ピサックから急な石の階段を上った山頂にある遺跡からは、眼下に広がる生活風景も周囲の状況も一目で見渡せる。
支配者も同じ光景を見ていたに違いない。
遺跡を囲む段々畑では、主として酒を作るためのトウモロコシが栽培されていたという。
収穫期には辺り一面が黄色で染まったに違いない。
民は豊作を喜び、トウモロコシの酒を奉納し、その酒祭りで民に酒が振舞われる。
一方的な搾取の構図ではなく、一体となった集団生活が目に浮かぶ。

かつての風景を想像しながら、双眼鏡で遺跡を眺めていると、民族衣装を着た子供達が集まってきた。
手には色鮮やかな糸で編まれたアクセサリーが握りしめられている。
買ってくれとせがみもせず、恥じらいの表情と、珍しい物を見るときの輝く目で見つめている。
彼女たちの視線の先には、どうやら双眼鏡があるらしかった。
そこで、一番年上そうな子に、双眼鏡を渡してあげた。
彼女が勢いよくのぞきこみ、そのレンズの先に見えるものに喜びと驚きの声をあげるごとに
周囲の子は、早く見たくて仕方がないといった表情で、早く早くとその子に順番をせがむ。
集まってきた子のひとりひとりに順番に双眼鏡をのぞかせてあげる。
誰もがレンズの先を見ては、声をあげてはしゃいでいる。
その姿に、双眼鏡を貸しただけなのに、何か大きな親切をしたかのような気になる。
みんなに見る順番が回ったところで、一人の子が買ってくれと土産物の束を差し出した。
すると一斉に数人が顔の前に差し出す。
「Est?」
「Est?」
と順番に、腕に巻いたり、首にかけたりし始める。
そんな姿を見ていると笑みがこぼれる。
もちろん、彼女達は高値で買ってくれと主張する。
値段は品物の価値の対価である。
どんなに貧しい子の売るものであっても、哀れみから変に大盤振る舞いをせずに、妥当な対価を支払うことが、その子たちへの思いやりだ。
この小さな子達と、数十円の値段交渉ほど悲しくなることはない。
かと言って、あまりにも高額を払うこともまた悲しくなる。
初めから妥当だと思われる金額だけをポケットにしのばせ
この楽しい時間の感謝の気持ちを上乗せして
これがありったけの小銭だよと手を差し出した。
彼女たちに笑顔と安堵が入り混じる。
色鮮やかに綺麗に編みこまれた2本のアクセサリーを腕に巻き
その場を笑顔で立ち去った。
彼女達との時間は、やわらかい風がほほを撫でる優しい時間だった。
外国人の自分を見たときに
お土産品を買ってくれとせがむよりも
まず先に
純粋な好奇心を表してくれたことが、何よりもうれしかった。
彼女達の目には、双眼鏡の先にいったい何が見えただろうか。
支配者も同じ光景を見ていたに違いない。

遺跡を囲む段々畑では、主として酒を作るためのトウモロコシが栽培されていたという。
収穫期には辺り一面が黄色で染まったに違いない。
民は豊作を喜び、トウモロコシの酒を奉納し、その酒祭りで民に酒が振舞われる。
一方的な搾取の構図ではなく、一体となった集団生活が目に浮かぶ。

かつての風景を想像しながら、双眼鏡で遺跡を眺めていると、民族衣装を着た子供達が集まってきた。
手には色鮮やかな糸で編まれたアクセサリーが握りしめられている。
買ってくれとせがみもせず、恥じらいの表情と、珍しい物を見るときの輝く目で見つめている。
彼女たちの視線の先には、どうやら双眼鏡があるらしかった。
そこで、一番年上そうな子に、双眼鏡を渡してあげた。
彼女が勢いよくのぞきこみ、そのレンズの先に見えるものに喜びと驚きの声をあげるごとに
周囲の子は、早く見たくて仕方がないといった表情で、早く早くとその子に順番をせがむ。
集まってきた子のひとりひとりに順番に双眼鏡をのぞかせてあげる。
誰もがレンズの先を見ては、声をあげてはしゃいでいる。
その姿に、双眼鏡を貸しただけなのに、何か大きな親切をしたかのような気になる。
みんなに見る順番が回ったところで、一人の子が買ってくれと土産物の束を差し出した。
すると一斉に数人が顔の前に差し出す。
「Est?」
「Est?」
と順番に、腕に巻いたり、首にかけたりし始める。
そんな姿を見ていると笑みがこぼれる。
もちろん、彼女達は高値で買ってくれと主張する。
値段は品物の価値の対価である。
どんなに貧しい子の売るものであっても、哀れみから変に大盤振る舞いをせずに、妥当な対価を支払うことが、その子たちへの思いやりだ。
この小さな子達と、数十円の値段交渉ほど悲しくなることはない。
かと言って、あまりにも高額を払うこともまた悲しくなる。
初めから妥当だと思われる金額だけをポケットにしのばせ
この楽しい時間の感謝の気持ちを上乗せして
これがありったけの小銭だよと手を差し出した。
彼女たちに笑顔と安堵が入り混じる。
色鮮やかに綺麗に編みこまれた2本のアクセサリーを腕に巻き
その場を笑顔で立ち去った。
彼女達との時間は、やわらかい風がほほを撫でる優しい時間だった。
外国人の自分を見たときに
お土産品を買ってくれとせがむよりも
まず先に
純粋な好奇心を表してくれたことが、何よりもうれしかった。
彼女達の目には、双眼鏡の先にいったい何が見えただろうか。
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