ウリッセ・アルドロヴァンディ『怪物誌』

2007年05月31日(木) 23時33分


"Monstrorum historia" より

SICD Universites de Strasbourg - Patrimoine numerise - Monstrorum historia

上は奇形の魚とPiscis reticulatus(こんな魚知らない。直訳するとアミメウオ)との図版。

この『怪物誌』は16世紀の博物学者ウリッセ・アルドロヴァンディの下で描かれた多量の図譜から、お弟子さんが怪物的なるものを選んで編んだ本。内容は医学、民族学、歴史学、動物学、植物学など非常に多岐にわたっており、これ一冊眺めるだけでアルドロヴァンディが「ボローニャのアリストテレス」と呼ばれた訳がわかります。なんか言葉だけ聞くと微妙なスケールですけどね、「ボローニャのアリストテレス」って。


こちらは海のゾウ。ゾウアザラシじゃなくてセイウチ。


ついでにこれもセイウチ。海のお坊さん。


海のライオン。そうは見えないけどアシカなどの一種と考えられています。

西洋の博物誌を紐解いていると、こういう海のナントカカントカって、陸の生き物に喩えたネーミングがやたらと目立つんですよね。しばしば指摘されることですが、これには神が海と陸を分けて作られたというキリスト教的な世界観が深く関わっています。海も陸も等しく神が作られ、同じように生き物を満たされたのだから、陸にいるのと同様のものが海にもいるはずだっていう。

「水の子なんかいないって?じゃあどうして古の賢者たちは「地上のものはすべて水中に分身を持つ」と言ったんだろう。どこまで本当かはわからないけれど、これから聞かせることを君が信じるのなら、この話も信じていいんじゃない?陸に子どもがいるのだから、水の子がいてもいいじゃないか。水ネズミ、水バエ、水コオロギ、水ガニ、水ガメ、水サソリ、水トラ、水ブタ、水ネコ、水のイヌ。海のライオン、海のクマ、海のウマ、海のゾウ、海ネズミ、海のハリネズミ、海のカミソリ、海のペン、海の櫛、海の扇。そして植物では水草、水のキンポウゲ、水のノコギリソウ。なんでもあるよ。」
"The Water-Babies" Charles Kingsley (リンク)より拙訳

これはプロテスタントの牧師でもあった作家キングズレイが『水の子どもたち』(過去記事にリンク)のなかで鰓の生えた水の子の実在を説く一説なんですけど、まさしくこのノリです。
西洋中世からルネサンスにかけての海がへんてこな生き物で溢れかえったのには、こんな理由もあったんですよね。

アルドロヴァンディの図版の水彩版(素敵です)を見たい人は是非こちらへ。(過去記事にリンク

Lisa Evans

2007年05月30日(水) 23時18分

New Age

Lisa Evans ~ Illustration

名前つながりでもう一人。カップにのってる女の人がかわいい。

Lisa Falzon

2007年05月30日(水) 23時01分

Submarine

Lisa Falzon - visionary artist with a twist

Lisa Falzon、マルタ生まれでフランス在住の画家です。

マーク・ケイツビー『カロライナ、フロリダ、バハマ諸島の自然誌』(再)

2007年05月29日(火) 20時54分


"The natural history of Carolina, Florida and the Bahama Islands: containing the figures of birds, beasts, fishes, serpents, insects, and plants." Mark Cateby より

NYPL Digital Gallery | Results

ちょっと前に別のデジタルアーカイブから「全部はないみたい」として紹介してるんですけど、図版全部載せてるところがありました。この本とケイツビーについての簡単な説明はこちらで。(過去記事にリンク


細密画というよりデザインちっくで楽しい。鳥好きにもお薦めの本です。

Andrew Robbins

2007年05月29日(火) 20時30分

Afterlife


Leviathan

Seamless Images - Andrew (Andy) Robbins, a West Allis artist, painter, illustrator

