竿修理

December 10 [Wed], 2008, 0:52
 前回釣りに行った際に、Fさんの竿のガイドの一つが、破損しているのを発見した。穂先から二つ目の、内側のリングが抜けてしまっていたのである。しかも外枠の金属部分も割れていた。

 そのまま使えば、道糸がちゃんと通らないし、PEラインですら切れてしまう可能性もある。

 実は私も同じ状態の竿を持っていた。以前、タイで売っている竿は安いと書いたが、やはり安いなりにガイドの品質が悪くて、これまでも数回修理をしている。
そこで自分のものを修理するついでに、『直してあげましょうか?』と言ったら、快く私に竿を預けてくださった。

 家に持ち帰り、数日してから作業に取り掛かった。竿の改造や修理は、子供の頃から良くやっていたので、要領は心得ている。まず壊れたガイドの部分をライターで炙って接着剤を変化させ、それから竿にキズをつけない様にカッターで巻いてある止め糸を切る。上手くいけばそれでクルクルと糸がほどけていくので、ガイドを外し、凹凸の出来た部分を丁寧にカッターで削り取ってから細番の紙やすりを掛ける。

 次に新しいガイドを瞬間接着剤で位置と向きを確かめつつ固定。今回は以前Aさんの穂先が折れたときに残しておいた、型の小さなガイドを使用した。

 その後、糸を巻いていくときにコツがいる。左手で竿を回しながら、右手でピンと張った糸を巻いていくのだが、そのときに糸が重ならず、なお隙間が出来ないようにキツく巻いていくのである。そして、最後の方に来たら、太目のナイロンラインの輪を巻き込み、切った糸の端をそれに潜らせてから、一気に引き抜く。

 本当はそんな工程は【月刊つり人】のように1コマずつの解説写真があったほうが良いのだが、残念ながらこれはブログ。そんなに写真は載せられない。

 仕上げは、本来透明なアクリル樹脂を使いたいところだが、日本から買ってきておいたものは、昭和時代のイシダイ竿や7123Rという老竿の修理に使ってもう在庫が無かった。そこでタイの釣具屋で修理用に売っている、妖しげな棒シリコン状のものを使用。これはライターで炙ってとろけたら、糸を引き始めたところを、竿に巻くようにして塗りたくるものだが、アクリル樹脂と違って粘性が強く、なかなか上手く平らにできない。結局は熱いのを我慢して千切ったり、押したり、撫でたりと、指で整形することになる。

 それでもなんとか、Fさんの竿は直った。タイで生活を始めてからモノを大切に使うようになったが、釣具もその例外ではない。小さなヨリモドシ一つでも、今は大切に使っている。
 そしてその精神を、私は息子に伝えたい。

《写真》修理用具一式

  • URL:http://yaplog.jp/saruyomeyawa/archive/651
プロフィール
  • ニックネーム:小林龍彦
  • 性別:男性
  • 誕生日:1959年
  • 血液型:AB型
  • 現住所:国外
  • 趣味:
    ・アウトドア-Fishing
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1998年度JTB旅行記賞受賞。
他にハービス旅大賞、PROMISE.ESSAY大賞・優秀賞、三省堂「私の辞書活用法」エッセイ・優秀賞、男の生き様コンテスト・優秀賞、北海道池田町百周年記念事業、ワインにまつわるエッセイ・入賞、東京都近代水道百周年記念、水のエッセイ・優秀賞、他・・01年までにエッセイ・紀行文で入賞十数回。
02年三月号から03年十月号まで月刊誌【つり人】に《世界の釣流》連載。
著書に《人生を激変させた神の魚サハール》【つり人社刊】がある。
【略歴】 1959年東京都生まれ。 81年、大学中退後、シベリア鉄道経由で渡仏。釣り竿を抱えて欧州11ヵ国を放浪の後、帰国。 83年、渡米。4年後NY州マンハッタンにて日本レストラン開業、10年間経営。 96年、事業売却、帰国。その翌年釣り竿と供に中国、ベトナム、カンボジア、タイ、インド、ネパールを半年間漂流。初めて未知の大魚サハールの存在を知り魅せられる。同年、中国茶輸入業開始。 98年、タイ経由でネパール訪国。同年ラオスを一ヶ月間放浪。 99年、大河産のサハールをターゲットに三度ネパールに飛ぶ。また、オーストラリア、ニュージーランドなどに釣行。 03年、タイ王国に移住。
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