に入学し、一人の教師が大勢の子供に同じ内容を教える、近代以降の学校制度の祖形を考案します。で、そこで用いられる百科全書的なテキストが『世界図絵』というわけ。


この版では本文が縦四列に区切られて、挿絵の説明がラテン語・チェコ語・ドイツ語・フランス語の四ヶ国語で記されています。世の中のことを学びながら外国語の勉強もできるという趣向ですね。「クジラはでっかいです。イルカは速く泳ぎます。エイはすごく変」てな感じで内容は初学者向けにいたってシンプル。・・・しかし鳥や獣にそこそこの量の章が割かれているのに、魚の章が淡水と海の二章しかないのが私には不満です。まあコメニウスは海がないチェコの出身ですからねー。魚類にはあまり明るくなかったのかもしれません。汎知を謳うわりにアンバランスな気もしますけど。

と、読んでて(というか眺めてて)気付きましたが、初版(1658年)の全154章に対してこの版には132章しか収められていません。八十年経って時代に合わない箇所がばっさり切られちゃったみたい。そこらへんには今度最初期の版を紹介するとき触れますね。本日は以上です。

bucz on deviantART

2008年10月30日(木) 23時37分

Leaving Eden

bucz on deviantART

deviantART や Flickr のようなコミュニティサイトからのエントリーが続くとなんだか手抜きをしているような気分になってしまう。別に全然構わないと思うんだけどねー。・・・と言いつつやっぱり気にしてる。

上の作品のモチーフに使われているのはトビエイのなかまのようです。ナルトビエイとかマダラトビエイとかあのへん。
トビエイのトビは猛禽類のトンビのトビ。顔つきやヒレがとんびに似ているということで。「海中をゆったり飛ぶように泳ぐ姿がとんびを思わせるから」って説明をたまにみるけど、それって水族館が出来てトビエイの泳ぐ姿を見られるようになって以後の誤解なんじゃないかな。トビエイの名前が出てくる江戸時代の書物が書かれた頃って、水族館も趣味のダイビングもないし、気軽に水中観察はできないから。
ちなみにトビエイは英語でも "eagle ray" と言います。和名と関係あるのかどうかは調べたことないのでわかりませんけど。


W

これはさかな関係ないけど気になった作品。逮捕時にぼこられちゃった容疑者の写真ですね。でも否応なしに幼児虐待を連想させられて、ユーモラスなのに少しぎょっとする。アイデア賞を差し上げたいです。

Birgitta Lopez

2008年10月28日(火) 23時48分

Deep Blue Sea


Lullaby

artisalma on deviantART
Flickr: artisalma's Photostream

スウェーデンのアーティスト。セルフポートレートやドローイングなどの素材を加工した作品を作ってらっしゃる模様。可愛らしいものから神秘的なものまで作品によって受ける印象は異なるので、上に貼ったのがツボにこない人でも見に行けばお気に入りが見つかるかも。 deviantART のトップにあるの(リンク)なんか私は好きです。

Bethany Marchman

2008年10月26日(日) 22時14分

For Gasper (2008)

Bethany Marchman

アメリカのアーティスト。更新休止中の別館に載せるつもりで以前からサイトをクリップしていたのだけど、ひさびさに覗いてびっくり。私の好きな傾向の作品が増えていました。古典バンザイです。


Bad Egg II (2007)

あ、この鳥はボスのあの!

サンシャイン国際水族館

2008年10月26日(日) 22時07分

サンシャイン国際水族館(リンク)のカージナルテトラ。クローズアップレンズ(Kenko AC CLOSE-UP No.3)使用で、ブログ用にトリミングしてます。元の写真をそのまま縮小したのは Flickr (リンク)に上げました。

18-50mm F2.8 EX DC MACRO は水族館に向いた良いレンズだけど、ここまで使ってきて不満がひとつでてきました。テレ端50mmはメダカのように小さな生き物を撮るには短すぎるのです。もうちょっと伸びれば、もうちょっと大きく見えれば、ファインダーで追ってピントを合わせられるのにって。

