日高川絵巻

2008年12月14日(日) 9時34分




『日高川絵巻』 より

道成寺之絵

早稲田大学所蔵の『日高川絵巻』です。ここのは蛇身の清姫が可愛くてお気に入り。この伝説のあらすじは日文研の『道成寺縁起絵巻』を紹介した際に述べているので、まずはそちらからご覧下さいませ。(過去記事にリンク

今回は別の話をします。えーと、安珍・清姫の伝説の類話で最も有名なのは、『古事記』にみられる本牟智和気王(ほむちわけのおおきみ)と肥長比売(ひながひめ)のエピソードなのではないかと思います。

「垂仁天皇(すいにんてんのう)の皇子・本牟智和気は大人になっても言葉を一言も発することがありませんでした。ある時天皇の夢に出雲の大神が現れて『私の宮を修理したら皇子は喋れるようになるよ』と告げます。そこで天皇は本牟智和気を出雲に遣わすことに決めました。
本牟智和気はお供を連れて出雲に向かい、大神の宮を参詣しました。そして一休みするため川の中に仮宮を建て、国の長の接待を受けます。その席で本牟智和気はいきなりぺらぺら喋り出し、供の者は大変喜びました。
その夜本牟智和気は長の娘・肥長比売と過ごすことになります。しかしこっそり覗いて娘の正体が蛇であるのを知り、恐ろしくなって船で逃げ出しました。悲しんだ肥長比売は海原を光で照らしながら本牟智和気たちを追いますが、これを見てますます恐れた彼らは船を海から引き上げ、自分たちの国へ一目散に逃げ帰ったのです。」

こんな話。記憶に自信なかったのでここのテキスト(リンク)見ながらまとめました。中巻にあるエピソードです。

この蛇との婚姻譚と安珍・清姫の伝説にどんな因縁があるのかは定かでありません。ただ道成寺の縁起でこんなのがあったりします。

「日高の漁村に髪のまったく生えない娘がおりました。ある時海に光るものが現れて不漁が続き、娘の母が海底を探ると観音像が沈んでいました。これを引き上げて毎日拝んでいると娘に髪が生え、やがて髪長姫(かみながひめ)と呼ばれる美しい娘に成長しました。髪長姫は藤原不比等の養女宮子として入内し、文武天皇の后となります。観音像と両親とを村に残してきたのを気に病む彼女のために、天皇は道成寺の建立を命じました。」(道成寺の公式ホームページにリンク

口の利けない皇子と髪の生えない娘、それに肥長比売と髪長姫、などなど。・・・このへんの符合が偶然なのかどうか判断できるだけの知識を、残念ながら私は持ち合わせていません。でもなんかありそうだよねー。あると面白いなー。何もなくてもまあいいけど。(どっちよ)

あまりだらだら書き続けるのもあれなので、ネタを放り出すだけで今回の話はおしまいです。むしろ私が教えてほしいかも、こういうの詳しい人に。

新たなる航海の達成

2008年12月12日(金) 0時21分




"Nova Typis Transacta Navigatio" (Caspar Plautius, 1621)

Biblioteca Digital de Obras Raras e Especiais

オーストリアのイエズス会士カスパー・プラウティウスが記した『新たなる航海の達成』の図版。ローマ法王の命を受けた宣教師たちが野蛮なインディオたちの激しい抵抗に遭いつつもキリスト教を布教し、新世界を神の光で満たすという内容です。

そんな本になぜかクジラが描かれています。クジラの背中に船で乗りつけた修道士たちが祭壇を建ててお祈りしてるね。これはなにかっていうと聖ブレンダンの伝説をモチーフとした挿絵です。聖ブレンダンは五世紀から六世紀にかけてのアイルランドに実在した修道院長で、小舟で島をめぐって修道院をいくつも建てたとされます。その彼の伝説に大きな魚ジャスコニウスに乗せられて約束の地に到達したというのがありまして。『新たなる航海の達成』の著者プラウティウスは新世界への航海とキリスト教の布教を、この聖ブレンダンの伝説になぞらえたってわけ。

聖ブレンダンについては以前述べたことがあるので、知りたい方はそちらに。(過去記事にリンク) あ、でもこの記事って記事内でリンクした「聖ブレンダンの航海」というサイトの要約でしかないから、最初からそこ見てもらうほうがいいか。(リンク) とても興味深いサイトです。

