間が開いてしまったけれど、愛犬ジュンのその後を御報告したい。
ジュンを病院に連れて行った翌日、約束通りドクターが電話で血液検査の結果を知らせてくれた。
それによると何とか言うパラサイトが血液中に生息しているとのこと。
いろいろと治療の方法を説明したいので、すぐに病院まで来てくれ…といわれたので、大急ぎで車を走らせた。
着くとすぐに、ドクターは血液検査の結果が記された紙片を見せてくれた。
その一項目に、聞いたこともないパラサイトの名があった。
はっきりしているのは心配していたジステンパーやフィラリアではないということ。その時点で幾らか安心してしまったのもあって、その難しいパラサイトの名前は、記憶の隅にも残っていない。
ただ、放って置くといずれ腎臓や肝臓、さらには心臓までやられて、やがて死んでいくというから、決して軽くは考えないほうが良いそうだ。
ドクター曰く、薬で駆逐できるという。ただし、一年も掛かると聞いて吃驚した。まず抗生物質で体内の炎症を治め、それから毎月一回注射を打ち、徐々に殲滅させるしかないのだそうだ。
さらに、このパラサイトは元々タイにいたものではなくて、欧米の犬から持ち込まれたものだと教えてくれた。そして、今では大変罹患率の高い状態になっているらしい。
当然、媒介する宿主を聞いたところ、すばりダニだという。それなら野良犬天国のタイで、爆発的に拡まるのは道理。タイで犬を飼われている方は、ぜひ気をつけて頂きたい。
さて、肝心の治療法だけれど、最初に使う飲み薬は二種類あった。そのどちらかのチョイスなのだが、一つはジェネリック薬で廉価。もう一つは欧米メーカーのオリジナルで当然のことながら高価。
ドクターは初期治療に必要な18日分で、600バーツの前者と、1500バーツのどちらを選びたい? と聞いてきた。効き目が同じなら安いほうが嬉しいに決まっている。ところが、この二つには大きな違いがあった。
コピーのタイ製はカプセルで、輸入物は注射器のような容器に入った手動注入タイプなのである。ドクターによるとカプセルタイプは飲ませても吐き出すケースが多いらしい。
そういえばジュンは以前皮膚病に罹った時に、カプセル状の飲み薬を何種か飲ませたら、何度も吐き出して、私を往生させたことがあった。それを思い出したので今回は病気が重いこともあり、その高い方の薬を選ぶことにした。
これは値段が良いだけあってとてもよく出来ている。写真を見てもらえば一目瞭然だが、飲ませるときに押し込むピストンバーの部分に九つのツメが付いている。それを小型犬なら一個、中型犬なら二個、ジュンのような大型犬なら三個というように、切り取って使う。つまり飛び出す量の調整が間違いなく正確に出来るようになっているわけだ。
さらに中身は柔らかいペースト状で喉の奥に飛ばし易い。加えて犬にとって美味しい味が付いているらしく、ジュンなどは与えて三日目にはこの注射器のような薬を手に取ると、自分の方から駆け寄ってくるようになってしまった。
ちなみにメーカーは有名なファイザー製薬。この会社は人間用だけでなく、動物用のものも製薬しているようだ。
成分も書いてあったので読んでみたら、なんとドキシィサイクリンが主要成分になっていた。
この薬は、以前にアメリカにいたころ、エイズが流行り始めて、もしかしたら効くのではないか?…と話題になった抗生物質の一種である。
また、うろ覚えだけれど、確かクラミジアなどの性病にも効果があったはずなので、パタヤあたりで悪い病気を頂戴した方は、まず動物病院に行って、これを買ったら良いような気がする。
そんな薬を毎日晩飯のあとに与えて今日で四日目になるが、すでに二回目に与えた時に、ジュンは元気を取り戻していた。
今日あたりは以前のように野良犬が通ると、オフクロ様が叩き起こされるほどの威嚇咆哮をするまでに回復している。食欲も出て飯もバリバリ食う。恐らく大丈夫だ。
これで一安心。
それにしてもこれから毎月一回の注射で一年通ったら、ジュンの医療費総額が、前回と今回のものを含めて、1万バーツ弱にもなってしまうのには閉口する。
私の医療費は、この数年でデング熱のときの3200バーツだけだというのに、元気になって太い尻尾を振っているジュンを見ながら、なんだか納得のいかない気分なのであった。