そのへんを補うべくクローズアップレンズというのを買ってみました。本来は最短撮影距離が長い交換レンズにむりやり近接撮影をさせるためのものっぽい。でも原理はレンズの前玉にルーペを被せるのと一緒だから、近接撮影がそこそこできる18-50mmに装着しても、被写体を大きく写す効果は得られるはずです。


これが生の18-50mmで撮ったネオンテトラ。


クローズアップレンズを付けるとこう。この大きさなら目玉を狙ってピントを合わせられます。動き早いし、被写界深度薄いしで難しいけど。

ちなみにお互いよく似たカージナルテトラとネオンテトラとは、お腹の赤い模様で見分けることができます。体の下半分が真っ赤なのがカージナルテトラ。対してネオンテトラは後ろ半分ぐらいしか赤くありません。・・・ってこれ、私もつい最近知ったのですが。以前 Shiho Arihara さんの作品を掲載させていただいたときも、両者を案の定取り違えてしまっています。(過去記事にリンク) 金魚的なさかなにはあまり興味がなかったからな〜。


外して撮った写真も少々。これはコブシメ、多分コブシメ。広い水槽に一匹だけなので、運が悪いと見逃すかも。もし見かけたらしっかり観察してみて下さい。このような茶色っぽい色から白色にぱーっと変わるところなどが見られてなかなか楽しいです。


サザナミフグのうえでくつろぐコクテンフグ。下のサザナミフグは乗っかられて気にならないのでしょうか。さかなの考えることはよくわからんです。

Irma Gruenholz

2008年10月25日(土) 7時43分

:: dePlastilina :: Ilustracion con Plastilina / Clay Illustration

さかなとり・・・と加賀千代女をぱくったフレーズが喉元まで出掛かってるけど、恥ずかしくなったので最後までは言わないでおきます。スペインの子もこの季節は網持ってトンボを追いかけるのかな?

海鰌図説

2008年10月23日(木) 22時18分



海鰌図説

海鰌というのはクジラのこと。図は上から背美鯨(セミクジラ)、さかまた(シャチ。これはかわいい)、つち鯨(ツチクジラ)です。

この資料を紹介するのは彩色図がなかなか素晴らしいというのもありますが、実はちょっと意外な人物が絡んでいるというのがあって。巻物の最初に「瀧澤文庫」の印、最後に「著作堂主人觧」とあります。「瀧澤文庫」というのは『南総里見八犬伝』などで有名な江戸時代の戯作者曲亭馬琴(滝沢馬琴、1767-1848年)の蔵書印、でもって「著作堂主人」というのは同じく馬琴の号なのです。馬琴は大変な蔵書家としても知られてるけど、こんな分野にまで手を伸ばしていたとはねー。改めて感心させられてしまいます。

そういえば馬琴とクジラにはこんな因縁も。寛政十年(1798年)、品川沖に長さ15〜18メートルもあるセミクジラが生きたまま漂着して大変な騒ぎになりました。見物人が引きもきらず、これを耳に入れた将軍徳川家斉が上覧を希望したため、縄をかけられて現在の浜離宮の沖まで引っ張られて行ったとかなんとか。その後衰弱死したクジラは解体されて江戸の町を潤し、頭骨が埋葬されて鯨塚が立てられました。
このクジラ人気にあやかって馬琴も『鯨魚尺品革羽織』(くじらざししなかわばおり、リンク)という黄表紙本を出しているんですね。併せて紹介したいところだけど、気力がわかないのでパスさせて。あのぐねぐね字を読む訓練をいつかきちんとやらないとだなあ。

今回紹介したような捕鯨関係の資料が見たい人は、過去記事「日本の捕鯨文化」(リンク)で紹介した九大デジタルアーカイブの「鯨絵・捕鯨資料」(リンク)というページに行くとよいです。幸せになれます。

海遊館

2008年10月23日(木) 21時45分


夜の海遊館(リンク)よりオニイトマキエイと、グルクマというサバ科のさかなの群れ。先立って神戸の須磨海浜水族園にも行ったので、海遊館に到着したのは午後五時前でした。この時間から閉館までは館内の水槽の照明が落とされます。夜間ならではの生物の行動ってのもそうそう観察できるものではないし、写真撮影にも向かないし、まあ暗い中で水族館の雰囲気を味わうための時間帯です。ていうかぶっちゃけカップル向け。