レーゼル・フォン・ローゼンホフ『昆虫の楽しみ』

2008年12月01日(月) 21時11分




"Der Insecten Belustigung" (1746) より

Der Insecten Belustigung.html

現在は休館中の armchair aquarium annex (リンク)で紹介済みのアウグスト・ヨハン・レーゼル・フォン・ローゼンホフ(August Johann Rosel von Rosenhof、1705-1759年)の『昆虫の楽しみ』の図版です。先日からのつながりでミジンコが貼りたくて引っ張ってきただけなので、解説はパスさせて。そういうのはここで『カエルの自然誌』を紹介したさいの過去記事でどうぞ。(リンク

ていうかコレ(一番上の図版)ミジンコはミジンコでもケンミジンコなんですけどね。ただミジンコのばっちり決まった図版はなんだろって考えてまっさきに浮かんだのがこれだったので。ローゼンホフの昆虫もの(というか節足動物もの)は構成が凝ってて色彩も鮮やかで、見ていてとても楽しい。たまにこれはないよって色もあるけど。ザリガニなんか茹でたのにしか見えない。

ナチュラリスト叢書の自分用まとめ

2008年11月29日(土) 14時47分
Internet Archive (リンク)内の American Libraries (リンク)で『ナチュラリスト叢書』("The Naturalist's Library" Sir William Jardine、過去記事にリンク)のかなり多くの巻が公開されているのですが、見出しが整理されていなくてどれを見ればいいのかわからなくなってしまいます。てことで勝手にまとめました。

えーと最初にお断り。以下鳥類、哺乳類、昆虫、魚類の順にまとめますが、並びはかならずしもシリーズナンバーの若い順にはなっていません。またタイトルページのない巻もあるので、そういうのには私が勝手にタイトル付けます。「スズメ目」とかそんなかんじで極めて適当に。

閲覧するにはタイトル横にある (AL) とか (BHL) とかの赤字をクリックしてください。それぞれ

AL : American Libraries
BHL : Biodiversity Heritage Library (リンク
NYPL : New York Public Library (リンク
AMNH : American Museum of Natural History (リンク

・・・のサイト内の当該のリソースのページにつながっています。ほぼ American Libraries ばかりですが、リンク先が示してあるかぎり他のサイトのを選ぶのがいいかな。そっちのほうが大きな画像が見られるから。ちなみにAmerican Libraries と Biodiversity Heritage Library とはフルテキスト、New York Public Library と American Museum of Natural History とは図版のみの公開になっています。

それでは鳥類からスタート。


鳥類学(Ornithology)


"Birds of Great Britain & Ireland, Part IV" より

・Birds of Great Britain & Ireland, Part I. (英国の鳥類 I) (AL)
・Birds of Great Britain & Ireland, Part II. (英国の鳥類 II) (AL)
・Birds of Great Britain & Ireland, Part III. (英国の鳥類 III) (AL)
・Birds of Great Britain & Ireland, Part IV. (英国の鳥類 IV) (AL)
・The Natural History of the Nectariniadae, or Sun-Birds. (タイヨウチョウの自然誌) (AL)
・Humming Birds, Part I. (ハチドリ科 I) (AL) (NYPL)
・Humming Birds, Part II. (ハチドリ科 II) (AL) (NYPL)
・The Natural History of Game-Birds. (狩猟鳥の自然誌) (AL)
・Pigeons. (ハト目) (AL)
・Parrots. (オウム目) (AL)
・Birds of Western Africa, Part I. (西アフリカの鳥類 I) (AL)
・Birds of Western Africa, Part II. (西アフリカの鳥類 II) (AL)
・Flycatchers. (スズメ目) (AL)
・Gallinaceous Birds. (キジ目) (AL)


哺乳類(Mammalia)


