私は今日まで生きてみました 

2006年12月22日(金) 4時48分

近所のクリーニング屋のオヤジはギターが弾ける。
その昔、ミュージシャンになりたかったらしい。

『 今度、駅前コンサートやるから見に来てよ 』
そう言ってオヤジに渡されたチラシにはこう書いてあった。


♪♪光と音のシンフォニー フォークコンサート♪♪


光と音って、ああイルミネーションの事ね、駅前の(笑)
手書きを白黒コピーしたしょぼいチラシ。
行く気はなかった。
私みたいな商売をやっていると、手ぶら(カメラ無し)で
行くのは気がひけるし、面倒くさかった。

オヤジの駅前コンサート当日、その事をすっかり忘れていた私は
コタツでニュースを見ながらお茶をすすっていた。
天気予報の画面には、六本木のイルミネーション風景…

ん?イルミネーション?
ん?光と?音の?シンフォニー?
オヤジの駅前コンサートだぁ〜っ!!

私は、急いであのしょぼいチラシを探した。
手書きの・・・白黒コピーの・・・あった!!
18:00スタート、とだけ書いてある。
現在時刻は19:00ちょうど。
私は急いでコートを羽織り、デジカメを持って家を飛び出した。
生憎、ビデオカメラは出払っていたので。


まだ唄っているだろうか。


駅前に雑にとめた車から降りると、ギターの音が聴こえた。
私はデジカメを抱えて走った、ギターの音のする方へ!

約30人の客の前、白い息の中、オヤジは吉田拓郎を唄っていた。
びっくりするほど力強い音で、声で。

オヤジの唄は、客の足を止めさせ、唄わせ、泣かせていた。
私は、デジカメでオヤジの勇姿を撮りまくった。

通りすがりのサラリーマンは、泣いていた。

イルミネーションを見に来たんだという若いカップルは
そこの花屋で買ってきたといって花束を置いていった。

向かいの酒屋のオヤジは、黙って一升瓶を置いていった。

手押し車に腰掛けたおばあちゃんは、楽しそうに拍子外れの
手拍子を打っていた。


泣けた・・・(笑)


コンサートも終盤になり、客は減ってきたが、それでも20人はいた。
最後にオヤジは『 落陽 』を唄った。
それは、拓郎の曲の中で私が一番好きな曲だ。
嬉しかった。

しょぼい駅前コンサートがつま恋コンサートに見えた。

イルミネーションは特大の打ち上げ花火に。

20人の客は2万人に。

最後に、その場にいた客を集めて、記念写真を撮ってやった。
名前も住んでる場所も知らない、知らない人だらけの記念写真。
我ながらナイスアイディアだったと思う。

オヤジ、今度やるときにはビデオ3台持ってくるから。
でもって、チラシも私が作ってやる。
そして、クリーニング代を惜しまず、セーターを着る。


ありがとう、いいコンサートだったよ。


ってちょっといい話。
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