私が海遊館を訪ねるのは大抵こんな時間です。近くにマアナゴがいる須磨海浜水族園と姫路市立水族館があって、どうしてもそっちを優先してしまうから。ただ今回ばかりは明るいうちに訪ねなかったのを後悔しました。や、だってニシンの稚魚がいっぱいいたんですよ!なるべく明るい場所を選んでISO1600まで上げても上の写真程度の写りが精一杯。


ハナガサクラゲ。出口付近のクラゲホールと特別展会場だけは昼間と照明が変わりません。


特別展にいたカエルアンコウ(イザリウオ)のちょっと珍しい姿。もっとすごい口を開けている写真もあるけどブレブレすぎて表に出せない。一眼にしてから接写が下手になりました。コンデジと違って重い一眼レフはホールドし辛いんだよねー。接写のときって姿勢が苦しいし。ただコンデジは一眼に地力で劣るから、シャッターが切れるまでに相手が動いてしまったりするのだけど。どちらも一長一短ですね。

ちなみに特別展ではコツメカワウソを間近でがっつり見られます。いつまでやってるのかしらないけど、カワウソ好きは必見かも。

Yoko Tanaka

2008年10月23日(木) 20時04分

Maria and Peter in the Breeze

Yoko's Paintings

トビウオ!

日本で一般の大学を出たのち、アメリカのアートスクールで学んだ画家・イラストレーター Yoko Tanaka のサイト。そのまま向こうで活動してらっしゃるようで、日本では名前をあまり耳にしません。

姫路市立水族館

2008年10月20日(月) 21時57分

姫路市立水族館(リンク)とお別れしてきました。東京を朝発ってお昼頃に姫路着、で水族館に直行して閉館までじっくり。
なんでも建物の老朽化が予想以上に進んでおり、耐震補修のための予算が簡単には捻出できないらしいのですね。それで存続の目処が立たないまま、来月一日から無期限休館に入ってしまうのだと。・・・市内で移動水族館的な活動をする予定はあるといいますが、私のような違う地方の人間が姫路をぶらっと訪ねても、あの魚やカメや虫たちには会えなくなっちゃうんだよなー。ショックでかいです、かなり。


いちばん上に貼ったのはブロンズパファーという汽水域の小型フグ。糞が切れずにくっついちゃってます。次のはクロハコフグ。目玉のなかにもドットが入ってるよ。ありえない。
この二種は企画展「食べるだけがフグじゃない」で展示されていたもの。姫路市立水族館には何度もきましたが、特別展示室が開放されているのは初めてみました。これってやはり最後の市民サービスということなんでしょうか。いえ、閉鎖と決まったわけじゃないけど。


コロダイの若い個体。コントラストくっきりです。コロダイやコショウダイのなかまのこどもは成魚からは想像できないぐらいかわいい。姫路市立水族館にはこのコロダイの子がやたらいっぱいいるってイメージが私にはあります。



ピカピカ光ってかっこいいリュウキュウヨロイアジ(上)とオニアジ(下)。オニアジはサバ科のさかなのような締まったフォルムで、マアジと較べるとゼイゴがずいぶん長い。ひと時も休まずすごい速さで泳ぎ回っているので、ピントの合った写真が撮れません。これは最もましな一枚。

姫路市立水族館は本当にいい施設なんです。私が訪ねた日もペットとおぼしきカメを連れてきて、職員と話し込んでいる親子連れがいて・・・脇を通りざま聞くともなしに聞いたら飼育方法の相談をしているみたいで。こんなに地域住人と近い水族館なんてほかにはなかなかないでしょ。存続を決めてくれたら、今後は私姫路市に納税してもいいよ!といっても市の財政を潤すような収入があるわけないんだけどさ。

姫路市立水族館のタグ付けた大きな写真はこちらに。(リンク) 後日また別の写真を上げるかも。