"Whales, etc." より

イヌ科の巻が一冊欠けています。

・Introduction to Mammalia. (哺乳類学入門) (AL)
・Lion, tiger, &c. (ネコ科) (AL)
・British Quadrupeds. (英国の哺乳類) (AL)
・Dogs. Vol. II. (イヌ科 II) (AL)
・Horses. (奇蹄目) (AL)
・Deer, antelopes, camels, &c, Part I. (偶蹄目 I) (AL)
・Deer, antelopes, camels, &c, Part II. (偶蹄目 II) (AL)
・Thick-Skinned Quadrupeds. (厚皮動物) (AL)
・Marsupialia, or Pouched Animals. (有袋類) (AL)
・The Natural History of the Amphibious Carnivora. (海獣の自然誌) (AL) (NYPL)
・Whales, etc. (クジラ目) (AL)
・Monkeys. (霊長類) (AL)


昆虫学(Entomology)


"Introduction to Entomology" より

二冊ほど欠けあり。

・Introduction to Entomology. (昆虫学入門) (AL)
・British Butterflies. (英国の蝶類) (AL)
・Exotic Moths. (外国の蛾類) (AL) (NYPL)
・Bees. (ハチ科) (AL)
・Beetles. (甲虫目) (AL)


魚類学(Ichthyology)


"Fishes, Particularly Their Structure and Economical Uses" より

・Fishes, Particularly Their Structure and Economical Uses. (魚類、その体の構造と経済的利用を中心として) (AL) (BHL)
・British Fishes, Part I. (英国の魚類 I) (AL) (BHL)
・British Fishes, Part II. (英国の魚類 II) (AL) (BHL)
・The Natural History of the Fishes of Perch Family. (スズキ目の魚類誌) (AL) (BHL) (NYPL)
・Fishes of British Guiana, Part I. (英領ギアナの魚類 I) (BHL) (AMNH)
・Fishes of British Guiana, Part II. (英領ギアナの魚類 II) (AL) (BHL) (AMNH)


以上です。

Kuniyoshi Project

2008年11月25日(火) 23時05分

金魚づくし まとい


金魚づくし 酒のざしき


金魚づくし にはかあめんぼう

Kuniyoshi Project

歌川国芳(一勇斎国芳、1798-1861年)のファンの方がネットで収集した画像を公開しているサイトです。不完全なコレクションだし、画像の質もまちまちだけど、WEB上でこれだけまとまっているとこは(多分)ほかにありませんので、国芳の全体像をイメージする助けにはぴったりの好サイトだと思います。

きれいな画像をお望みの人には東京国立博物館のカラーフィルム検索などがお勧め。

東京国立博物館 写真一覧

ついでに私個人が面白いと思うのを何点かピックアップしときます。

・金魚づくし 百物語 (リンク
・金魚づくし さらいとんび (リンク
・金魚づくし 玉や玉や (リンク
・流行蛸の遊び (リンク
・化物忠臣蔵 初段・二段目 (リンク
・化物忠臣蔵 三段・四段目 (リンク
・化物忠臣蔵 五段・六段目 (リンク
・化物忠臣蔵 七段・八段目 (リンク
・化物忠臣蔵 九段・十段目 (リンク
・化物忠臣蔵 十一・十二段目 (リンク

モルッカ諸島産彩色魚類図譜

2008年11月23日(日) 15時03分




"Poissons, ecrevisses et crabes, de diverses couleurs et figures extraordinaires, que l'on trouve autour des isles Moluques et sur les coes des terres australes" (1719) より

Rare Natural History Book by Renard (1719年刊)
Rare Natural History Book by Renard (1754年刊)

ずっとまえにオーストラリア国立図書館のオンラインエキジビジョンから紹介したことがありますが(いちおう過去記事にリンク)、あれは抜粋でちょっと食い足りないところがありました。でも今度のはフルテキスト、全部のプレートを閲覧できますよ!このブログを始めた頃と較べてもデジタルライブラリーはどんどん充実してきてるね。

あらためて説明します。『モルッカ諸島産彩色魚類図譜』(原題はもっと長ったらしい。日本語に直すと「モルッカ諸島と南方の海岸で発見されたさまざまな色彩とおどろくべき形態の魚類、エビ類、カニ類」)はオランダの出版業者ルイ・ルナール(Loius Renard)が編んだ魚類図譜です。

