創作『くじらとこども』

April 22 [Tue], 2008, 21:40








くじらが岸に着くと、6人のこどもたちは次々とくじらの背中に乗り込みました。






今日はくじらと約束していました。




『もうひとつの地球』に行く約束です。




くじらは真っ白い水しぶきを派手に立てると、海の底深く深く潜って行きました。





海の底は静かで、耳がツーンとしました。




ただ、くじらが海底を突き進む轟音だけがあたりに響きました。





3日と8時間くらいは経ったでしょうか、目の前に真っ白い大理石の扉が立ちはだかりました。




くじらは言いました。


『みんな、着いたよ。もうひとつの地球の入口だよ。』


『さぁ、入ろう』




すると、こどもたちは足踏みをして喜び、くじらの背中で小踊りしました。




ところが、その後ろで3人のこどもたちがメソメソ泣いてうずくまっていました。





くじらは言いました。


『どうしたの?』





こどもたちは答えました。




『もうひとつの地球なんて、こわい』


『もうひとつの地球なんて、あるわけない』


『いままでの地球でいいよ』





結局、3人のこどもは『もうひとつの地球』の中に入って行き、3人のこどもは海の中を泳いで帰って行きました。





6人のこどもたちは、それなりに楽しい人生でした。




でも帰って行った3人はいつも言っていました。





『もうひとつの地球に行けば、もっといい人生だったかもなあ』





《おわり》









★飛行機雲の写真は、今日の帰り道、地下鉄を降りた時に撮りました。
商店街の真上にくっきり見えました。
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