アメリカの画家・イラストレーター。

日本社会事業大学の鯰絵コレクション

2007年05月27日(日) 13時33分

地震道化大津絵ぶし


世ハ安政民之賑

日本社会事業大学デジタル・ライブラリー 鯰絵

意外な大学に意外な資料が!点数はあまりないけど、少し驚いたのでご紹介。東京大学と筑波大学の鯰絵コレクションを取り上げたさいの過去記事はこちらへ。(リンクその1その2

まえはおもに民俗学的な側面から記事を書いているので、今度はナマズは本当に地震を予知できるのかどうかってことを簡単に書いておきましょうか。結論から言うと予知できるともできないともどちらとも言えるようです。

ナマズの感覚器官で地震予知に関わると考えられているのは、頭部を中心として全身の表皮に備わる電気の受容器です。これでもって地震の前触れとなる電磁波の変化を感知して暴れるのだといいます。
この電気感覚はナマズにとってなんの役に立っているのかというと、水中の電位の変化で外敵や餌となる小動物の接近を察することができるんですね。地震予知のためにあるのではもちろんないです。予知したところでナマズには意味ないから。

てことで結論が見えてきましたね。地震の前触れと言える電位の変化を感じてナマズの行動に変化があらわれることもあるでしょうけど、電位の変化が起こる原因は地震に限りません。てかそれ以外のほうがずっと多いよね。ナマズはそのたびに反応しているってわけ。

もちろん研究が進んで、地震の前触れに特有の反応を見分けられるようになる可能性もあります。でもナマズの電気感覚が「そのため」に発達したとは考えにくい以上、望みはあまりないでしょうねー。面白いからこれからもずっと続けて欲しい研究ではあるのですが。

Kelly Haigh

2007年05月25日(金) 22時50分

Dolphine

Doll In the family

カナダの画家Kelly Haigh。無表情に血溜りを作ってるお嫁さんの絵などで人気ですよね。おさかなものの印象はなかったので、うちで取り上げようとは今まで思わなかったんですけど、このイルカはいつから置かれているのかな。

Jimmy Lawlor

2007年05月25日(金) 22時34分

Seahorses


Reflections

New Paintings

アイルランドの画家。

15世紀フランス『愛の歌』

2007年05月24日(木) 23時19分

"Chansons d'Amour" より

Chansons d'Amour : (Thott 291 8o )

15世紀当時の歌を集めたフランスの写本から。見ての通り楽譜が書かれた本なんですけど、注目してほしいのは端っこの絵。(絵と言いますか、一見そうは見えないけれどカリグラフです)


ほら、おさかなが!ページごとにこんなのがいちいち描かれているんですよ。ていうかこの絵、なにしてるの。


鷹狩りですね。遊んでいるようにしか見えません。


なんなのでしょうこれは。


この写本にはカタツムリのモチーフがしばしば登場します。何かの寓意なのかなと思いつつ、どう解釈すればいいのかはさっぱりわかりません。でも可愛らしいので眺めていて単純に楽しい。もうすぐカタツムリが魚の仲間入りする季節ですね。私のあたまの中での話ですが。

ボスやブリューゲルが好きな人ならきっと興味深く鑑賞できるはず。彼らは必ずしも美術史上に突然現れた怪物的な絵描きであったのではなく、同時代の文化を正当に担う絵描きでもあったという側面を実感してもらえるんじゃないでしょうか。

シリー・シンフォニー その2

2007年05月23日(水) 19時31分

"Merbabies" 1938 より

YouTube - Merbabies 1

ディズニーの短編ミュージカルアニメシリーズ『シリー・シンフォニー』から「人魚の踊り」。"Merbabies 1"ってなってるけど続きはないです。ここだけであたまからしっぽまで全部入ってます。

前に「蓮池のこどもたち」と「海の王ネプチューン」を載せた記事はこちら。(過去記事にリンク