もとは18世紀はじめにオランダ領東インド(現在のインドネシア)のアンボイナに駐在していたサミュエル・ファロアーズ(Samuel Fallours)が描いたもの。素人画家だったファロアーズは東インド会社に雇われて、現地の魚介類を集めて絵を描いたり、食用に適するか否かぱくぱく食べて試したりしてました。で、図に短評を添えてアンボイナ州の商館長に提出していたのですが、それがめぐりめぐってルナールの手に渡ったというわけ。本にはファロアーズの名前も出てきてはいるんだけど、表にでかでかとクレジットされているのがルナールだけなのはちょっと切ないです。


ファロアーズの図がどれだけ正確かってことなんですが、こんなのがあるとこから推して知るべし・・・と言いたいところだけど、がんばれば半分ぐらいは種を同定できるようです。これを「半分も」と感じるか「半分しか」と感じるかは人それぞれでしょう。わたしはダメダメだと思う。ただそれだけ特定できるってことから、大部分が現実に根ざしているからこそ、この突拍子もない図譜は楽しいのだと改めて感じます。・・・ちなみにこの人魚は長さ59インチ(約150センチ、絵の印象よりちっちゃいね)で、桶に入れて四日間生きていたとあります。ネズミみたいにチュウチュウ鳴いてたんだって。

隠者とローザ

2008年11月21日(金) 22時52分



"Отшельник и роза" (Борис Заходер) より

"Отшельник и роза" Заходера в иллюстрациях Калиновского ? Дневник Наши бараны, или Языком искусства

著者名はラテン文字表記にすると Boris Zakhoder。邦題は適当につけました。間違ってたら誰か教えて下さい。

挿絵から察してヤドカリとイソギンチャクの共生をモチーフにしたお話のようです。たとえばこんなふうに(リンク)・・・あ、これはケスジヤドカリとヤドカリイソギンチャクなんだけど、ヤドカリのある種はイソギンチャクのある種を殻にくっつけて、イソギンチャクの毒のある刺胞でもって捕食者から身を守ります。成長して殻を移るときには、イソギンチャクもしっかり新しい殻に移し変えるそうですよ。

しかし誰が描かれたのか知らないけどすっごくいい絵。このかわいいキャラがディズニーやジブリみたいに動くアニメができないかなー。

中国金魚誌

2008年11月20日(木) 20時17分




"Histoire naturelle des dorades de la Chine" (1780) より

Biodiversity Heritage Library: Information about 'Histoire naturelle des dorades de la Chine / gravces par F.N. Martinet ; accompagnce d'observations et d'anecdotes relatives aux usages, aux moeurs et au gouvernement de cet empire par m. de Sauvigny.'

ルイ=エドム・ビラルドン・ド・ソヴィニー(Louis-Edme Billardon de Sauvigny、1736-1812年)の著書。ごめん全然知らない人だ。版画を担当したのはフランソワ・ニコラ・マルチネ(Francois Nicolas Martinet、1731年生まれ、没年不明)。この頃の金魚のさまざまなバリエーションを彩色図で残した資料って、お膝元の中国にも、また日本にもそうそうないはずです。金魚に詳しい方なら現在の品種や当時の文献とつき合わつつ図版を眺めるのも楽しいでしょう。私はパスしますけど。金魚怖いから。

まあ個人の感情は脇にどけて、マルチネの図版をみると、金魚がいかに私たちに身近な魚であったかがよくわかります。魚類の細密画はいかにも標本をスケッチした的に、お行儀よく側面からの姿が描かれるものだけど、この本の金魚たちは、飼育槽で実際に泳ぐ姿を観察されたと思しき姿のものばかりですから。中国では明代にもなると陶磁器や金属製の金魚鉢が出回って、普通の民家の軒先や屋内で金魚が愛でられていたといいます。

そんな中国の金魚ですが、1960年代から70年代にかけての文化大革命で、長い歴史が途絶えかけたのは金魚好きには有名な話だと思います。金魚の品種でもとりわけて珍しいものは皇族や豪商など資産階級の独占物だったからなー。それで悪しき旧文化の烙印を押され、飼育設備も養殖設備もなかみの金魚ごと粛清されたんですよ。文革が終結するとともに「金魚のアレはやりすぎだったよね」ということになり、細々と残っていた中国の金魚たちは日本の養殖業者の協力を得て復興して行きます。あーよかった。

