誰も勝てない1

May 23 [Fri], 2014, 22:30

監獄の中で目を覚ましたのだった。
どうして自分がそんな所にいるのか見当もつかなかったけれど、目尻に溜まった涙をとりあえず袖で拭った。それから仰向けに寝たまま、しばらく天井を眺めた。数匹の羽虫が電球を取り合っている。時折ばちりと電気がはねる。
身体を起こし、軋む関節を伸ばした。それから周囲を見回した。
牢の中にはおよそ生活に必要な雑貨が何ひとつとして見当たらなかった。アダルティックな雑誌が二冊と、ひしゃげた空きカンがひとつ。それから、小さな窓が雑に後付けされている。窓周りの壁に、他と異なる色の塗料と、長く伸びた亀裂が伺える。
その窓から外の様子を眺めたかったけれど、それはできなかった。
足枷が嵌められていたのだ。
足枷から伸びる鎖は、巨大な鉛玉へと繋がっている。鉛玉は転がすことすらも出来ない重さだった。そして僕のいる位置は窓から離れ過ぎている。何も無い割に、やたらと広さのある牢だ。
仕方なく僕はアダルト雑誌に手を伸ばし、それを読むのだった。




プロフィール
  • アイコン画像 ニックネーム:Azmaji
読者になる
2014年05月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/sdins/index1_0.rdf