いかに恐ろしい魚でも、滅びればいいなんて思いませんからね〜。むしろさかな好きとしては繁栄を願っているぐらいです。ものすご〜く遠くからですが。

江戸大地震末代噺の種

2008年11月16日(日) 19時37分

『江戸大地震末代噺の種』 より

Search Results National Library of Australia

『江戸大地震末代噺の種』(えどおおぢしんまつだいはなしのたね)は安政二年(1855年)十月の震災後にさかんに出された江戸各地の被害状況を伝える冊子のひとつです。愛らしいのは表紙だけで、なかみは「どこそこが崩れて火が出て怪我人死人多し」と延々繰り返されるばかり。江戸全体で二十二万九千余人が死んだとあるから相当に誇張されています。死者の数は数千人から一万何千人かってところが定説ではなかったかな?どの数をとるにせよ大惨事には違いありませんが。


表紙をめくった最初の見開きでは、地中の鯰の図が示されて、地震が起きる仕組みが解説されます。本州・四国・九州と、端は八丈や対馬、隠岐、佐渡島にまでぐるりと巻きついているのが地中のナマズ。もとは竜や蛇が囲むとされていたものが、いつしかナマズに置き換わったのだといわれています。竜の姿が描かれるのはその名残りですね。じゃあ解説を読んでみましょう。

「地中には陰陽の二気がめぐっていて、伸長する陽の気を陰の気が抑え込んでいます。でも陽の気はどんどんどんどんどんどん伸びようとするから、やがてバランスが崩れて力がわーっとふきだしてしまうのです。これが地震の正体というわけ。」

ってナマズぜんぜん関係ないじゃん。・・・あ、上のはもちろん現代語訳ではないです。大意とって説明し直しました。


各地の状況が淡々と述べられるなか、なぜか吉原だけは見開きで大きく扱われます。廓の一円はそこらじゅうから火の手が上がり、遊女八百三十一人、客が四百五十余人、その他もひっくるめて総勢二千七百余人が亡くなったと。なぜ吉原だけかって、まあなぜもなにもないでしょうけど。


地震に先立って起こった不思議な現象の記述も。新吉原日本堤の地面が割けて一条の白気が伸び、浅草の五重塔のほうで八方にぱーっと飛び散ったとか。大地から陽の気が飛び出したってことですね。・・・う〜ん、ナマズはやっぱり関係ないんだなー。

過去の関連記事です。

・鯰絵コレクション-armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム] (リンク
・ナマズ?-armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム] (リンク
・日本社会事業大学の鯰絵コレクション-armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム] (リンク
・地震錦絵-armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム] (リンク

マッコリー湾の魚類

2008年11月12日(水) 22時42分





"Sketchbook of Fishes in Macquarie Harbour" (W. B. Gould, 1832年) より

State Library of Tasmania Images: Home > Search results

ウィリアム・ビューロー・グールド(William Buelow Gould、1801-1853年)はイギリスの陶磁器工場で働く絵付師でしたが、窃盗の罪で流刑に処されました。流刑先でも呑んだくれで窃盗癖が収まらず、なんていうかろくでもない人だったみたい。でもウィリアム・マルレディ(William Mulready、アイルランド出身のロマン派の画家)の門下にいたこともあるという画才だけは確かで、刑期を終えた後も画業で身を立てていたそうです。呑んだくれは直らなかったようだけど。

『マッコリー湾の魚類』はそのグールドが刑期中にタスマニア島マッコリー湾で描いた水彩のスケッチ集です。優しいタッチでほどよく隙のある良い絵。当時のオーストラリアにはこんないい絵を描く人がいっぱいいました。興味がある人は過去記事の「"First Fleet" アートワークコレクション」(リンク)と「ニューサウスウェールズの自然」(リンク)にも飛んでみて下さい。イギリスが本腰を入れて専門の細密画家を動員していたら、決して目にできなかったであろう素晴らしい作品ばかりです。

あ、画像一枚目はコモリザメ、二枚目はハリセンボンのなかまのポーキュパインフィッシュ、三枚目はタツノオトシゴのなかまのウィーディーシードラゴンです。四枚目の淡水ザリガニとあるのはなにかな、タスマニアオオザリガニかな。成長すると4、50センチにもなるという大きなザリガニです。五枚目はバットフィッシュの類?たとえばこんなの(リンクその1その2)。